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JSME関東学生会卒研発表会

2024年3月13日、日本機械学会関東学生会卒業研究発表講演会(早稲田大学)で、B4の2名とB3の1名が発表を行いました。

福屋智大: 多数の気泡を含む粘弾性媒質中における超音波伝播に関する理論解析

渡部健人: 管内の気泡流中を伝播する圧力波に関する非線形理論解析

荻 真優子: 膜で覆われた気泡を多数含む液体中における超音波伝播に関する数理モデル

超音波研究会

2024年2月27日、電子情報通信学会・日本音響学会の超音波研究会(東京都立産業技術研究センター)において、荻(B3)が「膜で覆われた気泡を多数含む液体中の超音波の非線形伝播:膜の構成則に関する数理的考察」を口頭発表しました。

研究内容

以下の記事で当研究室の研究内容を簡単に紹介しています:

日本流体力学会誌の掲載記事

日本混相流学会誌の掲載記事

日本機械学会流体工学部門HPの研究紹介

TRiSTAR HP

本HPに、長らく、詳細な研究内容を掲載できておらず、そろそろ、追って、整備予定ですが、いつになるか不透明です。

博士論文公聴会(鮎貝)

2024年1月19日に、鮎貝崇広(D3)の博士学位論文公聴会が行われました。気泡流の体積平均二流体モデル方程式の構築と、発泡マグマ中の地震波伝播に関する二部構成で、いずれも数理的なアプローチをとったものです。当研究室では1人目の博士後期課程学生です(金川)。


D3の先輩の博士論文公聴会を拝聴しました。私自身は博士論文公聴会を生で聞いたのはこれが初めてだったので、卒論・修論、学会等とは何が違うのか気になりつつ発表を聞いていました。

まず、発表時間が45分間もあり、かなり長いなと思っていましたが、先輩の発表がスムーズかつ明快だったため、私の体感としてはあっという間でした。しかし、発表を45分で過不足なくまとめるというのは相当の構成力と試行錯誤が必要だと思われ、先輩も膨大な時間を準備と練習に費やしたのだろうと推察しました。

発表内容については、私は昨年末の学会で先輩の発表を拝聴していたので、内容の一部は見覚えがありました。しかし、学会の時とは発表の構成が違っていて、発表のアウトラインを強調していたり、現在話している内容と発表全体との関係を適宜確認したりと、長時間の発表向けに工夫されていました。

質疑応答に関しては、元々なのか延長したのか分かりませんが、発表と同じくらいの時間が質疑に費やされていました。公聴会に出席していた先生方全員の疑問点が解消されるまで質疑が続けられていましたが、これは卒修論とは大きく違う点だと思います。質疑の様子を見ていたら、博士論文公聴会がDefenseともいわれるゆえんが分かったような気がします(M1)。

セミナー

京都工芸繊維大学にて、金川が、セミナー「超音波医療に関連するマイクロバブルの数理モデル」を行わせて頂きました(2024年2月19日)。また、いくつかの実験室を見学させて頂きました。お世話になり有難うございました。

研究室紹介’23(4/4)+博士後期進学+JSPS学振DC申請

進学予定のM2学生に、研究室紹介文と兼ねて、以下、博士後期課程および学術振興会特別研究員DC申請について書いてもらいました(金川)。

はじめに

学振DC1に採用内定しており、博士課程進学を決めた私が、学振に向けてどのような戦略で修士課程の研究を行ってきたか、および金川先生にどのような指導をしていただいていたか、をメインに書きたいと思います。一般的な金川研での生活については過去に先輩方が書いてくださっているので、そちらを参照ください。
主に学振について書きますが、学振を目指すうえで、4年生から研究室を変えない修士の学生より1年短いので、それなりに詰まったスケジュールであることを先に断っておきます。当時は少し大変と思うこともありましたが、今から振り返れば、短期間に先生との連携を密に取りながら研究を進めることができました。さらに学会にも多数参加することができ、研究についてたくさんの経験を積めたのが良かったです。学会については交通費および宿泊費の自己負担はありませんので、意志さえあれば、発表したいだけ発表することができます。学会参加・発表にかかる費用は、金川先生の研究費から出していただいており、恵まれた研究環境であることは間違いありません。

目次

1.自己紹介
2.博士課程への進学について
2-1. 進学を決めた理由
2-2. 進路の懸念
2-3. 金銭面の懸念
3.学振についての基礎知識
3-1.学振の制度内容
3-2.学振採用には何が必要か。
4.学振採用を目指すことを念頭に置いた私の研究スケジュール
5.学振の申請書をどう書いたか。
5-1.研究計画を書くにあたって苦労した点
5-2.研究遂行力の自己分析

本編

1. 自己紹介
学部は茨城大で、大学院から筑波大(金川研)に来ました。学部時代の専門は数学・情報数理で学士(理学)です。4年生で所属した研究室は流体力学関連で、水面波の方程式の数値計算と、砕波条件についての研究に取り組みました。

2-1. 博士課程への進学を決めた理由
大きな理由は二点あります。
一点目は、学問的な興味もありますが、特定の研究テーマに対するこだわり、というより研究活動を通してもっと漠然とした問題解決能力・仮説構築力などを身に着けることに興味がありました。これは修士の2年間だけでは短いと考えました。修士入学直後では、博士課程進学:就職の意思は半々でした。数か月経過後ぐらいから85% : 15%で進学を考えるようになり、学振をターゲットとした生活を送りました。
また、将来的に海外に住みたいと考えている事も理由です。というのも、博士号を持っていると、海外の労働ビザが通りやすい、またアメリカなどでは永住権を取りやすいと言われています。もちろんこれだけが進学理由ではありませんが、日本以外にもグローバルに活動するために、一つのメリットであることは間違いないです。今は事情があり、長期間日本を離れることは難しいですが、博士課程の間に海外に行けるチャンス(学会など)があれば、積極的に参加するつもりです。

二つ目の理由は、消極的ですが、就活との兼ね合いです。修士課程修了後に就職する場合、大学院入学後すぐに(夏頃?)就職に向けた活動を始めるのが通常と思われます。(違ったらすみません。)私は少し例外的かもしれませんが、学部と修士で、理学から工学へとかなり専門を変えました。よって、入学直後は、院の授業についていくためにも、研究のためにも、工学の基礎から新たに学ばないといけません。ここで、学振を目指しつつ、就活も行い、博士進学と就職の両方の可能性を残しておくことも理論的には可能だったかもしれません。しかし、専門基礎科目の習得と学振を目指した研究と就活をすべて同時に行うことは当時の私にはかなり難しいと思われました。就活に時間を割ける余裕がないと判断し、就活との両立を諦め、研究のみ行うこととしました。

2-2. 進路の懸念
進学を躊躇する理由として、修了後の進路について上がることが多いと思います。私は、学部時代は博士課程進学について微塵も考えていなかったので、修士に入ってからいろいろ調べました。博士までいくと就職できない、とネットの記事を見かけることもありましたが、これは実際には分野によるみたいです。もっと言えば個人の能力次第で、博士とひとくくりにできるものでもないので、私はあまり悲観的には考えてはいません。特に進路について明確な答えを出せていませんが、金川研での生活を通して、一年前より成長した実感も確実にあるので、今は研究をしっかり行いつつ、大学の開催しているキャリア説明会などにも参加し、興味の向く方向(社会に応用する先)を具体的に探しているところです。

2-3. 金銭面の懸念
進路と同様に、金銭面での懸念もよく聞きます。実際、学振ありの博士課程と比較して、修士課程で就職するほうがよい給料がもらえるとは聞きます。おそらく正しいと思いますが、私は就活を経験しておらず、企業における標準的な給料すら知らないので、どれだけの差があるかわかりません。学振は月額20万円(税引き前)です。学振に採用された博士学生は、独立生計ですので、年収の基準よって授業料はありがたいことにかかりません。よってすべて生活費に使うことができ、贅沢はできないかもしれませんが、生きるのに十分と私は思っています。DC1に採用されたので良かったものの、もし採用されていなければ、私の場合はほぼ確実に進学しない選択をしたと思います。(一応学振以外にJSTなどの支援もあり、昔に比べれば博士課程への支援は手厚くなっていることには触れておきます。)データとして、2006年ごろから現在までDC1全体での応募者数が増加傾向ですが、2010年からは年々採用率が低くなっています。2024年度採用かつ私の出した領域だと採用率は13.7%でした(電子申請システムによれば)。

3. 学振についての基礎知識
3-1. 学振の制度概略
私が採用内定している学振DC1は、正式には日本学術振興会の「特別研究員制度」のことです。DC1は修士2年の5月頃に申請書を提出し、そこで採用されれば、博士課程3年間の研究奨励金20万円(ここから税金が引かれますが)+科研費が支給されます。よって経済的な心配をあまりすることなく研究に専念できます。申請書には、これまでの自分の研究、今後3年間の研究計画、研究遂行力の自己分析などを書きます。

3-2.学振採用には何が必要か。
一言で言ってしまえば「業績」だと思っています。もちろん申請書の研究計画も重要なのは間違いないですが、業績もそれなりの重みでの評価の対象となると私は認識しています。ここでの「業績」とは、論文、学会発表、受賞などです。いずれの業績も、日本語より英語で論文執筆・発表の方が高評価です。研究計画は申請直前であっても書くことは可能な反面、業績を積み上げていくには研究に集中して取り組むことを含め、どうしてもある程度の期間が必要です。学振は例年修士2年の5月に申請書提出なので、(学部4年に研究室所属すれば)2年+αの期間の研究期間の業績で申請します。

4.学振採用を目指すことを念頭に置いた私の研究スケジュール
大まかには、学会発表を積極的に行い、修士1年の終わりまでに論文採択を目指す計画でした。
最終的に提出した主な業績は
・査読付き論文1本(筆頭)
・国際会議論文1本(筆頭)
・国際会議発表2件(筆頭)
・国内学会発表7件(筆頭6件、非筆頭1件)
・学会受賞1件
でした。(申請時点5月での採択済のものも含む)

私の実際の学会発表と論文執筆のスケジュールを示します。私は大学院から入ったので、修士入学を1年目とします。
[大学院:1年目]
2022年4月:修士課程入学
大学院の講義も履修しつつ、さらに専門を変えたので、研究に必要な知識を得るのに工学の基礎知識も並行して1から学習しました。また、このとき、研究室の先輩方の論文を読み、研究内容への理解も進めています。先生とはteamsで概ね週一回の定期的な打ち合わせの他、随時チャットでの相談も可能です。私は入学前の3月頃から一定頻度で打ち合わせをしてもらっていました。

5~7月:GW前には研究の大まかな方向性が決まり、先行研究の計算を再現するために、実際に手を動かして計算を始めました。その後テーマの細部も確定しました。計算を行い、理論解析を進め、結果のグラフを作成しました。8月に学会発表を控えており、少なくとも発表できる結果が得られるように、研究の比重を高めて取り組みました。

8月:ある程度の成果も出たので、初めての学会発表(8/19)を行うにあたり、発表に向けて2週間ほど前から準備しました。人前での発表を避け続けてきた私にとって大きなハードルでしたが、発表や、質疑を通した気づきが自分の研究をブラッシュアップするのに必要であることは言うまでもなく、この期間は集中して金川先生と発表練習を行い、しっかりと準備しました。
発表当日は、午前と午後、別の学会(※)で計二回の発表を行いました。(疲れました。)コロナ禍ということもあり両方ともオンラインで開催されたので、このようなことが可能でした。例年はこの二つの学会の日程は離れるのですが、この時は偶然にも同じ日程で開催されました。今はオンライン開催の学会は減ってきていて、あまりないとは思いますが、初めての学会発表を行う際、理論的に可能であったとしても同じ日に2回発表するのはお勧めしません。
(※)混相流シンポジウム2022と機械学会2022年の茨城講演会です。混相流シンポジウムの方では、ベストプレゼンテーションアワードというプレゼンの賞を頂きました。

9月:論文を書くにあたってメインの結果が出ました。月末に流体力学会 年会2022で発表を行いました。場所は京都大学で、この学会が私にとって初めてのオンサイトでの発表でした。オンラインとは勝手が異なり、反省点が多い発表となってしまいましたが、発表後には質疑と、自分の発表の振り返りを研究室に向けて共有するので、回を重ねるごとに発表がよくなっていく実感があります。

11月:超音波シンポジウム2022で発表を行いました。場所は同志社大学で、自分の研究に対して実験ご専門の先生からクリティカルな質疑を頂き、周辺知識に対する理解の甘さを痛感しました。この先生とは講演後に2時間ほど1対1で議論をさせていただき、沢山のアドバイスを頂くことができました。話は変わりますが、この頃からは海外の共同研究者とも(主に電子メールで)やり取りをしています。テーマによるとは思いますが、このように、金川先生以外にも様々な先生と議論をすることもできると思います。

12月:論文を執筆し始めました。金川研では先輩方の多くが論文を執筆されていたので、完全に0からではなく、それを参考に書きました。とはいえテーマが異なるので、しっかりと自分の研究の新規性・結果の考察を伝えることを意識しました。

2023年1月:
年末年始は特に金川先生と頻繁にやり取りしました。論文が出来上がったら、英文校正に出し、その後、投稿前に入念に最終チェックをしました。論文はPhysics of Fluidsというジャーナルに投稿しました。査読を待ちます。

2月:査読者からのレビューが返ってきたので、レビューに対応します。この論文の場合、4人の研究者の方に査読していただきました。それぞれの査読者からのレビューへの返答を用意し、論文の微修正を行います。修正を終えたものを再びジャーナルに提出し、採否の連絡を待ちます。

3月:内容に本質的に関係ない軽微なミスの修正が要求されているものの、この時点で、論文の採択(アクセプト)の通知がきました。査読、著者による修正、採択の如何が決まるまで短いものでも数か月、場合によっては年単位かかるものあり、この期間については我々にはどうしようもできません。一般に、論文は却下(リジェクト)になる可能性もあり、その場合は修正して別のジャーナルに投稿しなおします。そして、査読者からのレビューに答えるプロセスをもう一度行わないといけません。もし何度もリジェクトになり、次の5月までに採択が間に合なければ業績として書けません。しかし、今回は初めに投稿したジャーナルで採択が決まり、極めて理想的なスケジュールでした。
時期をほぼ同じくして、学振の申請書を実際に書き始めました。ただ、毎年大幅に書くことが変わるわけではないので、ざっくり何を書くか、構想自体は少し前から考えていました。

[2年目]
4, 5月:年度が変わりましたが、春学期の講義が始まった以外に特にやることは変わりません(講義はM1で取り終えるパターンが多いようですが、私はM1とM2で概ね均等に履修しました)。5月中旬ぐらいに締め切りがあるので学振の申請書のクオリティを上げる作業を行います。

7月:さて、申請書提出後にはシステム情報工学研究群の博士課程への内部進学制度(推薦入試)があり、私はこの推薦入試で合格を頂いたのでこのタイミングで博士進学が決まりました。出願時に学振の申請書も提出しましたので、申請書も合否の一つの指標であると思います。試験当日にはプレゼンを行いました。推薦入試は学部から大学院修士への入試と同じ時期に行われます。

9月:月末にDC1の採用内定通知を頂きました。

5.学振の申請書について
ここからは申請書について少し詳しく紹介します。
5-1.研究計画を書くにあたって苦労した点
単純に、これから三年間で行う研究について分野外の人でもわかりやすいように書くのが一番難しかったです。金川研の研究は主に理論研究であり国内には同様の研究をしている研究室はなさそうに見えます。このことを踏まえると、審査員は間違いなく分野外の人であると言えます。しかし、ここまでの学会発表・論文執筆を通して、自分の研究を都度振り返った経験は、申請書を書くうえでプラスに働きました。
また、研究計画自体にも苦労しました。分かりやすさを重視し、簡単な計画を書いてしまうと、この程度で新規性があるのか?この研究をやる意味があるのか?と言う疑問を持たせてしまいます。一方で、風呂敷を大きくしすぎ、極めて壮大な計画を立てればこのような実現性のない計画にお金を出す意味はないと判断されてしまいます。3年間で達成したい計画と、新規性とをうまくバランスをとって、伝わる申請書にするのが難しかったです。私の場合は今までの研究の延長線上で自然と考えうるテーマを一つ(おそらく成果が出る)、これまでの研究でカバーしていなかった、より発展させたテーマを一つ、また3年間でギリギリ達成できそうな挑戦的なテーマを一つというような構成としました。

5-2. 研究遂行力の自己分析
すでに何度か書いていますが私は大学院から入学したので研究期間は一年と少しです。一般的に研究期間が短いことは業績を上げることに対して不利に働きます。ただ、申請書では逆手に取り、アピールの材料としました。具体的には、一年でこれだけの業績を上げることができたので、今後三年間もこれまで以上に論文を書ける可能性があり、そして学問分野に貢献したい、というような主張を行いました。

筑波大学 BEST FACULTY MEMBER (SS教員)

金川が、筑波大学令和5年度 BEST FACULTY MEMBER (SS教員) に選ばれ、学長表彰を受賞しました。また、受賞講演を行わせて頂きました(2024年2月14日付)。

これは、令和5年度に実施された、令和4年度分の教員業績評価における結果が特に優れた教員に対するものです。具体的には、研究、教育、社会貢献・学内運営、診療、センターなどの領域で、特に優れた取組や活動を行った教員に対する表彰であり、金川は「研究」の領域で受賞しました。全学教員およそ2000名の中から26名の教員(教授16名、准教授7名、助教3名)が選ばれています。引き続き筑波大学に貢献できるよう、研究を含めた全領域において努力を重ねます。[大学HP]


【被表彰業績(パンフレットからの転記)】専門である流体力学の理論解析の観点から、気液混相流中における超音波の非線形伝播を記述する数理モデルを構築し、基礎研究の成果を医療等の応用へと展開した。Q1ジャーナルに責任著者として多数の論文を発表し(国際共著を含む)、国内外での基調・招待講演も行っている。文部科学大臣表彰若手科学者賞「気泡流中の圧力波を記述する非線形波動方程式の理論的研究」を始め、流体力学分野の若手登竜門である日本流体力学会竜門賞等を受賞し、多様な学会から高い評価を得ている。科研費(着任以来途切れず受給)やNEDO若サポ等に代表者として採択されている。

学生視点の研究室紹介’24(3)

3年間在籍したM2の学生に研究室紹介を書いてもらいました(金川)。


金川研での経験・生活について感想など書いていきます。研究室選びの参考になれば幸いです。3年間での研究業績としては、査読付論文3編(筆頭2編、非筆頭1編)、国際学会発表1件(オンライン開催)、国内学会発表6件(オンライン5件、現地1件)といった感じです。研究活動の中でも特に論文の執筆に注力したので、そこでの経験や就活のことなどを主に紹介していきます。

・学会発表
金川研は理論研究なので、最初は主に数式と向き合い、手計算を黙々と続けていくというイメージがありましたが、振り返ってみると実際はその後の研究成果を学会発表や論文を通して公表していくというアウトプットにかける労力・時間の方が多いと感じるくらいでした。学会は、ある程度結果が出た段階で参加していて、初回はB4の夏頃でした。成果が途中まででも研究の内容を話したり、他の研究者の発表を聴いたりすることで新たな知見が得られたと感じています。自分の場合ほとんどがオンラインでしたが、京都での学会発表や修論発表会など対面での発表はまた違った緊張感がありました。姿勢や目線、ジェスチャーなど気を付ける部分も多く、難しかったです。学会での経験は就活の面接にも活きてきたと思っているので、人前で話すことがあまり得意ではない自分にとっては非常に良い練習になりました。

・論文
論文については自力で0から書くというよりは、先輩方の論文を参考にして書く部分も多々ありましたが、研究テーマの意義や新規性など魅力が伝わるような書き方や学術的な英語表現について学ぶことが出来たと感じています。やはり論文は、今後何十年・何百年と残り、世界中の人が見ることのできるという点で価値があるので、やりがいを感じています。基本的には研究テーマと合致するようなジャーナルを先生が打診してくださるので、その中から、Impact Factorなどの数値を参考に影響力の大きい国際一流誌を狙うという感じでした。これまで何度か投稿論文がリジェクトされ、研究を否定されたような気持ちになり落ち込んだこともありましたが、諦めずに改良と投稿を続けていれば、最後には採択されたので、一喜一憂せずに気長に取り組むのが良いかもしれません。流れとしては、論文原稿を投稿し、査読者によるレビューが返ってくるので、それに対する回答書と改良版の原稿を再度提出し、認められれば採択となります。その後、著者校正として軽微な誤記などを修正し、掲載に至るといった感じです。自分の場合は全体で半年程度かかったと思います。中でも査読対応では、専門家の方々から鋭い指摘を幾つも受けるので、それに対して原稿の英語表現を見直したり、研究の意義を主張したりといった過程は一番大変でした。

・普段の生活など
研究はteamsを用いたオンラインでの打ち合わせやチャットで進めていき、自宅で研究を進めていたため、人と会う機会はそこまでありませんでした。M2の途中からはアパートでの一人暮らしから実家での生活に変わりましたが、特段問題なく研究を続けられたので非常に助かりました。研究以外では、アルバイトをしたり、たまに運動をしたりといった感じで基本的にはあまり外に出ないような生活でした。最近は研究室のメンバーが増えてきて、学生居室は前よりも賑やかになっているような気がするので、大学近くに住んでいる人は学生居室で研究を進めるのをオススメします。

・奨学金、短期雇用
金銭面に関しても少し触れておきます。自分は日本学生支援機構の第一種奨学金を借りており、大学院の2年間では研究業績が豊富な場合、全額あるいは半額返済免除といった恩恵を受けられる可能性があるため、それを目指していました。Impact Factorの高い査読付論文に筆頭著者で載っている先輩方が全員免除を受けていたので、先輩方にも相談しながら、早いうちから戦略を立てていきました。先生にも相談すればアドバイスを頂けます。それと年度によりますが、短期雇用として研究を進めることで月数万円の報酬が得られたこともありました。このように研究に力を入れることで、金銭的なメリットがあるというのもモチベーションになっていました。

・就活
就活は、研究と両立できるのが理想ですが、計算が中々上手くいかなかったこともあり、研究はかなり止まってしまいました。インターンシップの時期と学会が重なりそうになることもありましたが、先生に事情を話せばなんとかなります。コアタイムがなく、自分のペースで研究を進められるという環境も就活をする上では予定が立てやすく良かったです。面接では研究内容を聞かれることが多かったので、専門外の人にも分かりやすく簡潔に伝える練習をしていました。自分の場合、研究内容と志望職種の関連はそこまでありませんでしたが、特に不利になったとは感じませんでした。研究内容を分かりやすく伝えるプレゼン能力や矛盾なく一貫性を持って、相手に物事を伝えられるかといった論理的思考力の方が重視されていた気がします。なので、理論系は就活不利、実験は有利といったことは基本的には無いと思います。

・身についた点
専門分野である流体工学関連の知識なども学びましたが、やはり学会発表を通してのプレゼン能力や論文執筆を通しての論理的な文章を書く能力が一番培われたと思います。この能力が就活でも役に立ったと思いますし、今後社会人として働いていく上でも必要になるので、非常に良い勉強になりました。

最後に、これまで金川研の良い所を色々書いてきましたが、決して楽な研究室ではありません。計画を立てて、自主的にタスクをこなせない人には合わないと思います。ただ、真面目に研究を頑張りたいという意欲のある人にとって、金川研は良い環境だと思います。しっかりと情報収集し、自分に合った研究室選びを頑張ってください。(M2)

学生視点の金川研紹介’24 (2)

M1の留学生に研究室紹介を書いてもらいました。金川研としては新しいテーマである、膜の分子動力学シミュレーションに着手している学生です。日本語の一部のみ、金川が軽微な修正を行いました(金川)。


私のB4での研究テーマは、「膜で被覆されたマイクロバブルを複数有する液体中の超音波伝播に対する膜の表面張力の影響」です。この研究課題では、シェルを構成するリン脂質という非常に特殊な物質に出会いました。リン脂質は、親水性の頭部と疎水性の尾部を持つ分子の一種であり、その密度によって異なる相と構造を持ち、機械的特性も非常に複雑です。友人2人が並んでいる真ん中に立って、手をつないでいるところを想像してみてください。これはリン脂質のパッキングに似ている。友人があなたから遠ざかると、あなたは明らかに手にひずみを感じ(表面張力の増加)、友人が遠ざかりすぎると、あなたはもう相手の手を握ることができなくなる(破断状態)。一方、2人の友人が互いに近づくと、手のひずみを感じることは少なくなるかもしれない(表面張力の減少)。しかし、2人の友人があなたを両側から押し続けると、ある時点であなたはそれに耐えられなくなり、線から離れるが、手のひずみを感じないほどには近づかない(座屈状態)。これは単純な一次元の例だが、三次元の場合(東京の地下鉄など)も想像できるだろう。個人的には、「とらふぐ」が伸びたり縮んだりするときのイメージが好きだ(物理的な理由ではなく、ただ見た目が面白いから)。
超音波造影剤の場合、リン脂質の monolayer を扱う必要があり、monolayer 部の応力分布、圧縮性、表面張力などを正確に表現する必要があります。そのひとつが分子動力学シミュレーションであり、私はM1からは、それを学び、研究に応用しようとしています。しかし、すべてが順調というわけではありません。異なるスケールには、異なる問題が生じる。例えば、マイクロスケールにある熱ゆらぎによる、瞬間的な圧力(分子に作用する力から)の揺らぎが非常に大きくて、瞬間・局部的な値を使用しても、物理的な意味・物理的な応用のための解析がしにくいです。そのために、普通には長い時間でシミュレーションして、平均することが必要ですが、時間をかかるすぎる可能性が低くない。一方で、シミュレーションの結果(原子の運動・速度・作用される力など)を使用するとき、熱力学・統計力学の知識が要ります。私は現在その分野の知識不足を補完しています。
お正月の直後、金川先生のおかげで、私は東北大・流体科学研究所の馬渕拓哉先生の研究グループに、1ヶ月ぐらい留学しました。留学中に、毎日研究室に行って、シミュレーション・スクリプトを書いて、実行して、結果を見て、データを処理して、他の研究メンバーと相談しました。シミュレーション中、論文を読んで情報を集まり、研究の方向・意味・妥当性などを調べます。その上、研究室の報告会に参加して、他のメンバーの研究・問題・やり方について学びました。まだスパコンにアクセスできないので、一ヶ月間は長くないと感じる。しかし、たくさんのことを学んで、徐々にシミュレーションのスクリプトとポストプロセッシングのPythonスクリプトを書きました。
研究における問題が多いですが、必ず解決してみます。勿論、調べると理論・技術的に解決できない問題があるかもしれません(例えば、2x = 0, 2x + 1 = 0の解が存在しない)。それで、できるだけ限界まで調べて、問題を解決します。私はDに進学する希望があり、今回の研究はskill setを広める貴重な機会と思います(研究進度が遅いのはよくないと感じますが)。[M1]

分子動力学の共同研究

2023年夏より、東北大学流体科学研究所の馬渕拓哉先生の研究グループと、脂質膜の分子動力学シミュレーションに関する共同研究を開始しました。2024年1月から2月に、Nguyen Nam Quoc (M1) が、馬渕グループに1か月の留学を行いました。大変お世話になり、誠にありがとうございました。

流体力学の講義終了

工学システム学類2年生の「応用流体力学(2単位、秋学期ABモジュール(10-12月)、エネルギー・メカニクス主専攻)」の担当初年度を終えました。内容の中心は、基礎方程式系と非粘性流体の理論です。2年春「流体力学基礎(1単位、学類必修)」の後続科目で、3年春「流体工学(2単位)」や3年秋「気体力学(1単位)」などにバトンタッチする内容です。他科目とは異なり、講義資料を作成することができず、全て板書する形となってしまいました(板書をTwitterアカウント @kngw_lecture のハッシュタグ「#応用流体力学」に掲載しています)。金川個人も、流体力学を見直す機会となり、楽しんで講義をすることができました。

履修者にはmanabaで各種資料を掲載していますが、ここにも試験問題を掲載します。Navier–Stokes方程式の導出までは習熟度が高かったのですが、期末試験の出来を見ると、エネルギー方程式以降が難解だったように見えます。講義内での反応などから、流体力学に一定の関心をもってはもらえたように受け取っている反面、流体力学を敬遠されないか、危惧もしています。試験問題のレベルや講義方法などに改善すべき点が多いと考えています。

期末試験問題(平均56点)

小テスト問題(平均83点)

学生視点の金川研紹介’23(1)

B4の学生に紹介文を書いてもらいました(金川)。


2023年の4月に金川研に配属されたB4です。2024年以降も筑波大学の大学院生として金川研に残る予定です。今回は私がこの研究室に約9か月在籍してみて思ったことを書いていこうと思います。

・4月~9月ごろ
配属されてすぐはまず研究を進めるための基礎的な勉強を行いました。論文を読み、金川先生と週1回対面での指導を受けながらどのような研究を金川研では行っているのかを学んでいきました。2か月ほど経ち基礎的な知識が身についてくると自分のテーマが与えられその研究を進めました。テーマと関連がありそうな論文を見つけてきて自分の研究に論文の内容をうまく落とし込むというのを行います。ここでも週1回先生との面談を行い、定期的に進捗を報告します。自分はテーマが与えられた後たまたま成果がでたので、9月の学会発表に参加することになりました。8月は自身の研究内容を記述する原稿論文の作成と提出をして、9月は発表スライドを作成しつつ発表練習を行い、9月下旬に学会で発表を行いました。
ここまでで感じたことは学会に出ることの大変さと自分の勉強不足です。私は手計算で式の変形を行うのが好きなほうだったので、最初の基本的な勉強の段階から式変形ばかりをしていて、式が何を意味していてどんな現象を対象としているのかはあまり考えていませんでした。式変形だけ理解が進み、なおかつ先生や先輩の指導もあり早めに成果が出たのですが、その結果の物理的な意味や直感的な理解は何もできていませんでした。学会に参加することになり、自分の研究を知らない人たちに説明することになったとき、式変形の話ばかりしていても短い発表の中で理解するのは難しいので、物理的な意味や直感的な説明はとても重要であると学んだのですが、自分にはそれを説明できるだけの知識がなく、自身の勉強不足を痛感しました。学会までの時間はそこまでなかったので、改めて学びなおすのは大変でした。また学会発表ではスライドの作り方や発表の仕方をたくさんの指導のもと1から勉強したのですが、聴講者の前提知識や見え方などを考えて作るのがとても難しかったです。

・10月~12月ごろ
10月以降は学会の時にいただいた意見を参考にさらに自分の研究を深めるということに注力しました。たくさんの論文から情報を得て自分の研究に合うものを探しました。12月からは方向性が決まり、具体的な式計算を行ったり得られた結果の意味を考察したりしました。
この期間で感じたことは情報を得ることの難しさです。先生もすべてを知っているわけではないので基本的には論文を読むことで情報を得ます。論文は英語で書かれたものが多いため、探すときは英語で探すのですが、検索でひっかかるように日本語のキーワードを英語のキーワードに変換して、実際に中身を読んで理解するのは自分の想像以上にカロリーを必要とし大変だなと感じました。理由としては論文には式変形や必要とする前提知識を詳しく書いておらず、必要に応じてさらに引用されている論文を調べたり、教科書や参考書を読み漁ったりしなければならないからです。(単純に英語が苦手という理由もあります)ただおそらく金川研の場合は実験や解析がメインではない以上これが普通なのではないか、つまり研究の時間の大半は論文を読んで情報を得ることに費やすことになるのは当然だなと思いました。

・全体を振り返ってみて
配属される前は金川研の先輩方はみなさん優秀だし、入れば私も優秀になれるのではないかという甘い考えで希望したのですが、もちろん現実はそこまで甘くありませんでした。今一番感じているのは「先輩方の努力は本当にえげつないな」ということです。金川研の数々の華々しい成果の裏には先輩方の計り知れない努力があり、その成果を近くで見て、先輩方と直接話ができるというのはとても貴重なことであり、いい刺激がもらえるなと思います。また先生も生徒たちが研究を有意義なものにするために全力サポートをしてくださっていて、先生の手助けなしではこのようなたくさんの成果は得られなかったのだろうなと思います。しかし一番大事なのは自分で考えて自ら進んで行動してたくさんの努力をすることだと改めて学びました。最近は先生もかなり多忙なようでより一層自分で努力することが求められている気がします。コアタイムやゼミがないため、ほかの研究室に比べて縦のつながりが少ないかもしれません。一人で研究を進めるのは大変ではありますが力はつくと思います。ですが、先生もきちんと自分の意見を伝えれば親身になって答えてくれますし、今年から参加任意の飲み会も開催され縦のつながりもうまれやすくはなっています。まあ結局は自分の頑張り次第ということですね。私も金川研の一人として先輩方のようになれるように精進してまいります(B4)。

Phys. Fluids (新井)

新井秀弥 (M2) の論文が Physics of Fluids (IF2022=4.6, Q1) にアクセプトされました(2023年12月22日)。
気泡に働く重力、浮力、抗力、音響放射力(Bjerknes力)が波動伝播に及ぼす影響を理論的・数値的に調べました。

Arai, S. and Kanagawa, T., “How do various forces affect pressure waves in bubbly flows?,” Physics of Fluids, Vol.~36 (2024), in press

学生インタビュー記事

鮎貝崇広(D3)へのインタビュー記事が掲載されました。システム情報工学研究群で開催された博士後期進学説明会の座談会登壇を受けて、おもに、博士後期課程への進学の検討についての内容が書かれています。

日誌

B3の学生(早期卒業研究履修者)に日誌を書いてもらいました(金川)。

おそらくこの日誌を見て研究室配属を考える方もいらっしゃると思うのでなんだか少し責任があるような気もしますが(私もそうだったので)、私からは研究室配属後から今までどんなふうに研究が進んできたかと、9月に行った学会見学の感想を述べたいと思います。
私は早期卒業を希望しているので研究室配属時期が5月初めと遅かったです。そこから金川先生とオンラインや対面で面談を何回か行い、どういった風に進めていくのか、自分の興味が何なのか(生体膜とたんぱく質に関心があったがより掘り下げた)などを確認しました。春学期は主に勉強を行い、金川研で用いられている手法に関わる式の導出方法などを学びました。ただ、授業も普通にあったので研究関連の勉強の量は多くはなかったです。金川先生からは授業やテストを最優先にしてもよいと伝えられていたのでなんとなく気持ちは楽でした。実際に研究テーマが決まり、本格的に研究を始めたのは夏休みが始まる頃だったかと思います。とはいっても、金川研の研究は手計算がメインなので個人で行う部分がほとんどです。コアタイムや参加必須のゼミなどはなく、研究室に行く必要は全くありません。研究室に配属されて5か月ほどたちますが、私はいまだに研究室まで1人でたどり着けるかわからないです。これを利点と取るか否かは人それぞれだと思いますが、私は、一人で作業するのは嫌いではないので苦ではありませんでした。質問があればTeamsで先輩や先生に聞くことができて、先輩方は会ったこともない私にも、かなり親身になって答えてくれます。授業関連の質問にも答えてもらっていてとても助かっています。(過去問も豊富。) 夏休みは、主に家で、たまに図書館などで研究を行い、10-14日ごとくらいで先生と面談→進捗確認というような感じでした。秋学期になり、授業が始まってしまったので研究にさける時間は少なくなってしまうと思いますがうまくバランスをとってやっていけたらなと思います。
話は変わりますが、9月に流体力学会の年会を見学してきました。学会というものが初めてで何がどのように起こるのか全く分からず不安でしたが、色々な学生や先生の発表を聞いて、内容を理解できるものは少なかったものの、とても刺激的で有意義な時間でした。特に、金川研の先輩方の発表をみて、私も先輩方のように発表できるように頑張りたいと思えました。また、特別講演として聞いたBrown University のRoberto Zenit教授の講演では、Zenit教授の流体力学の研究への熱や愛が伝わってきて、研究者ってすごいなと思ったと同時に自分のモチベーションを高める要因にもなりました(B3)。

ターボ機械協会 創立50周年記念行事(金川)

(一社)ターボ機械協会の創立50周年記念行事に参加しました。


分科会ワークショップー国内若手研究者によるキャビテーション研究の最前線に関する講演会ーで、金川が、基調講演「気泡流の二流体モデルとそれに基づく非線形波動伝播の解析」を行いました(2023年9月20日(水)早稲田大学国際会議場)。

ターボ機械協会より、金川がチャレンジ大賞を受賞しました(2023年9月22日)。

学振特別研究員DC1内定

博士後期課程への進学予定のM2学生が、日本学術振興会 2024年度 特別研究員-DC1に採用内定しました。おめでとうございます。

研究課題名「超音波医療用の脂質膜で覆われた気泡のミクロとマクロを接続する新たな数理モデル」

金川研での博士後期進学者は2人目です。両名ともにDC1に採用されています。

JSCESサマーキャンプ

日本計算工学会夏季学生講演会2023(サマーキャンプ)(2023年9月23-24日、筑波山)に参加し、以下の講演を行いました。また、長谷川(M1)が優秀ポスター賞を受賞しました。

今後、数値計算のウエイトを増やそうと考えており、学生含め初参加でしたが、普段交流できない方々と情報交換することができ、充実した2日間でした(金川)。


鮎貝崇広(D3):博士学生の招待講演「気泡を含む液体の流れを記述する基礎方程式の開発とマグマへの応用」

長谷川建(M1):ポスター発表「気泡を含む液体の弾性が超音波の弱非線形伝播に及ぼす影響の理論解析」【優秀ポスター賞を受賞】

川畠稜輝, 金川哲也, Chabouh, G.: ポスター発表「異方性を有する弾性膜で覆われた医療用マイクロバブルの非線形数理モデル」

金川哲也:学生向けの招待講演「博士進学と大学教員の実態と魅力(ある個性派教員の場合)」

日本流体力学会 竜門賞

金川が、日本流体力学会より、2022年度学会賞の竜門賞を受賞しました(2022年12月17日付)。長い間憧れていたので、とても嬉しく光栄なことであり、今後も流体力学の研究に励みます。ご推薦、ご選考、ご指導いただきました先生方に感謝申し上げます。

学会誌『ながれ』2023年6月号(第42巻第3号)に解説記事を執筆させて頂きました(PDF版が掲載されました(2023年8月22日更新))。日本流体力学会年会で受賞講演を行います(2023年9月20日)。


日本流体力学会竜門賞について:流体力学の発展に寄与した論文を査読のある雑誌に発表し,独創性と将来性に富むと認められる個人(40歳未満の当該学会会員)に授与する.

TRiSTAR フェロー (金川)

金川が、大学×国研×企業連携によるトップランナー育成プログラム(TRiSTAR)の育成対象者 (文部科学省「世界で活躍できる研究者戦略育成事業」) の第3期フェローに認定されました(2023年7月12日付)。

課題名は「気泡と超音波の相互作用の数理モデルを基軸に置いた生命や地球への分野横断・異分野融合型の応用の探究」です。国際共同研究の強化と産学連携研究の開始などに向けて尽力します。

JASSO第一種奨学金免除

昨年度修士卒のOB(金川研4期生)3名のうち、JASSO第1種奨学金を貸与していた2名より「特に優れた業績による返還免除」を受けたとの連絡をもらいました(1名全額免除、1名半額免除)。誠におめでとうございます。

金川研では、OB・OGを含め過去の貸与者全員(累計10名;うち、4名全額免除、6名半額免除)が返還免除を受けており、全額免除者も毎年継続的に出ています。

Phys. Fluids (異方性シェル気泡)

川畠稜輝(M2)の論文が Physics of Fluids (IF_2022 = 4.6, Q1) から出版されました(2023年7月12日)。

フランス Sorbonne Université の G. Chabouh博士との国際共著論文です。異方性を有するシェルで覆われた気泡群の非線形音響特性を理論的に調べました。発展課題として、超音波診断応用上有益な、減衰の抑制と非線形性の増強を両立可能な異方性のパターンはありうるか等を、目下検討中です。


Kawahara, R., Kanagawa, T., and Chabouh, G., “Nonlinear ultrasound propagation in liquid containing multiple microbubbles coated by shell incorporating an anisotropy,” Physics of Fluids, Vol.~35 (2023.7), 073312.

Ultrason. Sonochem. (粘弾性混相媒質中の集束超音波)

加賀見俊介(元M2)の論文が、Elsevier の Ultrasonics Sonochemistry (IF=9.336)(Q1: Acousticsで1/32) から出版されました。 集束衝撃波によるキャビテーション結石破砕医療を想定し、3種類の粘弾性構成式を用い、二相媒質中の超音波伝播の数理モデルを構築し、肝組織を例示した数値計算を行いました。


Kagami, S. and Kanagawa, T., “Weakly nonlinear focused ultrasound in viscoelastic media containing multiple bubbles,” Ultrasonics Sonochemistry, Vol.~97, 106455 (2023.7)

JSME若手優秀講演フェロー賞

川目拓磨(元M2)が、日本機械学会若手優秀講演フェロー賞を受賞しました。 受賞対象論文は「相変化を伴う気泡流中での圧力波伝播の理論解析」(2023年3月:関東支部第29期講演会)です。 20名に1名の高倍率で授与され、発表内容の新規性やレベルも評価対象となります。

学生表彰

鮎貝崇広(D3)が、ターボ機械協会第88回総会講演会(福岡)において、若手優秀講演賞を受賞しました。21名の若手講演者中、2名の受賞者の内1人に選ばれました。

講演題目は「高精度キャビテーション予測に向けた気泡流モデルの開発とその安定性解析」で、気泡流の二流体モデル基礎方程式に関する内容です。原著論文はこちらです

早期卒業研究B3配属

早期卒業研究を履修中の工学システム学類3年生の1名が金川研に配属されました。飛び級に相当し、3年次には講義と卒研を並行で進め、3年間での卒業(学士号)を目指すものです。2年次までの成績が極めて良い場合に履修が可能となります。

研究群HPにOBの2名のメッセージ掲載

2022年度筑波大学院システム情報工学研究群長表彰の受賞者の方々による、受験・入学を検討される方向けのメッセージが掲載されました。金川研(構造エネルギー工学学位プログラム)2022年度博士前期修了の加賀見俊介氏と川目拓磨氏も書いています。

Int. J. Multiph. Flow (二流体モデル方程式)

鮎貝崇広(D3)の論文が、Elsevier の Int. J. Multiphase Flow (IF_2021 = 4.044, IF_5year = 3.972; Mechanics で Q2 (37/138); CiteScore = 6.4) から出版されました(2023年5月3日)。

キャビテーションの影響を評価するための平均化気泡流モデルに対し、熱減衰の効果を表すエネルギー保存方程式を新たに導出しました。このエネルギー保存式が、基礎方程式系の解の安定性を向上させることも示しました。

Ayukai, T. and Kanagawa, T., “Derivation and stability analysis of two-fluid model equations for bubbly flow with bubble oscillations and thermal damping,” International Journal of Multiphase Flow, Vol.~165 (2023.8), 104456. 

サイエンスカフェ講師(金川)

2023年5月1日、茨城県立並木中等教育学校におきまして、SSHサイエンスカフェ「暮らしの中の流体力学~物理と数学の世界~」の講師を務めました。生徒さんからは鋭いご質問を多く頂きました(金川)。

Nonlinear Dynamics (超音波造影気泡の非線形連続体力学)

Nguyen Nam Quoc (M1) の論文(粘弾性膜の表面張力変化・座屈を伴う超音波造影剤の群としての数理モデル)が、Springer の Nonlinear Dynamics (IF2021=5.741; Engineering, Mechanical および Mechanics でQ1) から出版されました(2023年4月26日)。


Nguyen, N.Q. and Kanagawa, T., “Nonlinear ultrasound in liquid containing multiple coated microbubbles: Effect of buckling and rupture of visco-elastic shell on ultrasound propagation,” Nonlinear Dynamics, Vol.~111 (2023), 10859–10877.

笹川科学研究奨励賞(加賀見)

Phys. Fluids (粘弾性キャビテーション)

長谷川建(M1)の論文(粘弾性気泡流中における超音波の数理モデリングと数値計算)が、AIP Publishing の Physics of Fluids (IF2021=4.980, Q1) から出版されました(2023年4月5日)。最近実験研究が盛んに見受けられる粘弾性キャビテーションの予測や生体媒質モデルへの活用などが期待されます。

Hasegawa, T. and Kanagawa, T., “Effect of liquid elasticity on nonlinear pressure waves in a visco-elastic bubbly liquid,” Physics of Fluids, Vol.~35, Issue 4 (2023.4), 043309.

Int. J. Multiph. Flow (多分散気泡流)

川目拓磨(元M2)の論文(多分散気泡流中における弱非線形波の伝播)が、Elsevier の Int. J. Multiph. Flow (IF2021 = 4.044) から出版されました(2023年4月5日)。

Kawame, T. and Kanagawa, T., “Weakly nonlinear propagation of pressure waves in bubbly liquids with a polydispersity based on two-fluid model equations, ” International Journal of Multiphase Flow, Vol.~164 (2023.7), 104369.  

JSME卒研発表講演会ベストプレゼン賞

日本機械学会関東支部第62回学生員卒業研究発表講演会(2023年3月16日、オンライン開催)において、長谷川建(元B4、現M1)の口頭発表「気泡を含む粘弾性体における超音波の理論解析」が、Best Presentation Award を受賞しました。

当該発表内容の一部は既に国際誌に掲載されています。

2023年度

2023年度のメンバーは、D3の1名(学振DC1)、M2の3名、M1の4名、B4の2名、学生は計10名です。M2は博士後期進学も視野に入れています。M1は全員学内からの進学です。B4は、今回から卒研配属が遅くなり、まだ勉強に着手し始めた段階で、5月頃には研究テーマを決められればと考えています。

理論・数理を基軸に置く方針に変化はありませんが、数値計算のウエイトの増強、実験研究者との連携、生体応用(医用超音波)への新展開を強化したいと考えています。昨年度より、細胞膜の生物物理に関する学内共同研究、医用超音波と固気液三相連続体力学の国際共同研究に着手しており(国際共著論文1編採択)、理論だけでは手の届かない領域を相補・連携によって開拓したいと考えています。

研究室とは無関係ですが、金川は、

  • 2021年度から立ち上がった、総合学域群第2類(理系I)の1年生のクラス担任を仰せつかりました。2018~2021年度に工学システム学類の担任を4年間持ち上がってから、1年ぶりの担任業務ですが、選抜制度・学類移行等について右も左もわからない状態で、勉強中です。
  • 京藤敏達先生がご担当されていた、応用流体力学(2年秋学期ABモジュール、火曜3・4限、2単位)を新規担当させて頂くこととなりました。流体力学の基礎方程式系の理解に大きなウエイトを割く予定で、準備を進めています。熱力学基礎、応用熱力学、応用数学A(後半)、エネルギー・メカニクス専門実験(沸騰伝熱分担)、混相流工学(分担)は継続担当します。

今年度もよろしくお願いします(金川、2023年4月1日)。

研究成果報告(JKA研究補助)

公益財団法人JKA様の「2022年度 水中の衝撃波とソリトンそして気泡の利活用による水管の損傷抑制と管壁洗浄の技術開発 補助事業」を遂行し、以下の成果を上げることができました。なお、本研究は、競輪の補助を受けて実施しました。ここに報告するとともに、ご支援に感謝を申し上げます(2023年3月31日 補助事業者:金川哲也)。


1.研究の概要
水管は、ライフラインやポンプなど、我々の生活に欠かせない必需品である。本事業では、この水管に見られる損傷を抑制すると同時に、管壁の汚れを洗浄することを目指す。水管損傷の要因は、水流中における衝撃波の形成である。衝撃波は損傷を招く悪者だが、水流中に空気を流し、マイクロバブルを効果的に用いると、衝撃波をソリトンという安全な波に変換できる。一方、衝撃波を適切に利用すると管壁の洗浄も可能となる。以上のために、衝撃波とソリトンの切替を可能とする理論的基盤を確立させる。
2.研究の目的と背景
目的は以下の2点に集約される。いずれも、衝撃波とソリトンの制御と利活用が本質であり、衝撃波とソリトンを記述可能な数理モデルを構築し、衝撃波とソリトンそれぞれの形成条件を解明する:(1)水中における気泡の振動のうち、弱い非線形性のみを上手く利用して、衝撃波をソリトンに変換し、その上で水管から放出させて損傷の懸念を排除する。本構想は前例がないため、実現に向けた基盤理論から構築する。(2)逆の原理で、水管に除去すべき汚れが存在した場合に、弱めの衝撃波の熱的散逸効果を利用して汚れを洗浄する。
3.研究内容
上記目的の(1)と(2)において鍵となるのは、衝撃波とソリトンである。そもそも、衝撃波は圧力波の非線形効果と散逸効果の釣合で、ソリトンは非線形効果と分散効果の釣合によって形成される。非線形効果に対する、散逸・分散効果の比率という意味において、形成の起源は似ているが、両波の物理的性質は全く異なる点が重要である。そこで、非線形・散逸・分散という「3性質」を求め、比較を要する。しかし、実験と数値計算からは計測値(圧力等)や波形という現実概念は判明するが3性質を求められない点が重要である(「分散計」は存在しない)。
そこで、理論的視点に立つと、衝撃波とソリトンを共に記述可能な数理モデルを創ることが可能である。それは、「弱非線形方程式」という、非線形項・散逸項・分散項の線形和で、3つの係数が3性質の大きさを表す方程式である。弱非線形方程式は、気泡流の運動全てを記述する基礎方程式系(約10連立方程式)から導くことができる。弱非線形方程式を導けたならば、3性質の係数が確定するので、3性質の大きさが判明し比較が可能となり、発展波形が予測できる(例:非線形=100、分散=99、散逸=2ならばソリトン)。仮に、係数から予測が不可能であっても、弱非線形方程式1本の数値解析から波形が得られる。
(1)損傷抑制:水に気泡を混入させると、波の分散性が現れ、分散と非線形が釣り合うとき、危険な衝撃波をソリトンに変換することができる。そこで、散逸を抑制し分散を増幅させて、衝撃波のソリトン変換によって、水管の損傷の回避を目指す。
(2)洗浄:逆に、衝撃波を形成させることによって、管壁の汚れを、衝撃波の熱的な散逸効果によって洗浄する。気泡振動の振幅の適切な制御により、散逸効果の向上を狙う。
<参考>本研究にかかわる知財・発表論文等(特に代表的な成果論文):
1) Kanagawa, T., Ishitsuka, R., Arai, S. and Ayukai, T., “Contribution of initial bubble radius distribution to weakly nonlinear waves with a long wavelength in bubbly liquids,’’ Physics of Fluids, Vol. 34 (2022), 103320. 
2) Hasegawa, T. and Kanagawa, T., “Effect of liquid elasticity on nonlinear pressure waves in a visco-elastic bubbly liquid,’’ Physics of Fluids, Vol. 35 (2023), 043309.
3) Kawame, T. and Kanagawa, T., “Weakly nonlinear propagation of pressure waves in bubbly liquids with a polydispersity based on two-fluid model equations,’’ International Journal of Multiphase Flow, Vol. 164 (2023), 104369.
4) Ayukai, T. and Kanagawa, T., “Derivation and stability analysis of two-fluid model equations for bubbly flow with bubble oscillations and thermal damping,’’ International Journal of Multiphase Flow, Vol. 165 (2023), 104456.

学位記授与式・学生表彰

2023年3月24日、金川研から7名(M2の3名、B4の2名、B3の2名)が修了・卒業しました。

全学卒業式において、長谷川建(B4)が工学システム学類総代を務めました。研究群学位記授与式において、加賀見俊介(M2)が構造エネルギー工学学位プログラム代表者を務めました。

12件の表彰がありました:

[修士]

  • 日本機械学会三浦賞(加賀見俊介・川目拓磨)
  • システム情報工学研究群長表彰(加賀見俊介・川目拓磨)
  • 構造エネルギー工学学位プログラム長表彰(田中克典)
  • 筑波大学校友会江崎玲於奈賞(加賀見俊介)

[学士]

おめでとうございます。

プレスリリース(Phys. Fluids)

超音波造影診断用の膜で覆われた気泡の集団としての音響特性を調べ、膜の圧縮性による超音波の減衰が、液体の圧縮性による減衰よりも大きい場合(造影剤)がある点を、理論的に予測した論文が、AIP (米国物理学協会)の Phys. Fluids (IF = 4.980) (MechanicsでQ1(18/138); Physics, Fluids & PlasmasでQ1 (2/34)) から出版されました。

筑波大学からプレスリリースが出ました。


Kanagawa, T., Honda, M., Kikuchi, Y., “Nonlinear acoustic theory on flowing liquid containing multiple microbubbles coated by a compressible visco-elastic shell: Low and high frequency cases,” Physics of Fluids, Vol.~35, Issue 2 (2023), 023303. 

学生視点の金川研紹介(5)

4年間(内1年間休学)在学したM2の学生に紹介を書いてもらいました(金川)。


本研究室の特徴・売りなどは、他の研究室生の方々が綿密に書いてらっしゃるので、私個人が4年間金川研究室にいたことを振り返って、徒然なるままに書いてみます。以下、研究室選びに参考にならない情報が多いので、その場合、他の研究生が書いた情報を当てにしてください。

〇志望理由
厳密かつ分かりやすい授業を通じて、研究室に興味を抱いた。ゼミが無く、コアタイムが皆無。実験が肌に合わなかったので、理論研究がいいと思った。以上。

〇研究テーマ
自分から「これがやりたい!」「これをやらせて!」みたいなのがあれば、先生と相談の上で進められると思われる。が、おそらく、ほとんどの研究室生は、先生からの打診によってテーマが決まっただろう。少なくとも、自分の場合はそうであった。打診された内容に興味があり、できそうなら決定。そこまで興味がなく、遂行できなさそうであれば、他のテーマに……といったところか。研究室生によって決め方は異なってくるのかもしれない。ちなみに、フットワークの軽い理論研究だからこそかもしれないが、3年間で2つ以上のテーマを受け持つ人も一定数いる(ただし、同時に、2つ一遍に研究を進めることは、あまり無い)。
研究室全体の研究テーマに関して少し付言しておくと、理論研究;すなわち流体力学や音響学などにおいて、学術的な基礎理論を深化させることを中心に研究していること自体、国内・国外問わずあまりないと思われる(学会参加してみて、周囲の研究を見ていると、なんとなく分かる)。また、応用先が多様になりうることも無視できないだろう。応用先としては、医療工学(例えば、気泡・音波を用いたDDS,がん治療)や土木工学の分野だけでなく、最近では地震・火山活動の分野も射程圏内であり、さらなる研究発展の余地が見込まれる。

〇研究の進め方
基本的には、先生とのマンツーマンの上で、研究は遂行される。週1程度で研究の打ち合わせ(進捗報告)がある。コロナ前は対面であったが、収束?した今となっても、基本的にはTeamsを通じて行われる。おそらく、これからもTeamsを活用するスタンスで研究のやり取りは行われるだろう。このため基本的に、研究活動のほとんどは自宅で済ますことができる(研究も紙・ペン・パソコンがあれば研究できるので)。弊害があるとすれば、研究室に行く必要がないことかもしれない(宅通である自分は1年くらい研究室に行っていない……)。打ち合わせ日時は、基本的には融通が利く。研究で相談したいことがあったりすれば、自分から進んで打ち合わせを希望することも可能である。

〇研究室の最近の雰囲気
意外にも、理論研究をする人のイメージとは裏腹に、元気な人が多い印象を受ける(必ずしも体育会系を意味しないことに留意)。そのためか、最近、小規模ながら学生主体の研究会のようなものが催されており、活発なやり取りが行われている。自分は参加できていないのであくまで推測でしかないが、他人の研究のやり方、抱く悩み、考え方に触れることができる機会は、この研究室ではあまりないので、自分としてはとても良い兆候のように感じている。

〇学会(感想)
日本国内で催される国内学会と、海外で催される国際学会がある。本研究室は論文だけでなく、学会発表にも重きを置く研究室なので、研究室に所属した人は基本的に国内・国際のどちらも経験することになる。自分の場合、コロナの影響でオンライン発表ばかりであった。オンライン発表であれば、全て自宅で済む。それはそれで長距離移動に手間取ることないし、現場の緊張感も半減されるので、楽である。しかし楽な分、切り捨てられ、触れることができないものは、当然のごとくある。もちろん、観光ができないのは悲しいことだが、おそらくオンサイトの醍醐味はそれだけではないだろう。

そう思うに至るのは、自分が数か月前、ようやくオンサイトでの学会に参加することができた、個人的な体験に由来する。一口で言うと、“現場性”のようなものになるのかもしれない。それは、個人的な体感であって曰く言い難い。もしかすると、これから書くことは、思い違い・妄言かもしれない。単刀直入に言えば、学会とはなんたるかをようやく垣間見たような気がしたのであった。「なぜ、学会などという“人間”の営みがあるのか?」 私が現場で感じ取ったものは、言葉にしづらいが、少なくとも単なる情報交換以上のものがあった(気がする)。もしかすると、みんな久々のオンサイト学会だから浮足立って活気づいていた……からかもしれない。……しかし、卒業する今となっても、結局“学会とは何か”まだよく分かってなどいない。何はともあれ、最近ではようやく、オンサイトで催される国内・国際学会が目立ってきたので(十分にコロナに気を付けた上であるが)、発表準備にあくせくしながらも、学会を愉しんで頂きたい(迷走してしまったが、堪忍してください)。

〇休学について
実は、自分は大学院の間に1年間の休学をした身である。休学した理由などは省くが、ひとまず、一般的な情報を書いていこうと思う(詳細な部分は、先生やら支援室のほうに問い合わせてほしい)。
以下、ほとんどのB3には関係ないかもしれないが、休学する大学院生は、少なくはないらしい。他大学では不明だが、筑波大では休学に関する費用はかからない。0円である。しかも、どのタイミングで休学を開始して、どのくらいの期間休学をするのかもある程度の自由がある。参考までに、自分の場合、本来ならば卒業間近である12月から休学を開始して、翌年の10月に復学している(在学中の学費は生じ、休学中の学費は生じないことに注意すること)。秋学期から復学する場合、通年科目の是非が心配されるが、担当教員と話を通じて許可をもらえれば、秋学期分の授業を受けるだけで良いことになる(ありがたい)。

奨学金については、自分は日本学生支援機構のものを受けていたが、給付が停止されるだけであった。 さて、休学するか否かずいぶん迷ってしまった情けない自分であった。しかし、僥倖にも自分の場合、金川先生だけでなく、諸担当教員と相談することができた。普段の学生生活からは想像できないことであるが、先生方は何も、学問だけの先輩ではなく、“先”に“生”きる人ゆえ、生きる(?)にあたって有益な助言を頂戴することができたりする。もちろん、友人・親に相談することもあるだろう。ただ、先生方も良き相談者になりうることは留意しておくと、損はない。

・休学期間何をするか?
休学する学生はいわば、学生という仮身分を持った、剝き出しの人間となる。基本的に自由である。海外インターン行っても良し。引きこもりになっても良し。とにかく、自由である。しかし、自由は必ずしも良いものではなく、かえって重荷になることもある。その時間の使い方は個人の資質が問われ、どんな人生経験を積むかはあなた次第である(1年無駄に年を食う場合だってある)。復学に向けて、研究をしても構わない。私も色々と一段落したころになって、夏から研究を再開しようとし始めた。  

・休学と就活
M2であった自分の場合、当然、休学期間に就職活動をすることになった。会社にもよるので、一般的なことはわからないが、個人的な印象としては、休学したからといってマイナスな印象を持たれることはない。問われるとするならば、休学中に「何を、どのような目的で遂行したか」にあるだろう。しかし、休学中に何をしていたかをそこまで聞いてこない会社もチラホラとあったりする。

・個人的な教訓
悩んで、それを晴らしてから行動するものだと思っていた。しかし、実のところ、逆もありうるように思えた。行くところ行ってから、悩む。そのようなパラドキシカルな方法が、あると思う……これはおそらく、研究にも関係してくると思う。

〇どんな力がついたか
4年間で具体的にどんな力がついたのか。難しい。しかし、明らかにB4の頃の私と今の私は違う。何が違う?数学・物理的知識,文章の書き方,プレゼン能力……と言おうと思ったが、あえて抽象的に捉えてみると、いい加減な言葉かもしれないが、「批評性」といったところだろうか。批評性。「これじゃない……これじゃない……これだ!」作って直す、また作って直す……その繰り返しの中で、切り捨てる情報、取り入れる情報の選択眼が芽生えてくる。「本当にこれか?これはどうだ?」観点を変えて見てみることも重要だろう。自分でうまくやれたと思ったところが、問題点になっていたりするのだ(だからこそ、論文・プレゼンを作るうえで、他者の視点,客観・公的な観点が重要になってくる)。先生方を見ていても、この辺の情報作業がとても効率的なものになっていることは窺え、無駄がなく洗練されている(professor,professionalの語源は、「公言する」ことを含意している)。うまく言えず申し訳ないのだが、ひとまず、この力(?)の自覚と発達が挙げられるかと思われる。

〇研究室配属レース

現在のシステムは微修正されているみたいですが、4年前、自分が経験した配属レースの印象を述べておきます。

確か2人枠に5~7人で混戦したと思います。決して成績が良いとはいえない自分は、実は最初から最後まで金川研にエントリー?していたわけではありません。一時期、あまりにも混戦していたので、何となく別の研究室(第2希望)に唾つけたまま、静観していました。たぶん、同じような人は多かったのかもしれません(たぶん、このようなタイプの人が多いと変動が生じやすいのかも?)。

GPAバトルが繰り広げられ、ある程度落ち着いてきた終盤戦のちょっと前、ちょうど金川研希望人数が2人になったタイミングを見計らってGPAバトルを挑んでみたところ、勝っちゃいました。負けたらおとなしく第2希望で勝負しようと思っていたので、ラッキーでした……

今ふり返ると、滑稽ですね(他の研究室ではもっと熾烈でドロドロの心理戦が繰り広げられていたみたい?)。晴れて私は、そのまま金川研に配属という形になりましたが、しかし落ち着いていた終盤にバトルが生じるとどうなるか。無論、ビリヤードのようにカオスティックな玉突き現象が発生し、各研究室において再度GPAバトルが生じます。これは終盤間近で落ち着いていた人からすれば、たまったものではないでしょう。それゆえ、あまり1つや2つの研究室に固執せず、候補先の見当は広げた方が良いと思います。

一応、負けた人たちのその後についてフォローしておくと(ぶっちゃけ友人でもなかったので良く分かりませんが)、そんなに何か、人生で重大な出来事になってしまったみたいな印象はないです。普通に皆さん学生生活をエンジョイしている気がします。要するに何が起きて、どうなるのか、分かったものではありません。希望する人気研究室に入っても「なんか反りが合わない」(そして最悪、鬱になる)こともありますし、「ここは嫌だ、おしまいだ」と言っているわりに、何だかんだで性に合っている研究室だったりすることもあります。もしかすると、諦めていた研究室に入ることだって、ありえるかもしれません(M2)。

学生視点の金川研紹介(4)

B4の学生に金川研の紹介を書いてもらいました。主に、国際誌への原著論文投稿のプロセスに焦点をあててもらいました。学振DC1申請(=M2の5月)までに論文採択を目指した指導を重視しています(博士後期課程に進学しない場合でも、博士前期在学中の採択を目指し、ほぼ全員が達成しています)。ただし、意欲や成果次第ですが、早い場合には、B4であっても投稿例・採択例が複数あります(金川)。


こんにちは。金川研B4の学生です。

金川研に配属された当初から取り組んでいたテーマで論文を書き、幸いにも論文を採択していただくことができました。論文を書く過程で、金川先生をはじめとして、研究室の方々から多くの有意義な議論や指摘を頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

ここでは、私が論文を書く過程で受けた指導を交えて、金川研の紹介をしたいと思います。

・どのような指導を受けたか

卒論のテーマは、配属後比較的すぐに決定しました。夏頃までは、

  • 文献調査と数式変形を行い、定期的に進捗報告する
  • 今後の方針に迷ったときは逐次相談し、研究の方向性を決める

といったことをひたすら繰り返していました。研究の相談は基本的にチャットで行いますが、チャットのやり取りだけでは難しいようならばオンライン面談(対面も可)を行うという感じで、面談については希望すればすぐに日程調整をお願いすることができます。このように、相談できる機会が比較的多いことは、研究作業を進めるうえで有利な点であると思っています。

その一方で、ゼミや定例ミーティングはないので(ただし、配属直後は基礎知識の勉強や研究打合せがあるため、定期的に金川先生とのマンツーマンのミーティングが入ります)、一人で考えていても分からないことがあったら自分から相談を申し込むなど、主体的に動く必要はあります。

私の場合、数式変形が完了し、データもそれなりに集められたのが9月頭ごろで、その頃から論文執筆に着手し、書ける部分から書き始めました。数日に一回原稿を提出し、指摘を受けた部分を修正し、必要があれば面談する、ということを何度も繰り返すうちに原稿が出来上がっていきました。10月中旬~下旬に原稿が完成し、論文を投稿しました。

・何がきついか

これは他の方もおっしゃっていることですが、金川研は作文の指導に力を入れていることもあり、文章の書き方に関してはかなり厳しいと思います。大学の講義で課されるようなレポートとは異なり、論文では研究背景から始めて、研究手法、内容、結果、議論を一本のストーリーとして筋が通るように書くことを求められますが、私はそのような文章の書き方には全く慣れていなかったため、毎回の添削で大量の指摘を受けました。指摘には、論理展開がおかしいなど本質的なものから、段落構成が不自然、文法語法がおかしいなど、研究の内容とは直接関係していないが文章の書き方としてまずいというものまであり、大半の指摘は理屈で詰められるので、慣れていないうちはきついと感じるかもしれません。ただし念のため、理屈で詰められるとはいっても、あくまで研究内容に対してであり、決して人格などまでも否定されるというわけではないです。実際、指摘内容を後から振り返ってみると、確かにあれはおかしいな…と思うことも多々あります。また、図表の書き方、キャプションの書き方、論文特有の英語表現を知らなかったので、新しく覚えることが大量にあったのも個人的にきつかったと思っています。

加えて、査読の対応も大変でした。様々な視点から鋭く指摘を受け、当然ごまかしは一切効かず、査読者が納得できるように丁寧に説明することが求められました。査読者への回答書の書き方についても、論文と同様に金川先生に細部までご指導頂きました。以前、先生からは、大変さでいえば、理論解析自体よりも、むしろ論文を投稿して査読者と戦うことの方だというようなことを聞いていましたが、その通りでした…

・得られたと思うものは何か

まずは、テーマの決定からはじめて、研究結果を論文にまとめるまでの過程を実際に経験できたこと自体が非常に価値のあることだと思っています。その上で、論文を完成させる過程で、日本語・英語問わず文章を書く力、情報収集能力、効率の良いタスク処理の方法などを身に着けることができました。

一方、査読対応で如実に感じたことですが、書き手として伝えたい内容が客観性を欠いていると、読み手に全く伝わらないということを実感しました(このことが分かったのは収穫でしょうか)。日頃から客観的に明快で読みやすい文章を書けているか?を意識することで、次に論文を書く際にはより質の高い論文を書けるように精進します(B4)。

講演表彰(CFDシンポ)

鮎貝崇広(D2)が日本流体力学会より若手優秀講演表彰を受賞しました。比較的最近着手したテーマでの受賞となりました。

対象講演:マグマ気泡流中における地震波伝播を記述する数理モデルとその数値解、第36回数値流体力学シンポジウム(2022年12月14~16日)

学生視点の金川研紹介(3)

B4の学生(留学生)に研究室の紹介を書いてもらいました(金川)。


私は2022年2月に金川研究室に配属されたB4です。留学生ですので日本語がおかしいところは気にしないでください。今までやったテーマは金川研究室の先行研究:「液体中にある気泡の媒体に入射する超音波の伝播の特徴」の他の方面で調べます。ただし、私の研究は「バイオ・医療」の方面に着目し、超音波造影剤の「リン脂質シェル(phospholipid shell)の座屈(buckling)と破裂(rupture)」による、(多数気泡を含む液体の中に)超音波の伝播にどんな影響があるか」を調べています。流体力学と材料力学をあわせたテーマと言えます。研究で得られた情報は学会で発表し、海外のジャーナル論文に書きました。

・学会発表で得られたもの
学会に参加・発表の前には、金川先生から作文・プレゼンに対し細かい指導が入ります。普通、学会のための原稿はA4の2-5枚ぐらい必要です。学会によって、ポスタ・スライドを作ることも必要ですが、私に対してもっと難しいのは「どんな部分を重視しなければならないか」です。学会・セッションによって、参加者の期待・自分のテーマの基礎と見慣れる程度が違いますので、発表の内容を調整し、編集しなければないことをわかりました。しかしながら、私の経験は不十分なので、編集が必要な部分は金川先生の指導のおかげでわかりました。その上、口頭発表には、練習の段階で金川先生から軽微なところまで、かなり細かく添削して頂きました。学会は自分の得られた情報を発表する機会だけでなく、他の研究グループからの知識や進み方や見方などをよく学び、他の先生・研究者・学生からの意見とネットワーキングも得られたために、研究や自分の進歩に対する利点が少なくないと思います。特に、実戦から、仕事・社会に重要なソフトスキルの一つとしてプレゼンのスキルはまだまだ不十分なことも確認でき、今後頑張ります。

・論文投稿で得られたもの
論文投稿の過程について書きます。金川研の先行の論文の骨に基づいて、8月に論文を書きました。問題設定、理論解析からの情報についての文章は、先行研究と似ているために書きやすいですが、IntroductionまたはDiscussionはきちんと・正しく書くことはやさしいではないと感じました。Introductionは他の研究グループの結果を正しく紹介し、自分の研究はどんなことが新しいか、どんな貢献を持つかを述べました。情報を得るために、文献レビュー(Literature Review)し、多く論文を読むことが必要です。私に対して、論文を読む時、頭の中で、著者らとの会話を想像し、著者と相談し、情報をまとめます。論文を100%理解や全ての式を自分で導出までは残念ながらできませんでしたが、手法の考え方・結果・結論・式の意味・式の解析に注意し、様々なことを学びました。一方で、discussionは自分の得られた情報を解釈することで、biasedでない文章を書いた方がよく、簡単なタスクではないと思います。今回の論文は幸いにも採択されましたが、もっとわかりやすくて、もっとコンサイス、もっと自然な表現を使用したいので、今後自分の英語能力・表現方法も改善のための必要があります。

査読の過程では、referees からコメントとリビジョンの要求を受けました。refereesのコメントから自分の説明方法や自分の知識を改善できるので、感謝します。実は、refereeの詳しいコメントから、研究のlimitationをもっと明らかになり、refereeからすすめられた論文と情報提供のおかげで、研究のlimitationを解決できる可能性がある手法も得られました。結果として査読の過程はストレスせずに、きちんとrefereesのコメントを眺めて、研究に対する価値が高まることが少なくないと感じました。

論文が採択されたは「勝」までもないですが、用心し、心の中に「勝って兜の緒を締めよ」を刻みます。研究が進むと自然的に、様々な新しい困難を出たが、落胆しないで、面白いと思います。一歩一歩解決しながらすすむと感じます。

・他の学生の雰囲気と学生との研究面での交流
日本人ではないので、言語の壁で、効率が高い話しが難しい面がありますが、研究室の先輩や同輩方から私の質問・議論について熱心なアドバイスをもらいましたのでほんとに感謝します。研究面での交流で、新しい考え方・問題解決する手法などは自分の研究によく助けます。私に対して、印象がもっと強いのは、アイデアを交換する時、研究室の皆様はpositiveな意見を挙げて、私の意見を否定せずに聞いてくれることです。このことはとても快適な環境だと思います。自分の経験から、アイデアと自分の「我」を強く言う人が少なくないと感じるので、金川研の学生方のように快適な研究相談ができる環境は、私に対して幸運なことです。

・普段の過ごし方
段階や学期によって変わりますが、一週間内は研究:4日、自由:1日、授業と宿題:2日です。授業がない学期には1日は自由、残りの日は研究の日です。研究のための日はだいたい6-9時間ぐらいで研究しました。どう過ごすかは自由日に決めました。例えば、段階Aの式1と式2を変形するのは4時間ぐらいかかり、式3を変形するのは5時間かかると予想すると、一日中は式1,2だけを式変化し(式3は次の日に)、1-2編の論文を読みます。文献レビューの段階には論文を読んでばっかりですが、情報を体系・まとめの時間もあります。もちろん、予想外の事態もありますので、予定を細かく立てすぎると困るから、予定は大体で設定します。もっと早く終わると残りのタスクを部分的に準備・完成します。強制参加のゼミやコアタイムなどはないので、自分は好きな場所、好きな時間で研究することできるので、ストレスはよくコントロールできますが自己管理も必要です。

・厳しい、きつい面、緩い面
自分に対しては言語の壁以外には、厳しいことがほとんどがないと感じます。理由のは、金川先生からは指導やアドバイスの意味と理由も含めてよく説明されるので、強制される感じがあまりません。その上、課題や問題解決や理論解析は厳密にすることは「当然」、「必須」と感じるので、厳しくないと思います。
私に対して、研究はどこでもいつでもできること、圧力があまりなくて、自分のペースでやること、指導教員から詳しく意見・指導・提案をもらえることは緩い面と感じます。

・身につくと思われる、身についたもの
研究する過程には、式を参考する時、論文によって使用する式が違う場合が多いです。そのために、式を導出する仮定・適応できるケース・意味を理解することは大事とわかりました。その上、論文調査も大事と思います:論文調査で研究の背景、進歩、議論間の比較的な知識をわかること上で自分の研究方向を決定できます(B4)。

学生目線の金川研紹介(2)

B3学生(早期卒業(飛び級)学生)に研究室紹介を書いてもらいました。たまたま、大晦日に受け取ったので、大晦日に更新していますが、大晦日の作業は強要していません(もちろん禁止もしていません)。追って、大学院生視点の記事も1~2月に掲載予定です(金川)。


・研究室配属時に何を基準に選んだか
私が金川研を選んだ一番の理由は,金川先生の講義を受けて,自分に合いそうだと考えたことです.金川先生の理論に対して厳密な授業スタイルが,個人的に相性がいい気がしました.
研究内容は配属後(正式な配属はもう少し後でしたが)に初めて知ったくらいなので,研究内容はあまり意識していませんでした.つまり,「この研究がしたい」という気持ちで入ったというより,これからの研究が苦にならなそうだから入ったという感じです.
ただ,私は他の研究室をほとんど調べずに決定してしまったのですが,それは良くなかった気がします.私の場合は入ったことを後悔せずに済んでいますが,これから研究室を選ぶ人はいろいろなところを見て決めるのが良いと思います.

・研究室あるいは教員との相性的なもの
先ほども書いたとおり,実験よりも理論をやりたいという私の気持ちと研究室の方針はマッチしていると思います.また,ひらめき・思い付きで研究をするのではなく,文献(論文など)を読んで根拠を持って計算を行うスタイルも合っていると思います.「実験がやりたい」「自分のひらめきで研究したい」という人や,数式が嫌い(苦手は何とかなると思う)な人には,向かない研究室です.

・学生の雰囲気
真面目な学生が多いです.先輩と話をしていても,自分の研究に対して深い理解があり,他の学生の研究についても関心を持って調べたりしている印象です.所属学生は賑やかという感じではないですが,賑やかな人が合わないということでもないと思います.研究については,金川先生とマンツーマンなので,先輩・同期との交流はあってもなくてもという感じです.

・学会見学
私はまだ学会発表の経験がありませんが,現地で見学させていただいたことがあります(交通費などは出していただきました).
さまざまな大学の研究室の発表を見学させてもらいましたが,自分の研究室というのを抜きにしても,金川研の学生の発表技術はレベルが高いと思います.専門用語や数式を多用して論文的に話すわけではなく,聴衆の前提知識を推測し,式よりも概念図を多用して発表します.また当たり前のことかもしれませんが,聴衆のほうを見て大きな声で発表していますし,スライドも見やすいです.

・普段の過ごし方
私は早期卒業生なので,他の3 年生と同様に授業を受けています.授業が終わったら帰宅し,課題や研究をします.
進捗報告などを週1 程度の面談にて行います.Teams 上で通話して行うことが多いです.また,テスト前は面談を実施せずテストに専念させてくれるので,早期卒業の人も成績がおろそかになりにくいはずです.
研究室には行っても行かなくてもいいので,基本的には自宅で研究することが多いです.夏は涼みに,冬は暖まりに研究室に行くこともあります(いいエアコンがあります)が,正直それ以上の目的で行くことはないです.
強制参加のゼミやコアタイムなどはないので,時間的拘束は最小限に抑えられます.その分,研究に精を出すも,怠けるも自分次第になるので,自己管理が大事です.
また,研究室ではときどき飲み会も開催されます.私も1 度参加したので,その時の様子を少しだけ.飲み会とは言うものの,お酒は飲んでも飲まなくてもいいという感じでした(私が参加したときはほとんどの学生が飲んでいませんでした). 参加も自由です(10 人以上の学生がいますが,参加人数は4 人でした).大盛り上がりの飲み会という感じではなく,世間話や授業・研究の話,卒業後の話などをのんびりとしている感じでした.費用は先生がすべて出してくださりました.

・厳しい、きつい面、緩い面
金川先生の講義を受けた人はわかると思いますが,かなり厳格です(学問的に).それなので,無根拠に理論を展開していくのは無理です.
また,私は英語が苦手なので,英語の論文を読むのがかなりしんどいです.金川研は他の文献から式変形や仮定の根拠を見つけ出すので,他の研究室より文献調査の割合が高いかもしれません.配属当初1 か月くらいかけて,金川研の英語論文を先生とマンツーマンで読み(新入生全員),内容以外に文法・語法等の解説があります(TOEIC の勉強では身に着かないようなこともやります).それ以降は基本的に独力で読むこととなり,私にとってはそれが一番辛いです.
また,かなり煩雑な式(人によっては100 項以上の計算)が出てくるので,数式嫌いの人にはかなりきついです.
逆に研究以外のことは緩いです.週1 ペースの面談(定期試験前はなくなる場合も多い)以外は基本的に先生からは放置という感じです.ただしTeams のチャットで相談や質問は可能です.

・身につくと思われる、身についたもの
まず,正しい情報を取得し,利用する能力がつきます.先ほども言ったように,論文調査をかなり行わなければなりません.「どんな仮定に基づいた理論なのか」「この仮定ではどの式が使えるのか」「論文A と論文B の式の違いは何なのか」など理系大学生が身に着けるべき能力が得られると思います.
また,これも前述しましたが,学会発表の経験は就職後のプレゼンなどに生かすことができます.聴衆に伝わるような発表方法,見やすく理解しやすいスライドづくりなどを先生の指導の下で学ぶことができます.
私を含めたB3 は講義を重視しますが,金川研ではM2 までに国際一流誌に論文を書くこと,英語での国際会議発表を目標としているようです.先輩方はほぼ全員が達成しています.私自身も大学院進学後に自分の研究を国際誌に載せ,科学の世界に名前を残すことは理系大学生として是非とも達成したいです(B3).

学生目線の金川研紹介(1)

研究室配属を検討中の工学システム学類の現B3学生を想定し、学生目線での研究室紹介を書いてもらいました。ただし、著者は早期卒業(飛び級制度)で配属されたB3学生であり、B4の指導方針は、早期卒業B3の指導方針(並行履修中の講義を重視)とは若干異なり、(未取得単位がなければ)早期から研究(基礎としての勉強も含む)に集中させ、アウトプットを重視する方針です(金川)。


今年の5月に金川研究室に配属された自分の方から、研究室の雰囲気やなぜ金川研究室を選んだのか、ということについて簡単に紹介をさせていただこうと思います。(早期配属ということもあって一部皆さんの参考にならない部分もあるかと思いますが、ご了承ください。)

・金川研を選んだ理由
 入学当初はこれといって特にやりたいこともなく、筑波大学の工学システム学類についてはどんなことをしているのかということを調べることもなく入学してしまったので、当初は漠然とエネルギー問題について学ぶことができたら良いな、くらいの思いだった気がします。
 そこから2年後、大学生活を送る中で研究室選びは「やりたい事も重要だが、指導教員との相性も同じくらい重要」だということ、「研究室の方針が自分とあっていること(例えば自発的に取り組めない人にとってはコアタイムを設けている研究室の方が良いと言えるし、逆に自分の好きな時間に研究したいという人にとっては、拘束の少ない研究室の方があっている可能性が高いなど)」など、必ずしも自分の興味だけで安易に決めない方が良いことに気付かされました。そんな中で金川研は、先生が無闇に拘束してくることはほとんど無く、過去に金川先生の授業を履修していて教え方等が非常に良いと感じたので、相性もさほど悪く無いのでは、と思い、候補の一つに入れた気がします。また、この頃はエネルギー問題に取り組みたい、という思いもほとんど消えていました。(電気分野は他の分野(熱力学や材料力学など)と比べて難易度の高い学問だと感じ、挫折したため諦めた)
 他にもいくつか良さそうだと感じた研究室の見学にも行きましたが、その中から金川研を選んだ理由を以下に簡単に述べます。
1. 理論計算が多く、いつでもどこでも研究できるため、場所や時間を選ばない点
2. 研究テーマがややマニアックなので、スピード命な研究室ではない。(流行の研究は当然研究している人も多く競争率も高いので、成果を素早く出さないといけないプレッシャー等も多いと思います。ただし、その中で成果を出せば、かなりの注目を浴びる可能性があるなどメリットもたくさんあります。ここでは決して流行の研究テーマを批判しているわけではないし、それぞれの良さもあるので、人によってこの辺りの考え方は様々だと思います。)僕自身はプレッシャーや期待をかけられ過ぎるのがあまり好きではないので、割とあっていると感じました。
3. 流体力学自体、それほど嫌いではなかった。(1、2年で色々な科目を履修していましたが、流体力学の授業は退屈に感じることは少なかったと思います。)

上記のような理由から、最終的に金川研に配属することを決めました。研究室選びは今後の人生を左右する可能性もあるため、皆さんも様々な研究室を訪問し、できる限り指導教員とそこの研究生(院生、学部生)から直接話を聞いて、自分の相性に最もあいそうな研究室を選ぶことを勧めます。

・研究室を選ぶ点で、僕個人が重要だと思う点
自分の興味のある研究をしている研究室を選ぶことも勿論非常に重要な点の一つだと思いますが、上記でも触れたように「指導教員との相性」や「研究室の方針が自分にあっているか」といったこと等も重要な観点であると僕は思います。例えば自分の興味のないことでも、周りの環境が良かったり、一緒に過ごす人と自分の相性が良ければ、何だかんだ人はそのことを続けることができたり、嫌に感じることも少ないと思います。逆に周りの環境が自分にあっていなければ、興味のあったことでもだんだんやる気が削がれて、嫌になってしまうこともあると思うので、この辺りはよく考えた方が良い点だと思います。

・研究室や学生の雰囲気について
 実は僕自身、研究室には今までで2回しか行ったことがなく(1回は先生が買ってくれた購入品を取りに行き、2回目は参考書を見に行っただけで両方すぐに帰った)、その2回とも研究室メンバーの誰とも会わなかったので、この辺りはよく分かっていません。先輩方も気が向いたら行くという人が多い印象があるので、基本人は少ないと思います。ただ、研究室にはソファや大規模なエアコン、冷蔵庫等もあるので、不便に感じることは少ないと思います。
 学生の雰囲気についても、直接顔を合わせる機会が滅多にないので正確など詳しいことは良く分かりませんが、大学での生活等や、研究についてよく分からないことをTeamsのチャットで送ると、皆さん親切に応えてくれるので、僕個人は不満など一切感じないです。ただ、金川研のメンバーは先生も含め研究に真面目なため、遊びや交流に重きを置きたい人には合致しないと思います。一方、現地での学会発表がある際には、研究室のメンバーでご飯を食べに行ったり、それ以外にも飲み会(丁度12月中旬に3年ぶりに開催されたそうです)が開催されたこともあるので、決して交流できないわけではありません。学生のみのゼミを行うこともあります。また、全て任意であるため、参加したくない、あるいは用事があって参加できない場合は無理に参加する必要もない(実際僕自身は12月の飲み会は用事と被っていたので不参加でしたが、先生や先輩から責められることなど全くなかったですし、学生は計11名中4名という低参加率で、前日や当日のドタキャンまであったらしいですが、それでも何も問題にならない位の緩さです)ので、この辺りはかなり緩いというか、人間関係の構築についてはかなり自由にできると思います。

・学会など
 僕自身はまだ学会等で発表を行なった経験はありませんが、先生に頼めば興味のある学会や先輩方が出る学会の見学には連れて行ってもらえることもあります。僕自身も一回、聴講者として学会に参加しましたが、モチベーションを上げるという意味でも参加して良かったと感じました。聴講だけでなく、発表をしたいという人も、先生に頼めば積極的に色々な学会に参加させてもらうこともできるので、研究に真面目に取り組みたいという人にはお勧めできる研究室だと思います。

・普段の生活
僕自身は卒業するために必要な単位が全然揃っていないということもあり、普段は授業と課題を優先して、空いている時間があれば研究をするという形をとっています。先生も授業を優先させてくれるので、単位を落としそうという心配もしなくてよかったのは良い点の一つだと思います。(訳もなく研究を長時間サボっていると先生に叱られるのかもしれませんが、就活や授業などで研究への時間が十分に取れなくても理不尽に叱ってくることはありません。)また、アルバイトやサークル活動なども禁止ということはないので、ある程度自由はあると思います。(勿論、特別な理由もなく、それらの活動ばかり優先させて研究をしないというのはアウトな気もしますが)

・身につく能力など
僕自身は上記でも述べたようにまだ学会発表等の経験はないのですが、金川研は研究に力を入れているので、「プレゼン能力が身につく」「大人数の前で上手く発表する」「論文の執筆が上達する」など、将来でも役に立つ可能性の高い有用なスキルはそれなりに身につくと思います。

いくつかの項目を簡単に紹介するという形をとったので、金川研について詳しく紹介することは今回できませんでしたが、配属を考えている人への参考になれば幸いです(B3)。

わかしゃち奨励賞

金川が第17回わかしゃち奨励賞(基礎研究部門・優秀賞)を受賞することとなりました。

提案題目は「水管の損傷回避と洗浄を両立可能な新技術の開発」です。

当該顕彰制度は、愛知県・(公財)科学技術交流財団・(公財)日比科学技術振興財団により、「イノベーションで未来に挑戦~新たな付加価値の源泉を創造~」をテーマに、科学技術に関する自らの研究に基づいて、その成果を活用することで、将来「産業や社会への大きな貢献」が見込める夢のある研究テーマ・アイデアに与えられるものです。

機械学会マイクロ・ナノ工学部門若手優秀講演表彰

加賀見俊介(M2)が日本機械学会マイクロ・ナノ工学部門より、若手優秀講演表彰を受賞しました(2022年12月20日付)。


対象ポスター発表:マイクロバブル増強型の腫瘍焼灼治療に向けた数理モデルの構築と温度上昇の数値シミュレーション、第13回マイクロ・ナノ工学シンポジウム(日本機械学会マイクロ・ナノ工学部門主催、2022年11月14~16日)

火山学会学生優秀発表賞

鮎貝崇広(D2)が2022年度日本火山学会秋季大会 学生優秀発表賞(口頭発表賞)を受賞しました。対象口頭発表題目は「気泡を含む粘弾性マグマ中のP波伝播を記述する数理モデルの開発」です。対象となった口頭発表25件のうち2件の受賞者のうちの1名に選ばれました。

研究・教育業績一覧

Researchmap / TRIOS(筑波大学研究者情報) に全情報を掲載しております。

研究紹介記事

日本機械学会流体工学部門HPの「今この論文/技術/研究開発が熱い!」コーナーで、研究紹介記事を取り上げて下さりました。 「今熱い」に合致するとは思えないこともあり、分野外の方にもわかって頂けるような記載を心がけたつもりです(金川)。

学生表彰

新井秀弥(M1)が、日本機械学会第30回茨城講演会において行った口頭発表「並進気泡に作用する抗力が気泡流中の圧力波に及ぼす減衰効果の解明」に対して、優秀講演賞を受賞しました。

Physics of Fluids

AIP(米国物理学協会)の Physics of Fluids (IF = 4.980) (MechanicsでQ1(18/138); Physics, Fluids & PlasmasでQ1 (2/34)) に、初期気泡径の離散分布が気泡流中の非線形波動伝播に及ぼす影響を数理的に調べた論文が掲載されました(2022年10月25日)。

Kanagawa, T., Ishitsuka, R., Arai, S., Ayukai, T., “Contribution of initial bubble radius distribution to weakly nonlinear waves with a long wavelength in bubbly liquids,” Physics of Fluids, Vol.~34, Issue 10 (2022.10), 103320 [open access]

受賞コメント

混相流シンポジウム2022でベストプレゼンテーションアワードを受賞したM1学生にコメントを書いてもらいました(金川)。


この度は,名誉あるベストプレゼンテーションアワードを頂くことができ,大変光栄です.まずは,金川先生と研究に関してご意見をいただいた研究室のメンバーにも大変感謝しております.「混相流シンポジウム2022」は私にとって初めての学会でしたが,表彰を受けられてとても嬉しいです.気を抜かずこれからも精進して参ります.

ここからは,学会までのスケジュールや感想を簡単に振り返ります.

4月に大学院に入学して,先生からテーマを提案頂きました.私は理学出身で工学の基礎知識がなかったので,勉強しつつ,自分の研究も平行で進めました.研究は手計算で進め,当初想定したよりも煩雑になってしまい大変でしたが,なんとか7月ごろにはおおむね結果をまとめる段階までできました.
そして,プレゼンの準備は8月の第二週から始めました.私が発表に慣れていないのもありますが,学会前の一週間はかなり忙しかったです.先生からの指摘,私の修正をたくさん繰り返しました.また先生との発表練習は5日連続で前日まで入れていただきました.プレゼンがあまり得意でなく,緊張するのではないかと心配していましたが,オンラインであれば,発表中は相手の顔も見えないのであまり緊張しないことがわかりました.しかし,対面は勝手が異なり,私も苦手意識があるので,改めて訓練したいと思います.

発表本番が終わり,プレゼンに関しては,(少なくとも現時点での)想定通りの発表ができたと思うのでこの点はよかったです.ただし,質疑応答はかなり改善できると思っています.質疑は場数を踏むことでもうまくなるとのことなので,これから積極的に経験を積んで上達できればと思います.

また,今は理論だけやっていますが,学部時代は非線形波動方程式の数値計算もやっていたので,今後数値計算も徐々に取り入れていきたいと思っています(2022年8月26日 川畠稜輝).

混相流シンポジウムおよび学生受賞

鮎貝崇広(D2)、川畠稜輝(M1)、長谷川建(B4)が、混相流シンポジウム2022において以下の口頭発表を行い、鮎貝と川畠がベストプレゼンテーションアワードを受賞しました(2022年8月20日付)。

  • 鮎貝崇広・金川哲也、気泡内部の激しい温度変化を伴う高速気泡流を記述する 3 圧力 2 流体モデルの安定性解析【平均化方程式モデリング(講演内容の一部を含むプレプリント)】ベストプレゼンテーションアワード受賞
  • 川畠稜輝・金川哲也、多数の超音波造影気泡を含む液体についての非線形音響数理モデル【医用超音波と造影剤(投稿予定)】ベストプレゼンテーションアワード受賞
  • 長谷川建・金川哲也、気泡流の液相弾性が超音波の非線形効果に及ぼす影響の解明【気泡流のレオロジー(投稿予定)】

金川研・学生表彰実績

 金川研設立時からの学生表彰を列挙します(表彰年月/表彰名/表彰者名(学年は受賞時)/特記事項・被表彰行為など)。直近の4年強で54件の表彰を頂いています。

 金川研の修了生の全員が表彰実績を有しています。中でも、筑波大学学長表彰(被表彰業績は学修)を4年連続で計5名が受賞、日本機械学会三浦賞を3年連続で計4名が受賞しています。

  1. 2022年12月/日本流体力学会 若手優秀講演表彰・第36回数値流体力学シンポジウム (マグマ気泡流中における地震波伝播を記述する数理モデルとその数値解)/鮎貝崇広(D2)
  2. 2022年12月/日本機械学会マイクロ・ナノ工学部門 若手優秀講演表彰・第13回マイクロ・ナノ工学シンポジウム(マイクロバブル増強型の腫瘍焼灼治療に向けた数理モデルの構築と温度上昇の数値シミュレーション)/加賀見俊介(D2)
  3. 2022年11月/2022年度日本火山学会秋季大会 学生優秀発表賞(気泡を含む粘弾性マグマ中のP波伝播を記述する数理モデルの開発)/鮎貝崇広(D2)
  4. 2022年9月/日本機械学会茨城講演会優秀講演賞(並進気泡に作用する抗力が気泡流中の圧力波に及ぼす減衰効果の解明)/新井秀弥(M1)
  5. 2022年8月/混相流シンポジウム2022ベストプレゼンテーションアワード(気泡内部の激しい温度変化を伴う高速気泡流を記述する3圧力2流体モデルの安定性解析)/鮎貝崇広(D2)
  6. 2022年8月/混相流シンポジウム2022ベストプレゼンテーションアワード(多数の超音波造影気泡を含む液体についての非線形音響数理モデル)/川畠稜輝(M1)
  7. 2022年3月/筑波大学学長表彰/新井秀弥(B4)/筆頭論文1編および学業成績
  8. 2022年3月/日本機械学会三浦賞/菊地勇成(M2)/筆頭論文2編(内1編は論文表彰相当)
  9. 2022年3月/日本機械学会畠山賞/新井秀弥(B4)/学業成績
  10. 2022年3月/筑波大学副学長表彰/新井秀弥(B4)/学業成績
  11. 2022年3月/筑波大学副学長表彰/本多満洋(B4)/学業成績
  12. 2022年3月/筑波大学茗渓会賞(学修)/菊地勇成(M2)/研究業績
  13. 2022年3月/筑波大学大学院システム情報工学研究科構造エネルギー工学学位プログラム長表彰/石塚怜央奈(M2)/研究業績
  14. 2022年3月/筑波大学理工学群工学システム学類長表彰/本多満洋(B4)/学業成績
  15. 2022年3月/SICE学生優秀賞/本多満洋(B4)
  16. 2022年 /Highlights papers of 2021, Japan Society of Applied Physics/菊地勇成(M2)・金川哲也
  17. 2022年1月/日本機械学会第32回バイオフロンティア講演会 Outstanding Student Presentation/本多満洋(B4)
  18. 2021年8月/日本機械学会茨城講演会優秀講演賞(マイクロバブル増強型の強力集束超音波治療に向けた数理モデルの構築)/加賀見俊介(M1)/Ultrasonics Sonochemistryに掲載
  19. 2021年8月/日本機械学会茨城講演会優秀講演賞(2種類の大きさの気泡を無数に含む水中圧力波の非線形理論解析)/石塚怜央奈(M2)
  20. 2021年5月/Spotlight 2021, Japanese Journal of Applied Physics “Weakly Nonlinear Theory on Ultrasound Propagation in Liquids Containing Many Microbubbles Encapsulated by Visco-Elastic Shell”/菊地勇成(M2)、金川哲也
  21. 2021年3月/Featured Article (Journal Best), Physics of Fluids “Theoretical Elucidation of Effect of Drag Force and Translation of Bubble on Weakly Nonlinear Pressure Waves in Bubbly Flows”/谷田部貴大(M2)、金川哲也、鮎貝崇広(M2)
  22. 2021年3月/日本機械学会三浦賞/鮎貝崇広(M2)/論文3編(内2編Q1国際誌)
  23. 2021年3月/日本機械学会三浦賞/亀井陸史(M2)/論文筆頭3編(内1編Q1国際誌)
  24. 2021年3月/日本機械学会若手優秀講演フェロー賞(気泡流の熱伝導の温度勾配モデルが非線形圧力波に及ぼす影響の理論的比較)/亀井陸史(M2)/発表後の精査を経て国際誌Phys. Fluidsに掲載
  25. 2021年3月/筑波大学学長表彰/鮎貝崇広(M2)/論文3編(内2編Q1国際誌)
  26. 2021年3月/筑波大学学長表彰/加賀見俊介(B4)/論文1編および学業成績
  27. 2021年3月/筑波大学副学長表彰/加賀見俊介(B4)/学業成績
  28. 2021年3月/筑波大学大学院システム情報工学研究科長表彰/亀井陸史(M2)/研究業績
  29. 2021年3月/筑波大学大学院システム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻長表彰/前田泰希(M2)/研究業績
  30. 2021年3月/筑波大学大学院システム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻長表彰/藤本あや(M2)/研究業績
  31. 2021年3月/筑波大学大学院システム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻長表彰/谷田部貴大(M2)/研究業績
  32. 2021年3月/筑波大学理工学群工学システム学類長表彰/川目拓磨(B4)/学業成績
  33. 2020年9月/日本機械学会関東支部茨城ブロック学生貢献賞/鮎貝崇広(M2)
  34. 2020年8月/混相流シンポジウム2020ベストプレゼンテーションアワード(気泡援用集束超音波医療における熱的効果と非線形性に着目した基礎理論の構築)/加賀見俊介(B4)/発表後の精査を経て『混相流』に掲載
  35. 2020年8月/日本機械学会茨城講演会優秀講演賞(気泡を含む水中を長周期伝播する非線形音波の孤立波発展条件)/鮎貝崇広(M2)
  36. 2020年8月/日本機械学会茨城講演会優秀講演賞(大きさの異なる気泡を多数含む水中における音波の長距離伝播を記述する非線形シュレディンガー方程式の導出)/川目拓磨(B4)/発表後の精査を経て内容の一部が国際誌Int. J. Multiph. Flowに掲載
  37. 2020年3月/日本機械学会三浦賞/慶本天謹(M2)/論文2編
  38. 2020年3月/日本機械学会畠山賞/石塚怜央奈(B3)/学業成績
  39. 2020年3月/筑波大学学長表彰/石塚怜央奈(B3)/研究業績および学業成績
  40. 2020年3月/筑波大学副学長表彰/石塚怜央奈(B3)/学業成績
  41. 2020年3月/筑波大学大学院システム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻長表彰/圷 亮輔(M2)/研究業績
  42. 2020年3月/筑波大学大学院システム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻長表彰/慶本天謹(M2)/研究業績
  43. 2020年3月/筑波大学大学院システム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻修士論文優秀発表者賞/慶本天謹(M2)
  44. 2019年12月/Student Paper Prize in Physical Acoustics (Second Place) at 178th Meetings of Acoustical Society of America, Numerical Study on Nonlinear Evolution of Pressure Waves in Bubbly Liquids: Effective Range of Initial Void Fraction/鮎貝崇広(M1)/発表内容に関連する成果が『混相流』に掲載
  45. 2019年10月/理論応用力学講演会・応用力学シンポジウム講演賞(気泡流中における超高速圧力波の弱非線形伝播の理論予測)/圷 亮輔(M2)/発表後の精査を経て『混相流』に掲載
  46. 2019年8月/混相流シンポジウム2019ベストプレゼンテーションアワード(気泡流のバルク粘性と熱が非線形圧力伝播に及ぼす影響の理論解析)/亀井陸史(M1)/発表後の精査を経て『土木工学論文集A2(応用力学)』および『混相流』に掲載
  47. 2019年8月/日本機械学会茨城講演会優秀講演賞(気泡流の流速分布が非線形音響波に及ぼす影響に関する解析)/前田泰希(M1)/発表後の精査を経て J. Phys. Soc. Jpn. および『混相流』に掲載
  48. 2019年8月/日本機械学会茨城講演会優秀講演賞(気液界面における物質輸送を伴う気泡流中圧力波の弱非線形理論)/藤本あや(M1)
  49. 2019年8月/日本機械学会茨城講演会優秀講演賞(多数の空気泡を含む水中における非線形圧力波:バルク粘性と熱伝導性が与える影響の理論的考察)/亀井陸史(M1)/発表後の精査を経て『土木工学論文集A2(応用力学)』および『混相流』に掲載
  50. 2019年3月/筑波大学学長表彰/亀井陸史(B4)/研究業績および学業成績
  51. 2019年3月/日本機械学会畠山賞/亀井陸史(B4)/学業成績
  52. 2019年3月/筑波大学校友会賞/亀井陸史(B4)
  53. 2019年3月/日本機械学会関東学生会第58回卒業研究発表講演会学生優秀発表賞(気泡流中の非線形圧力波の伝播に流速が与える影響に関する理論的研究)/前田泰希(B4)/発表後の精査を経て J. Phys. Soc. Jpn. および『混相流』に掲載
  54. 2018年3月/筑波大学理工学群工学システム学類長表彰/圷 亮輔(B4)/学業成績

金川研日誌(8/5)

今年2月に配属された学類4年生に日誌を書いてもらいました。日本に来て4年目の留学生であり、日本語に不慣れな面がありますが、当該学生の個性が映えるよう、科学的に明らかな誤り以外はあえて直さずに掲載することとしました(金川)。


こんにちは、私は現在金川研究室のB4です。今やっているテーマは「リン脂質シェル(phospholipid shell)の座屈(buckling)と破裂(rupture)による、(多数気泡を含む液体の中に)超音波の伝達にどんな影響がありますか」です。

実は、金川研究室を選択した時、私の注意を引き付けたのは、このテーマというよりも、金川研究室で使用している手法: 摂動法(perturbation theory)と多重スケール解析(multiple scale analysis)でした。高校と大学(数学系と物理系以外)を学んだ数学は、「精密科学」(exact science)です。私に対して、「精密科学」は「真」を持ちます。一方で、摂動法と多重スケール解析は「近似数学」(approximate mathematics)です。近似なので、100%ただしい解を得ることが必要がなくて、自由度がもっと高くて、もっとクリエイティブな解き方もできます。その上、精密解を得ない問題には、近似解のおかげで、たくさん情報を得られます。わたしに対し、「近似数学」は「真」だけでなく、「美」も持ちます。関心する人はYoutubeに「Prof. Carl Bender – Mathematical physics」の授業をご覧でください。

私は、まだ「超音波の伝達」の知識が深いというまでもないですが、「この世界を解決する一つのステップ」ですので、熱心に研究します。自分の興味は、頭の中で「物理、数学、化学の世界」を作ることです。その結果、先生や先輩らや友達(他の専門も)などとアイデアや意見を交換する時、子供がおもちゃをジャグリングするように喜びます。特に、私のアイデアと意見を否定・批判される場合にも、私は悲しくはありません。理由は、私に対して「科学について話すだけ」ですので、自分のエゴに関連までもないと思うからです。そのために、いつにも科学のアイデアを楽しんで交換することができます。(例としてFun to Imagine – Richard Feynman)

楽しんで研究をやりますが、責任を持たなければなりません。科学・エンジニアは継承性があるので、(私に対して)研究するとき、前の研究者や現在の研究者の頭の中の世界を一歩一歩で探検していると感じます。そのために、自分の結果を責任を持つのは自分だけでなく、前の研究者、他の研究者、「真」、「美」を尊敬すると思います。

現在、上記の気持ちで学会に向けてスライドや背景の知識を準備します。心配もありますが、他の学生、他の先生の研究・アイデアを聞けるので面白いと思います。将来的には、違う教育制度、違う考え方の他国の学生・先生にも会ってみたいです(B4)。

JASSO第一種奨学金免除

昨年度修士卒のOBの努力が報われ、全員が、JASSO第1種奨学金の返還免除(1名全額、1名半額)を受けました。 金川研において、OBOGを含め貸与者の全員が免除を受けており、全額免除者も毎年出ています。

Ultrasonics Sonochemistry

加賀見俊介(M2)の論文が、Elsevier社の Ultrasonics Sonochemistry 誌 (IF= 9.336; CiteScore=14.1; Q1誌 (Acousticsにおいて1/32)) から出版されました(2022年7月7日)。


Kagami, S. and Kanagawa, T., “Weakly nonlinear propagation of focused ultrasound in bubbly liquids with a thermal effect: Derivation of two cases of Khokolov–Zabolotskaya–Kuznetsoz equations,” Ultrasonics Sonochemistry, Vol.~88 (2022), 105911.


– 集束超音波の数理モデルとして著名なKZK方程式を、単相から混相媒質へと拡張し、気泡振動・音の伝播・温度変動を、1本の数式に集約しました。
– 超音波腫瘍焼灼治療に即した温度上昇値が、新たなKZK方程式の数値解から確認され、従来の約10連立の煩雑な基礎式を解く方法論の一代替策となる可能性を秘め、医療応用上の意義を有します。


筑波大学からプレスリリースが出ました(2022年7月11日)。

文部科学大臣表彰若手科学者賞/筑波大学若手教員特別奨励賞

令和4年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞(被表彰業績「気泡流中の圧力波を記述する非線形波動方程式の理論的研究」)、および、筑波大学若手教員特別奨励賞を受賞しました(令和4年4月20日付。同年6月7日に推薦機関である筑波大学内表彰式)。

身に余る光栄であり、ご推薦および研究指導を頂いた先生方、金川研において当該研究を共同で行ってくださったOBOGを含む学生の皆様に深謝申し上げます。基礎と理論の側面が強く、国内の関連領域においては比較的マイノリティに属すると受け取っている当該研究に対して、一定の評価を頂けたことも率直に嬉しく存じます。あくまで通過点であり、今後も益々研究に励み、結果として成果をあげたいと考えております(金川哲也)。

早期卒業研究履修生が配属

早期卒業研究を履修中の工学システム学類3年生のうち2名が金川研に配属されました。飛び級に相当し、3年次には講義と卒研を並行で進め、3年間での卒業(学士号)を目指すものです。2年次までの成績が極めて良い場合に履修が可能となります。

ターボ機械協会・小宮賞

金川が一般社団法人ターボ機械協会の第35回小宮賞(若手奨励賞)を受賞しました(2022年5月13日)。

同賞は、同会個人会員のうち40歳未満の若手研究者を対象とするものであり、同会表彰委員会の審議を経て、毎年1名に授与されるものです。受賞者には、流体工学および流体機械の研究奨励を目的として、小宮荘次郎氏(株式会社ミツヤ送風機製作所社長)からの寄付金に基づく小宮研究助成金(70万円)が授与されます。

今後も当該分野の研究に励みます(2022年5月18日 金川哲也)。

応用物理学会 Highlights papers in 2021

菊地勇成(2021年度金川研M2)の下記論文が、応用物理学会(JSAP)の Highlights papers in 2021 (Highlights of 2021) に選ばれました(2022年3月付)。

Highlights papers of 2021 は、当該学会の Editorial team によって、昨年2021年に出版された論文の中から、highlight the scientific quality of research を示す論文に対して選ばれるものです。

Japanese Journal of Applied Physics に 2021年に掲載された771編の内11編(1.4 %)が選ばれました。

当該論文は、Spotlights 2021 にも選ばれており、また出版後約1年で11,330回のダウンロード回数があります(2022年5月15日時点)。


対象論文:Kikuchi Y.; Kanagawa T., “Weakly Nonlinear Theory on Ultrasound Propagation in Liquids Containing Many Microbubbles Encapsulated by Visco-Elastic Shell,” Japanese Journal of Applied Physics, Vol. 60, No. SD (2021.5), SDDD14.

JKA研究補助

公益財団法人JKA 2022年度 機械振興補助事業 研究補助 若手研究に採択され、ご助成を頂くこととなりました(2,000千円、2022年4月から2023年3月)。

   

学振特別研究員申請講座

4月11日(月)15:30からオンラインで開催される、「シス情・令和4年度学振特別研究員申請のための直前講座」にて、鮎貝崇広(金川研D2/JSPS特別研究員DC1)が講演「1年で学振DCに採択されるための戦略」を行います。

研究室日誌(学長表彰受賞について)

この度は学長表彰をいただき、大変光栄に思います。

これも日頃から熱心にご指導してくださった金川先生をはじめ、研究に関する質問に答えてくださった研究室の皆様、工学システム学類の先生方、そして、いつも支えてくれた家族のおかげです。心より感謝申し上げます。大学4年間の学業成績、学会発表と論文投稿による研究成果を評価していただけたのは素直に嬉しく思います。

また、学長表彰と直接関連はありませんが、卒業式では卒業生を代表して謝辞を読ませていただきました。千人以上の人がいる前で話をさせていただくのは初めてのことだったので、緊張で足や声が少し震えてしまいましたが、無事にやり遂げることができて良かったです。

学長表彰受賞、および、卒業生謝辞を務めさせていただいたことは大変名誉なことなので、それに恥じぬよう今後も大学院にて自分を高めていきたいと思います。

 2022年4月5日 新井秀弥(金川研究室・博士前期課程1年)

学位記授与式/学生表彰

2022年3月25日、金川研所属の、M2の2名、B4の2名が、それぞれ、修士(工学)、学士(工学)の学位を授与されました。


以下計9件の表彰があり、修了・卒業生の4名全員が表彰されました。OB・OGを含め、金川研の修了生の全員が表彰歴を有します。

  • [筑波大学 学長表彰(学修)] 新井(B4)
  • [筑波大学 副学長表彰/大学院進学奨励奨学金] 新井(B4)、本多(B4)
  • [日本機械学会 三浦賞] 菊地(M2)
  • [日本機械学会 畠山賞] 新井(B4)
  • [SICE優秀学生賞] 本多(B4)
  • [筑波大学 茗渓会賞(学修)] 菊地(M2)
  • [筑波大学 構造エネルギー工学学位プログラム長表彰] 石塚(M2)
  • [筑波大学 工学システム学類長表彰] 本多(B4)

筑波大学卒業式(第1回(2回に分けて開催))において、新井(B4)が、1,078名を代表し、謝辞総代を務めました。また、本多(B4)が、学位記受領の工学システム学類(137名)の総代(副)を務めました。

JPSJ

新井秀弥(B4)が筆頭著者の論文が、Journal of the Physical Society of Japan (IF=1.828, CiteScore = 3.0) から出版されました。

抗力を受ける並進気泡を多数含む水流(気泡流)中を伝わる圧力波の減衰を招く要因として、従来認知されてきた熱伝導と音響放射に加え、抗力減衰を考慮した非線形数理モデル(弱非線形波動方程式)を、二流体モデルに基づく体積平均化基礎方程式系を用いて導きました。さらに、導かれた方程式を、400周期にわたる数値計算によって解き、散逸の要因を定量的に比較しました。気泡に働く抗力が(流れのみならず)『圧力波の』散逸を招くこと、気泡の並進運動が圧力波の非線形性を増大させることを始めて指摘した、Yatabe, Kanagawa & Ayukai (Phys. Fluids, 2021.3) の発展形です。今後、揚力や重力など気泡に働く多種多様な力の『圧力波への』寄与の理論的検討や、強非線形問題・大規模数値計算への拡張をすすめます。


Arai, S., Kanagawa, T. and Ayukai, T., “Nonlinear Pressure Waves in Bubbly Flows with Drag Force: Theoretical and Numerical Comparison of Acoustic and Thermal and Drag Force Dissipations,” Journal of the Physical Society of Japan, Vol.~91, No.~4 (2022), 043401 (4 pages). 

科研費採択

日本学術振興会科学研究費助成事業 学術研究助成基金助成金 基盤研究(C)に、研究代表者として、申請課題が採択されました(2022年4月1日から2025年3月31日)(内定:2022年2月28日付)。

2014年度から11年間連続で、研究代表者として、科研費による研究(計4件)を、途切れることなく継続できております(特別研究員奨励費を含めれば、2010年度から15年間連続、計6件)。審査を頂いた先生方に感謝申し上げます。

NEDO若サポ採択

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「官民による若手研究者発掘支援事業・マッチングサポートフェーズ」に、金川の申請課題が採択されました(期間:2022年2月28日から2023年3月31日、総額:1,000万円)(2022年1月24日)。

超音波造影剤気泡の理論

超音波造影診断のために、脂質等の膜で覆われた気泡の力学について、90年代から、先駆的な理論研究がなされていました(de Jong, Church, Hoffなど)。しかし、現在に至るまで、単一あるいは数個の膜気泡の力学という制約が課されてきました。最近では、分子論などミクロな観点からの研究、生化学的な手法が盛んに見受けられる中でした。
 当該論文では、これらの従来培われてきたミクロな知見を、超音波診断の臨床応用を想定し、十分に多数の膜気泡を含む場合(マクロ理論としての多数の膜気泡を含む液体中の超音波伝播の問題)へと拡張したものです。膜に粘弾性体を仮定し、膜の粘性や弾性が超音波伝播に及ぼす影響を、非線形音響学と混相流体力学の観点から、理論的に考察しました。ただし、当該問題設定は、まだ、最も簡単な場合に限っており、今後、膜の力学特性など、様々な拡張・発展が必要な中です(2021/6/25)。
 
続編として、1編がChem.Eng.Sci.に採択され、1編を国際誌に投稿中です。
 
 
菊地(M2)の超音波造影診断用の膜で覆われた気泡に関する理論解析の論文が、公開から26日で2,058回ダウンロードされ、Jpn. J. Appl. Phys.誌のmost readの1位になりました(2021年6月6日時点)。
 
 → 残念ながら、その後、1位から転落していましたが、公開から321日で10,868回ダウンロードされています(2022年3月30日時点)。

学生表彰

日本機械学会第32回バイオフロンティア講演会にて、本多(B4)の口頭発表「超音波造影気泡の集団の音響特性に関する連続体スケールからの数理モデルの提案」が Outstanding Student Presentation を受賞しました(対象講演151件のうち20件が受賞)(2022年1月13日)。

学生視点の金川研紹介’21(3)

3年間過ごしたM2の学生に金川研紹介をかいてもらいました(金川)。


・志望理由

特別やりたい研究があったわけではないので、研究環境で決めました。金川研はコアタイムがなく場所も時間も自分のペースで研究を進めることができることと分かりやすいスライド発表の仕方や文章の書き方を身につけたかったからです。
また、コロナで学会もオンラインになってしまったためあまり恩恵を受けることは出来ませんでしたが学会の旅費は全額支給されるという点も魅力的でした。

・研究生活

基本的には週一の打ち合わせ以外は結果を出していれば自由です。3日遊んで4日研究することも、ある程度進捗が得られたら、打ち合わせまで一切研究しないということも可能です。1日中手計算をするわけではなく毎日研究するときは一日2時間程度です(そこまで手計算に没頭できません)。授業からも察しがつくと思いますが、楽を求めたい人には恐らく向いていません。学会参加や論文執筆も多く(自分は3年間で国内学会7件、国際学会2件、雑誌論文は英文で2編(1編は投稿中))、一定以上の忙しさではないかと思います。

今はteamsでの打ち合わせですが、コロナが落ち着いていれば希望すれば対面で打ち合わせも可能です。学会が重なったり、論文執筆の追い込みでもない限りゆとりを持って研究を進めることができます。もちろん学会などで忙しい時は計算は行わず、学会準備に集中するので、一年中手計算をしているわけではないです(数値計算をやれば手計算の割合はもっと減らせます)。学会は主に夏(8~9月)に多い印象なので夏は遊びたい人には向いていないかもしれません(夏がずっと忙しいわけではないです)。

金川研究室はそもそもが理論研究であることから、基本的には紙とペンさえあればどこでも研究できるので、コロナの影響を受けにくい研究室です。実際、コロナにより、オンライン化が進みましたが、元から授業ない日は自宅で研究を行っていたので、あまり影響はありませんでした。コロナは落ち着いて来ていますが、再拡大が心配な方にはおすすめな研究室です。コロナが収束して対面の学会が復活した場合でも、前に述べた学会の旅費の全額支給が受けられるので、学会に積極的に参加したい学生にもおすすめです。また、研究道具であるボールペンやノートだけでなく、TOEICの対策本もかってもらえました。

学生間の交流はコロナのせいで少ないですが、自分はB4の学生と協力しながら研究を行っていますし(完全に一緒に進めるのではなく緩く協力という感じです)、他の学生の結果を取り入れることもあるのでわからない事があれば連絡を取りながら研究を行っているので全く関わりがないというわけではないです。コロナが収まれば飲み会や昼食会も復活すると思うので体育会系の雰囲気を希望する人でなければ心配する必要はないと思います。

ただ、研究は個人プレーの要素が強いです。情報共有はしますが、学生と先生のマンツーマンで基本的にやり切るスタイルなので、自分の頭の中で拘りたい人向けの研究室です。

雑用はこの研究室紹介文と飲み会のときの日誌ぐらいでほとんどないので研究に集中できます。

・研究テーマ

金川研の研究対象は「気泡がたくさん含まれている水の流れ、いわゆる気泡流中を伝わる波」についてですが、応用先のはっきりとしたテーマをを選ぶこともできます。自分のテーマは、超音波造影剤やドラッグデリバリ―システム(DDS)などの医療を応用先としていて、生体など流体以外の分野との関連もあります。

・最後に

他の研究室はわかりませんが金川先生については授業の印象と変わらないと思います。授業を面白いと感じた人にはおすすめしますが、厳密な話や数式が嫌いな人は合わないと思います。

理論研究がメインですが、数値計算も行います。希望次第では数値計算のみのパターンも可能なそうなので、興味がある人は金川先生に相談してみるといいと思います。

配属について、自分の年は希望者が大勢いましたが、他の年はそこまで溢れなかったように聞いているので、見込みがないと思っている人も、選ぶ可能性がある場合には面談を申し込んでおいた方がよいと思います。また秋Bの期末を頑張って少しでもGPAを上げておくと有利だと思います(M2)。

学生視点の金川研紹介’21(2)

D1の学生視点で、とくに修士の生活と博士後期課程進学の検討の観点から、研究室紹介を依頼しました(金川)。


【簡単に自己紹介】

2年前にも研究室紹介[リンク] を書いた学生です。この紹介記事を書いた当時は、ちょうど博士課程への進学と就職で揺れていた時期でした。あれから2年、結局進学する道を選び、今は金川研唯一の課程博士学生として楽しく研究する日々を送っています。この2年の経験を踏まえ、修士課程と博士課程の両方について金川研を紹介していきます。博士課程のウェイトが大きめになっておりますが、ご一読いただければ幸いです。

【金川研における修士課程の研究と就活】
 金川研の主な研究テーマは「気泡を含む液体中を伝播する圧力波(音波)の理論解析」です。気泡流の運動を記述する複数の方程式(例えば、質量保存式、運動量保存式、気泡振動の方程式、状態方程式、など)に対して数学的な操作を施し、波の伝播のみを記述する1本の方程式を導出します。このように聞くと一見難しそうに感じますが、導出するための方法は確立されおり、先輩方の卒・修論に詳細な導出過程が書かれているので、安心してください。導出には高度な数学的知識は必要無く、学類1年生時の解析学が理解できていれば研究をこなすことができます。もしつまずいたりした場合には先生が丁寧に説明してくださいますし、先輩達も優しく教えてくれると思います。ただし、導出する際の手計算量は極めて膨大です。何日にもわたって式変形を行い続ける必要がありますし、途中で計算ミスが発覚して膨大な式変形をやり直すこともあります。数学や物理が得意でなくとも問題ありませんが、膨大な計算をやり切るだけの忍耐力は必要です。

 上述のように金川研の研究は理論的なため就活(特にメーカー)に不利である誤解されがちですが、実は対象とする現象(=気泡を含む液体の流れ)は様々な産業と結びついた実学的なものです。代表的な例として、原子力発電の熱交換器、自動車の水冷システム、眼鏡の超音波洗浄機などにおいて気泡流現象の研究成果が応用されています。また近年、液体燃料ロケットにおけるエンジンの安定性解析(宇宙工学)や超音波による癌治療(医工学)、火山の噴火シミュレーション(地球物理学)など、流体工学以外の分野への応用が注目されています。このように気泡流は様々な応用先があるがゆえに、気泡流の理論的枠組みを理解していることは、様々な問題に対して柔軟に対応できるということを意味します。この点をしっかりとアピールすることができれば就活で困ることはありませんし、実際に就職した先輩方は皆一流企業で活躍されています。金川研は比較的新しい研究室ですが、3期生の卒業を控えた今では金川研ならではの就活ノウハウも確立しつつあるので、就活に関して心配する必要は無いでしょう。

【博士課程に進学するメリット】

 博士課程については「20代後半になるまで学生で社会経験が無い」「修士課程の方が就活の際に有利、博士まで進むと進路の幅が狭まる」「生涯賃金が少なくなる」等の否定的な意見は少なからずあります。自分も修士課程の時には、そのようなデメリットもあるかもしれないと考えていました。しかしながら、実際に博士課程として8ヶ月過ごしてみて、これらのデメリットはいかようにも変えられると考えを改めました。

 博士課程で得られるものとして「トランスファラブルスキル」というものがあります。これは専門外の様々な場面で活用できる総合的なスキルのことで、具体的には、自分で研究テーマやゴールを設定して3年という短い期間で取りまとめる計画力、実際に研究を遂行して論文を理路整然と書く論理的思考力、学会等で成果をわかりやすく伝える広報力、学振特別研究員などの研究費申請書を書くための資金獲得能力、などが該当します。修士課程でもこれらのスキルを鍛えることはできますが、博士課程ではさらに高いレベルこれらのスキルが要求されます。

 トランスファラブルスキルは研究に限ったことではなく、企業でも同様に必要とされるスキルです。例えばあるプロジェクトを立ち上げる場合、上層部に対してプロジェクトの優位性をわかりやすくプレゼンすることで予算をつけてもらい、他社に先んじて短い期間でプロジェクトを遂行してまとめる、これら一連の流れで必要なスキルは博士課程において要求される能力と非常に似ています。すなわち、博士課程の学生は1つの研究テーマという小さいプロジェクトのプロジェクトマネージャーと言えます。特に、20代半ばという若い時期にアカデミアという世界最先端のコミュニティにおいて、小さいながらもプロジェクトを一から完遂する経験ができる環境は他に無く、この点が博士課程に在籍する大きなメリットだと考えています。

 終身雇用がなくなりつつある昨今、他者と差別化できる部分を作ることはますます重要視されます。その中でも、博士号の取得は最高の選択肢の一つと言えます。なぜなら、博士号は「研究活動というプロジェクトを一から遂行するだけの能力と実績を有する」ことを証明する免許証だからです。博士課程で培った様々なスキルは、場所を問わず将来の幅を大きく広げてくれます。「民間企業に就職するつもりだけれど研究はもう少し続けてみたい」と考えている人にこそ、ぜひ博士課程への進学をおすすめします。3年間は長く感じるかもしれませんが、博士号の取得は将来への先行投資として充分以上に価値があると考えます。

【金川研での博士生活】
 博士課程に進学してからは、金川研の主なテーマである「気泡流の運動を記述する複数の方程式を波の伝播のみを記述する1本の方程式にまとめる」研究ではなく、「気泡流の運動を記述する複数の方程式」そのものの解析に取り組んでいます。また、将来的には気泡流の複雑な数値計算やマグマ流動の研究に着手したいと考えています。ある程度研究分野の全体像が見える段階になってからではありますが、このように博士課程では自分からテーマを希望・提案したりすることができます。修士課程では頂いた研究テーマの中での自由度であるのに対し、博士課程では一歩上流における自由が認められます。良い成果が得られるかどうかは自己責任となりますが、自由に好きなテーマにチャレンジするという研究本来の楽しさを実感することができています。(D1)


【補足(金川による)】中で触れられていた「就職先」を以下に例示します(株式会社省略、五十音順)。

  いすゞ自動車、SUBARU、トヨタ自動車、野村総合研究所、東日本高速道路、三菱重工業

新設研究室であり、第1期生(2020年修士修了)・第2期生(2021年修士修了)までしかいないため、大きな参考にはなりません。学類卒業後は全員が博士前期(修士)課程に進学しており、学類卒での就職者はいません。主として自動車や重工業等の製造業への就職者が多いですが、結果論に過ぎず、機械系への就職を強く推奨しているわけでもありません(とはいえ、金川研は大括りでは機械工学(流体工学・熱工学)の研究室に大分類されますので、一定の傾向はあるかもしれません)。実際に、機械系と無関係な就職先を希望し就職する学生も一定数います(建設業界への内定者もいます)。一方で、機械工学の研究に携わることは、就職先だけでなく就職後のことを考えても、極めて有意義と考えます。機械工学(mechanical engineering)はその名のとおり力学を基礎に置く工学分野であり、多種多様な工学の諸分野の中でも最も基礎かつ根幹といえ、機械工学の領域の研究に携わった経験を有する人材は、あらゆる場面・業界において必要とされ続けると個人的に考えます(金川)。

学生視点の金川研紹介’21(1)

B4の学生に、工シス学生の研究室配属向けの研究室紹介をかいてもらいました(金川)。


・金川研を志望した理由

まず1つ目は、学会発表や論文投稿を積極的に行い、「プレゼン能力」や「論理的な文章を書く能力」の指導に力を入れているという点です。自分は特定の分野に興味があったという訳ではなかったので、社会に出てどんな分野に進むとしても必要となる力を身につけたいと考えていました。2つ目はコアタイムがなく自分のペースで研究を進められるという点です。志望理由は主にこの2点ですが、他にも基礎研究に関心があったことや地道な式計算が嫌いではなかったことなど色々あります。

・研究生活

研究はTeamsにて先生とのチャットのやりとりや1対1での打ち合わせをすることで進めていきます。研究室全体で集まり進捗報告をするといったことは一度もありません。そのため、大学に行かなくてはいけない日というのはなく、自分は基本的に家で研究をしています。

また、研究対象は「気泡がたくさん含まれている水の流れ、いわゆる気泡流中を伝わる波」についてで、主に理論解析を行いますが、自分の場合はその後に数値解析も行いました。具体的には、配属後にまず先行研究の式変形を再現します。それが一通り終わったら、研究テーマとなる新たな要素を加えて手計算していきます。思うような研究成果が出そうにない場合はテーマを変えて再計算するといった感じです。ここまでは紙とペンさえあれば研究を進められます。得られた結果によっては次に数値解析に移ります。自分はPythonを用いて波形などの図を描いていきました。自分は数値解析を専門とする先輩と共同で行いましたが、1人で行うか先輩と行うかは自由に決められると思います。その後は得られた研究成果を公表するため、学会発表や論文執筆を行っていきます。学会発表に関してはまず講演日から3、4ヶ月前の参加申込時に講演タイトルやアブストを書きます。次に講演日から1、2ヶ月前までにTeXでA4数ページ分の講演原稿を書きます。そして、最後に2、3週間かけてスライド作りや発表、質疑応答の練習を行います。基本的には金川先生に文章や発表を見ていただき、主要な部分から細かいところまで添削していただきます。これを何度か繰り返すことで完成させます。

論文に関しては、掲載を目指しているという状況で、採択された経験はないのですが、基本的には学会の講演原稿と同じように進めていきます。以上がB4の10月までに経験した研究の流れです。

・最後に

研究室配属の際には、細かいことでも疑問点があれば遠慮せずに先生に聞いて、しっかりと情報を集めるのが良いです。授業を受けたことのある方は分かるかもしれませんが、金川先生は質問など迅速かつ丁寧に対応してくださると思います(B4)。

機械学会茨城講演会において学生講演賞受賞

石塚怜央奈(M2)と加賀見俊介(M1)が、日本機械学会2021茨城講演会(2021年8月19日)で行った以下の口頭発表に対して、優秀講演賞を受賞しました。表彰対象は30歳未満の発表者です。両発表内容ともに、国際誌への投稿を準備中です。

石塚怜央奈, 金川哲也: 2種類の大きさの気泡を無数に含む水中圧力波の非線形理論解析

加賀見俊介, 金川哲也: マイクロバブル増強型の強力集束超音波治療に向けた数理モデルの構築

日本音響学会粟屋 潔学術奨励賞

金川が、日本音響学会第50回粟屋 潔学術奨励賞を受賞しました(受賞日:2021年9月8日)。今後も研究に励みます。


粟屋 潔学術奨励賞は,粟屋潔博士 (本学会第9代会長) のご遺族からの寄付を基に昭和58年に創設された賞で,音響に関する学問,技術の奨励のため,有為と認められる新進の研究・技術者に贈呈されます(日本音響学会HPから抜粋)。

第一種奨学金

JASSO第一種奨学金の 「特に優れた業績による返還免除」 に、昨年度金川研M2の5名全員が対象となりました。 大学院在学2年間の、全額(210万強)あるいは半額(105万強)が、免除されました。

金川研では、卒業生も含め、当該奨学金貸与者の全員が、返還免除を受けています。

IJMF誌

Elsevier 社の International Journal of Multiphase Flow 誌 (IF=3.186, SJR=1.172, SNIP=1.654, CiteScore=5.8) に、多分散気泡流中の圧力波を理論的・数値的に調べた論文が採択され(2021年3月2日付)、オンライン公開されました(2021年7月11日付)。

Kanagawa, T., Ayukai, T., Kawame, T. and Ishitsuka, R., “Weakly Nonlinear Theory on Pressure Waves in Bubbly Liquids with a Weak Polydispersity,” International Journal of Multiphase Flow, Vol.~142 (2021), 103622.

Phys. Fluids掲載

以下の論文が、米国物理学協会発行の Physics of Fluids (IF=3.5, SJR=1.4, SNIP=1.64, SC=4.9) 誌に採択(2021年4月15日)、出版されました(2021年6月28日)。

気泡流中の波長の短い圧力波の弱非線形伝播に、気泡内部の熱的効果が及ぼす影響を、4種類の温度勾配モデルを用いて、理論的に調べました。Kamei et al. (2021, Phys. Fluids)の続報です(2021年4月15日)。

Kanagawa, T. and Kamei, T., “Thermal Effect inside Bubbles for Weakly Nonlinear Pressure Waves in Bubbly Liquids: Theory on Short Waves,” Physics of Fluids, Vol. 33, Issue 6 (2021.6), 063319. 

受賞記事

2020年度M2の鮎貝崇広(学長表彰受賞)亀井陸史(研究科長表彰受賞)のコメント(筑波大/システム情報工学研究群/構造エネルギー工学学位プログラムの入学希望者向け)が大学院システム情報工学研究群HPに掲載されました(金川、2021年6月23日)。

Phys. Fluids掲載

抗力・熱伝導・粘性・音響放射という4種類の散逸性が、気泡流中の圧力波に及ぼす影響を理論的に考察した成果が、Physics of Fluids 誌 (IF=3.514, SJR = 1.4, SNIP = 1.64, CS = 4.9) に採択(2021年3月1日)、掲載されました(2021年5月18日)。

気泡に働く抗力が波の散逸性を増加させ、気泡の並進運動が波の非線形性を増加させることを、理論的・数値的に示した、Yatabe et al. (Phys.~Fluids33(3), 033315, 2021) の続編です。気泡に働く抗力を考慮の上で、弱非線形波動方程式を導出した先行研究は見受けられません。抗力が「流れの」減衰に寄与することは想像がつきます。しかし、非振動成分である抗力が、振動成分である圧力波の減衰を招くことは、直感的に考えづらいという先入観があったと想像され、この点に新規性を有します。


Kanagawa, T., Ayukai, T., Maeda, T. and Yatabe, T., “Effect of Drag Force and Translation of Bubbles on Nonlinear Pressure Waves with a Short Wavelength in Bubbly Flows,” Physics of Fluids, Vol.~33, Issue 5, 053314 (2021.5). [open access]

Jpn.J.Appl.Phys.(Kikuchi & Kanagawa, 2021; Spotlights)

菊地勇成(M2)の超音波造影剤気泡の非線形音響特性に関する理論解析の成果が、Jpn. J. Appl. Phys. 誌 [Impact Factor = 1.376, SJR = 0.371, SNIP = 0.941, CiteScore = 5.0] に採択および Spotlights に選出され(2021年3月3日)、open access として掲載されました(2021年5月12日)。[Tsukuba Journal]


Kikuchi, Y. and Kanagawa, T., “Weakly Nonlinear Theory on Ultrasound Propagation in Liquids Containing Many Microbubbles Encapsulated by Visco-Elastic Shell,” Japanese Journal of Applied Physics, Vol.~60(SD), SDDD14 (2021.5). [open access]

Phys. Fluids掲載(Kamei et al., 2021)

2021年5月4日付で、亀井陸史(2020年度M2)が筆頭著者の論文が、米国物理学協会発行の Physics of Fluids (IF=3.5, SJR=1.4, SNIP=1.64, SC=4.9) 誌に掲載されました。

気液界面における熱伝導と温度勾配モデルに着目し、気泡流中の圧力波の弱非線形伝播過程を、理論と数値解析の観点から調べました。

Kamei, T., Kanagawa, T. and Ayukai, T., “An exhaustive theoretical analysis of thermal effect inside bubbles for weakly nonlinear pressure waves in bubbly liquids,” Physics of Fluids, Vol. 33, Issue 5, 053302 (2021.5), open access

学振DC1採用

新D1の鮎貝崇広が日本学術振興会特別研究員DC1に採用されました(2021年4月1日)。

修了式・卒業式/学生表彰

2021年3月25日、金川研所属の、M2の5名、B4の2名が、それぞれ、修士(工学)、学士(工学)の学位を授与されました。


卒業生の7名全員が、表彰されました:


学位記授与式において、鮎貝崇広が構造エネルギー工学専攻博士前期課程の総代、加賀見俊介が工学システム学類の総代を務めました。

Phys. Fluids掲載(Yatabe et al., 2021; Featured Article)

2021年3月17日付で、谷田部貴大(M2)が筆頭著者の論文が、米国物理学協会発行の Physics of Fluids (IF=3.5, SJR=1.4, SNIP=1.64, SC=4.9) 誌に掲載され、Featured Article (Journal’s Best) に選ばれました。[筑波大学HP]

気泡の並進運動が圧力波の非線形性を増加させ、気泡に働く抗力が圧力波の散逸を招くことを、初めて理論的に示したものです。さらに、抗力による散逸は、音響放射による散逸とは異なるメカニズムであることを、長周期数値解析によって示しました。現在、粘性と熱伝導を含め、粘性・熱・音響放射・抗力という4種類の散逸の比較を進めており、続報も Phys. Fluids 誌より出版予定です。

Yatabe, T., Kanagawa, T. and Ayukai, T., “Theoretical Elucidation of Effect of Drag Force and Translation of Bubble on Weakly Nonlinear Pressure Waves in Bubbly Flows,” Physics of Fluids, Vol. 33, Issue 3, 033315 (2021.3). [open access] 

日本機械学会若手優秀講演フェロー賞

亀井陸史(M2)が日本機械学会若手優秀講演フェロー賞を受賞しました。

対象講演は、日本機械学会熱工学部門主催の熱工学コンファレンス2020における口頭発表「気泡流の熱伝導の温度勾配モデルが非線形圧力波に及ぼす影響の理論的比較」です。

当該表彰は、日本機械学会の支部・部門等が主催する講演会において、表彰対象者の講演発表と講演論文に基づき、発表内容の有益さと新規性があり、日本機械学会学術誌に論文として投稿するに値するレベルにあり、発表と質疑応答の態度が優れており、本人が研究を主体的に行ったと判定されることなどを根拠に表彰がなされるものです。

26歳未満の会員のうち、20人に1人の割合という高い倍率で選考がなされるものです(当該熱工学コンファレンスの審査対象講演数111件に対し受賞者5名)。

[筑波大学HP]

学生視点の金川研紹介’20(4)

B4に研究室紹介を書いてもらいました(金川)。


【研究テーマと進め方について】

 現在、ほとんどの学生は「気泡流」に対する「理論解析」をやっています。
 いわゆる通常の「流体力学」は、「水のみ」または「空気のみ」の場合を対象としたもので、これは工学部の学生の多くが学ぶ基礎的な学問であり、理論面は確立されたものがあると思います。それに対し「気泡流」は、「水+空気」からなる媒質を対象とするわけですが、この場合、理論の根本的なところから未確立な部分が多く (基礎方程式の表式も多岐にわたる)、それゆえ研究対象になりうる、というようなイメージです。
 金川研の研究成果として得られる数式は、もし「気泡流の力学」という教科書を作るとしたら、おそらく序盤のほうに記載されるであろう内容だと思います。このように、基礎的な数式の段階から物理 (力学) を研究することが出来る研究室は、恐らくレアだと思います。

 なお、気泡流以外のテーマ (固体力学や爆轟など) もあるようなので、特定のテーマにこだわりがある方は、配属前に相談したほうが良さそうです。ただし、金川研の理論解析の適用範囲内かどうか確認の必要があると思います。また、あくまで手法は理論解析なので、研究の進め方自体が大きく変わることは無いはずです。

 個人的に、研究室選びにおいては「テーマ」だけでなく「研究の進め方」も非常に重要だと思います。私の場合、テーマ以上に、理論解析の進め方そのものにより魅力を感じました。配属前、先生から「紙とペンさえあれば研究できる」と聞いていましたが、実際やってみて、その通りだと思います。今年の場合は特に、学会もオンライン開催なので、自宅から参加可能です (情勢次第ですが、しばらくこの傾向は続くと予想しています)。その気になれば自宅だけで研究の全行程が完結します。
 実験装置等も使わないので、装置によって進捗を左右されることもありません。また、学生間で共同で研究をすることは (基本) 無く、研究は個人プレーで行います。実際、研究室の方々とお会いする機会がほとんどなく、その点寂しさもありますが、自分のペースで進められるのは良い点だと思います。

 配属先として考える上での注意点(?)を挙げるとするならば、理論解析の作業そのものは、非常に地道です。実際、「紙とペンさえあれば研究できる」という点は、魅力的に感じる人もいれば、退屈そうに感じる人も多いと思います。また、最終的に得られる式は比較的キレイにまとまっており、物理的解釈の付与も可能ですが、そこに至るまでの計算過程はかなり膨大です。計算途中の段階では、物理的解釈を結びつけることが困難な大量の項たちと対峙することになります。この意味で、(金川先生からも再三警告されていると思いますが) 数学があまりにも嫌いな方には、苦痛だと思います。ただし、「嫌い」ではなく「苦手」程度であれば、時間さえかければ最後までたどり着けるとは思います。


【普段何をしているか】

 理論解析の実際の流れについてですが、配属直後は、気泡流に関する先行研究の式変形を再現することから始めます。ある程度分かってきた段階で、テーマに沿った新たな要素を組み込み、計算していきます (勉強だけ長期間続けるのではなく、研究しながら勉強するというイメージです)。これがいわゆる「紙とペン」で行う部分であり、ひたすら式変形することになります。当然、研究なので、良い結果が得られる保証はなく、場合によっては何通りもの計算を行うこともあるので、ある意味実験的です。

 少々意外かもしれませんが、研究として新規性がある部分は基本的にここまでです。時間としては、研究全体の30%くらいではないかと思います (テーマや個人の進捗にもよります)。以降は、計算の見直しやモデルの一部を変更することなどはありますが、がっつり理論解析をすることはほぼ無くなります。

 理論解析が終了した後は、具体的に以下のようなことをします。

・学会原稿を書く
・学会スライド・発表練習
・学会本番に参加
(・数値計算)
(・論文投稿)

 このように、学会参加を中心とした日々になります。そして、毎回の学会前には、作文・プレゼンに対し細かい指導が入ります。
 学会の参加申込時には、A4数ページ分の学会原稿や、数100字程度のアブストラクトを書く必要があり、ここで作文指導がなされます。内容の本質に関わる部分から、軽微なところまで、かなり細かく添削して頂きます。
 スライド作り・発表練習は、本番の1か月前くらいから始まります。先輩方の例も提供して頂けるので、それらも参考にしつつ作っていきます。作成途中の段階から、練習として複数回先生に発表を見て頂き、分かり易い発表になるよう、発表の中身・スライド・話し方などを繰り返し添削して頂きます。また、発表練習のあとは、質疑応答の練習として、金川先生から質問をぶつけられます。

 金川研の特徴として、(希望次第ではありますが、) 学会参加の回数が多いです。希望すれば、かなりの回数出して貰えます。その上、毎回細かく指導して頂けるので、プレゼンに関してはかなりスキルアップできると思います。もちろん、「学会=プレゼン練習の場」というわけでは無いですし、たくさん出れば良いというものでもありませんが、全国の先生方から意見を頂ける貴重な機会であり、他の研究室の方々の発表も聞けるので、得られるものは大きいと思います。学会参加自体が研究業績としてカウントされる、というメリットもあります。また、質疑応答やプレゼンのスキルに関しては、場数を踏むことが一番重要ではないかと思います。
 なので、「学会に出てみたい」「学会参加を通じて作文・プレゼンの能力を磨きたい」という方には、金川研はかなりお勧めです。ただし、金川研以外にもB4で学会に出る研究室はそこそこあるようですし、学内でのゼミをプレゼン指導のメインとしている研究室もあると思います。このようにプレゼン指導の方針は各研究室によって様々なので、気になる方は配属前に確認すると良いと思います。

 理論解析は全体の30%、と聞くと残念に思う方もいるかもしれませんが、個人的には、理論解析以降の作文・プレゼン指導に関する部分の方が重要なのではと思います。卒業後にどの分野・業界に進もうと、普遍的に役立つ能力だからです。もちろん、理論解析の手法等々や、気泡流の物理も重要ですが、例えば企業に入社した場合、就職後も同じことをする確率はまずゼロです (博士進学して研究職を目指すなら別かもしれませんが、その場合も作文・プレゼン等の能力は必須です)。これは金川研に限った話ではなく、どこの研究室でも同じだと思います。
 各研究室の配属説明会では、研究テーマに関する説明はされますが、それ以外の指導に関するところはあまり語られないと思います。理論解析は全体の30%、というのもあくまで金川研の場合の一例であり、研究室によっては、実験や解析により多くの時間を割く研究室もあると思います。研究室選びにおいては、テーマだけでなく、具体的に普段は何をしているのか・それによりどのような能力が得られるか、といった部分も重要だと思うので、気になる方は配属前に確認したほうが良いと思います。

 その他、数値計算に関しては、必須ではなく希望次第で行います (私はやっています)。テーマによりけりですが、先行研究の文献を参考にコードを書くこともありますし、金川研の先輩方からコードを提供して頂くこともあります。金川研はあくまで理論解析が軸なので、数値計算を利用する立場であり、「数値計算手法そのもの」を研究することは基本無いと思います。
 話が飛びますが、最近、金川研の研究資金で新品のデスクトップPCを買って頂きました。私が「コードを書いたが、自分のノートPCだと計算にかなり時間が掛かる」と報告したところ、その日のうちに即注文して頂き、数日後には研究室に届けて頂きました。その他の周辺機器も、先生にお願いしたところ、すぐに買って頂けました。このように、研究に必要なものは、お願いすれば高確率で買って頂けるのではと思います。
 また、論文投稿に関しては、金川研では基本的に修士卒業までに1編は書くことになっているようです。希望があれば、複数編トライすることも十分あると思います。前述の学会原稿執筆時と同等かそれ以上の細かい作文指導を受けることになり、それに加えて査読対応の場面も出てくるので、より深い経験を積めると思います。


【金川研との相性について】

 研究室配属の際、金川研との相性は、「講義の印象」から判断すれば基本的に問題無いと思います。

 研究室選びの定説として、「講義の印象で決めるのは危険」と聞くことがあります。多くの場合それで間違いないと推測しますが、金川研の場合は、講義の印象で決めて良いと思います。
 約10か月間、研究室に在籍した感想として、金川先生の研究指導のスタイルや先生の人間性も含め、講義での先生の印象と近いです。私自身も、2年生の時に先生の授業を受講し、講義や資料の分かり易さ、質問対応の丁寧さ、manaba等での連絡の迅速さが素晴らしいと感じましたが、研究指導においても同様な指導を受けることが出来ます。また、各科目の期末テストの答案に求める厳密性などから、金川研の研究スタイルがおおよそ把握できると思います。
 よって、講義を受けてプラスの印象を持った方は、相性については問題ないと思います。その逆も然りです。


【最後に】

 色々書きましたが、まとめると、

 ・自分のペースで研究を進めたい
 ・理論研究に興味がある
 ・学会に (多めに) 出たい
 ・論文を書きたい

上記のいずれかに当てはまる方には、金川研はかなりいい環境だと思います。

学生視点の金川研紹介’20(3)

B4に研究室紹介文を書いてもらいました。(金川)


4月から金川研に配属されて経験した色々を踏まえて,紹介文的なものを書こうと思います。あくまで主観なので参考までに。

・金川研を選んだ理由

 色々ありますが,一番は「最も興味のあることができそうだったから」です。私にはもともとやりたいことが多くありましたが,一番やりたいことができる研究室が工シスにはありませんでした。その話をぽろっと金川先生にしたところ,先生の専門と近いのでできるのでは?という話になり,それが決め手になったという感じです。ただ,流体や基礎研究に興味がないかというとそういうわけでもなく,流体は元々好きでしたし,いろいろな分野につながりそうな基礎研究は面白そうだなと思っていました。また,もともとゴリゴリ計算は嫌いでなかったので,理論研究にも興味がありました。

 あとは,「文章の書き方や発表の仕方」についての指導をしてくれるということで,どんな分野に行っても役立つ力を身に着けたいな,と思ったのも金川研を選んだ理由の1つです。

 私は金川研ともう1つとある研究室で悩んでいました。いろいろと考えて最終的に研究室を決めたのは,配属第1期初日の1週間くらい前だったと思うので,皆さんも焦らずにやりたいことや,身に着けたいことが満たされる研究室を選べばよいと思います。

・研究と研究室の特徴

 金川研は基礎研究を理論的手法で行っています。この時にキーワードとなるのが,「弱非線形」らしく,弱非線形の理論であれば,基本的に研究対象は問わないそうです。そういう意味では,やりたいことができる可能性は低くないのかなと思います(面談で先生と話してみてください)。基礎研究というと,「特定の応用先が決まっていないので,よくわからん」という印象があるかもしれませんが,(まだ1年もやっていませんが)私的には逆にいろいろな可能性があって面白いと思います。発表の際には医療を応用先として挙げることが多いですが,自分で考え付けば,無限の応用先があります。対象はものではなく物理現象なので,物理が好きな方は特に良いと思います。

 理論研究についてですが,具体的にやることは連立方程式の代入計算がほとんどです。なので,「微分方程式を特殊な解法で解く」などを想像している方は少し違うかもしれません。また,ゴリゴリとした式変形が嫌だという方には向いていないと思います。理論研究の良い点としては,実験装置やパソコンを使わないため,自分のペースやタイミングで勉強を進められるところです。ちなみに理論だけでなく,希望すれば数値計算もできます。しかし,あくまで理論的に導いたものを数値計算で値を求めたり描画したりという感じで,メインは理論です。

 ここからは研究室の特徴を書いていきます。

 研究室で課せられていることと言えば1週間に1度の進捗報告などを含む打ち合わせくらいです(打ち合わせの中身は後述)。といっても事情がある週は打ち合わせがないこともあります。研究自体は前述したように自分のペースでやることができます。研究をしなさすぎると先生から何か言われるらしいですが,私は特に言われたことがないので恐らくそんなに厳しいことはありません。なので,バイト遊びなど自分の予定は好きなように入れることができます。また,最近は打ち合わせがオンラインなので,大学に行く必要はありません。実際私は4月以降,研究関係で大学に行っていません。といっても研究室は存在するので,家で集中できない場合は研究室でやることもできます(最近引っ越して広くなりました)。ちなみに私はとある事情で1ヶ月間研究ができなかったのですが,先生に前もって話したところ,全く問題ないという話でした。という感じで自分の予定は入れやすいと思います。

 次に研究室の人について書きます。といっても今年はすべてがオンラインで済んでしまうので,研究室の人と全く会いません。また,研究に関しても基本的には先生との一対一が多いため,もともと他の人との関わりはそんなにありません。実際,一回も会っていない先輩もいるのですが,わからない部分について質問をすると丁寧に教えてくれます。先輩はいい人ばかり(私の同期もいい人)なので,そこの関係で困ることはないと思います。ただ,「研究室一丸となって乗り越えよう!」的な意識を共有したい人には多分向かないと思います。こんな感じで,人との関わりがあまりない的なことを書きましたが,私は研究室で旅行に行きたいとひそかに思っています。コロナ禍が収まったら誰か行きましょう。

・研究指導

 具体的な研究指導について書きます。普段の打ち合わせは進捗報告をした上で先生の意見などを聞くという感じです。金川先生の授業で質問をしたことがある人はわかると思いますが,研究に関する質問をすると授業の時と同じようにかなり丁寧に返ってきますので,消化不良になることは基本的にないです。学会などが近くなると,書いた原稿を見せたり,プレゼンの発表練習をしたりして,添削をしていただきます。この添削ですが,かなりメタメタに言われますが,別に暴言が飛んでくるわけではありませんし,すべて理由付きなので,理不尽な内容は全くないです。言われると確かにそうだなぁとなりますし,こういう意図があったんです,と話すとそれを認めてくれることもあります。この指導もあり,論文を出したり,学会で講演に関する賞をとったりする人が多いです。といっても,講演賞については,運がかなり絡むと個人的には思うので,絶対取れるとは思わない方がいいです。しかし,この指導をじっくり受ければ,文章力や発表の力は確実に付くと指導を受けて思いました。

・最後に

 見返すと結構な量になりましたが,書いていたらこれくらいになってしまっただけで,これだけ書けと言われたわけではありません。研究室に関する質問は先生にすれば,(多分)何でも答えてくれると思うので,少しでも気になったらしてみるとよいと思います。また,先生に聞きにくいことは,学生に聞いてみましょう。悪い人はいないのできっと教えてくれます。(B4)

J. Phys. Soc. Jpn.掲載(Maeda & Kanagawa, 2020)

前田泰希(M2)の論文がJPSJ誌 [Impact Factor = 1.559, SJR = 0.770, SNIP = 0.720, CiteScore = 3.0] に採択(2020年9月9日)、出版されました(2020年10月29日)。

Maeda, T. and Kanagawa, T., “Derivation of Weakly Nonlinear Wave Equations for Pressure Waves in Bubbly Flows with Different Types of Nonuniform Distribution of Initial Flow Velocities of Gas and Liquid Phases,” Journal of the Physical Society of Japan, Vol.~89, 114403 (2020.10). 

服部報公会より工学研究奨励援助金を受賞

2020年10月9日に、金川が、公益財団法人服部報公会より、現在行っている研究が極めて優秀で今後の進展が期待されるという理由から、令和2年度「工学研究奨励援助金」を受賞しました。計106件の応募者のうち、15件の受賞者に選ばれました。

当該援助金は、満40歳未満の研究者が行う研究のうち、工学の発展に寄与する基礎的研究で単なる調査ではなく理論的あるいは実験的研究を行い1年間に一応の進展が期待される研究を対象とするものです。

研究題目「マイクロバブルが切り拓く水中の超高速・超音波の実現とそれによるポンプ損傷抑制技術」
 

機械学会茨城講演会において学生講演賞受賞

鮎貝崇広(M2)と川目拓磨(B4)が、日本機械学会2020茨城講演会(2020年8月21日)で行った口頭発表に対して、優秀講演賞を受賞しました。表彰対象は30歳未満の発表者で、対象者数110名のうち、上位1割に選出されました。

とくにB4は、この時期に研究成果を挙げることも、学会発表を行うことも、学会表彰を頂けることも、極めて珍しいと判断しますので、体験談を交えて、長めに書いてもらいました(金川、2020年10月4日)。


この度は優秀講演賞を頂き,大変光栄に思います。

受賞に際しまして,金川先生をはじめとして,研究について様々なことを教えてくださった研究室の皆様,練習を聞いてくれた友人,普段からサポートをしてくれた家族,学会の運営をしてくださった委員の皆様には,深く感謝を申し上げます。

以降には,学会までの流れなどを記載します。

今回発表した内容は3月からやってきた研究成果であり,内容としては,現在修士1年の方が昨年やっていた研究の拡張のようなテーマを扱いました。計算自体は毎日ゴリゴリと進め,比較的早い段階で結果を出すことができました。先生には研究室配属の際に言われていましたが,ゴリゴリ計算が嫌いでなくてよかったなぁ,と思いながら計算をしていました。7月の頭頃に発表原稿の提出がありましたが,これを書くのがかなり大変でした。個人的に文章を書くのは得意だと思っていましたが,先生に添削していただいたところ,大量の修正箇所がありました。このやり取りの中で,多くの人が読んで同じように解釈できる文章の書き方とそのように書く大切さというものがよく分かりました。

発表原稿の提出後には,内容が拡張できるのではないかということで,計算を再び行いました。2回目ということもあり,1回目よりスムーズに進み,1回目の計算が生きているなぁとしみじみと感じました。得られた結果をもとに,スライドを作成し,2週間ほど前から発表の練習を開始しました。話してみて初めて,スライドのここを変えた方がよい,とわかることも多く,発表の前日まで練習して修正して,の繰り返しでした。発表練習は,基本的には先生に聞いて頂き,質疑応答までを行いました。練習の中では,自分ではわからない癖などを指摘して頂くことができ,発表の仕方を改善することができました。一度同じ他の研究室の友人にも発表を聞いてもらいましたが,専門ではない人の意見を聞くことができ,本番のための良い練習になりました。本番は,オンライン開催だったため,特段緊張せず発表することができました。また,質疑応答についても,先生から事前に「発表者と質問者は対等なので,守りに入らず自信を持って話すよう」と言われていたので,落ち着いて自分の思っていることを話すことができました。

今回は結果として,優秀講演賞を頂くことができましたが,反省点や修正すべき点はまだまだあります。また,今回はオンラインかつ顔出しもなしだったのでほとんど緊張しませんでしたが,環境が変わると今回よりも緊張すると思います。今回の反省を活かして,次の学会ではより多くの人に理解してもらえるような発表を心掛けたいです(川目、2020年10月4日)。


 
この度は優秀講演賞を頂き、大変光栄に思います。本賞は、私にとって初めての講演表彰となりました。これまでの1年半で培った発表スキルを評価頂けたと受け取っております。次年度以降も発表スキルを磨き、本受賞に恥じぬような分かりやすい発表を心がけてまいります(鮎貝、2020年9月26日)。

混相流シンポジウムにて学生講演表彰

加賀見俊介(B4)が、混相流シンポジウム2020において、ベストプレゼンテーションアワードを受賞しました(2020年8月23日付)。[筑波大学HP]

恐らくは、学類(学部)生の当該表彰受賞は、稀ではないかと推測します。配属決定以来の半年、研究と勉強のみに没頭していた学生ですので(殆どの学生は、プライベート等と両立していると認識します)、表彰という形で、努力が報われて良かったと思います。このような受賞や論文掲載によって、研究室学生間の切磋琢磨も望んでいますし(無関心でも構わないという考え方ですが)、安直に満足してほしくないとも思っています。本年度は、新型コロナの影響なども総合的に考え、早めにB4の2名のテーマを決め、進捗を見て、両名に学会発表をさせることにしました。以下、日誌形式にて、研究室HP向けのコメントを書いてもらいました(金川)。


この度は、ベストプレゼンテーションアワードを受賞させて頂き、大変光栄に思います。
このような賞を頂くことが出来たのは、日頃から熱心にご指導頂いた金川先生、また、オンライン開催という非常事態の中トラブルなく運営頂いた先生方や実行委員の皆様のおかげであると感じています。心より御礼申し上げます。

以下は、学会の振り返りです。
今回発表したテーマは、5月の頭くらいに先生から提案頂いたテーマです。4月までは、全く別のテーマで、1か月ほどひたすら手計算をしていましたが、上手くいきそうにないという事で、方向転換することになりました。
早々に挫折となりましたが、新テーマの方は比較的順調に進んだと思います。私としては、手計算以上に、学会発表の講演タイトル・アブストラクト・講演原稿等々を書くのが大変でした。自分が数ヶ月かけて行った計算を、限られた語数で表現することは非常に難しく、なんとか原案を完成させても、先生に繰り返し添削して頂く中で、最終的には跡形もなくなることがほとんどでした。これに関しては、慣れていって改善するしかなさそうです。6~7月は期末試験の期間を除き、手計算や原稿等の作成を行っていましたが、各種締め切り間際は毎回大変でした。
7月末くらいから発表の準備を始めました。最初の発表練習は、スライド未完成の段階でしたが、本番2週間前くらいにオンライン上で行いました。練習は毎回、金川先生お一人に聞いて頂き、質疑応答の練習まで行います。理由は分かりませんが、後にも先にも、最初の練習時が一番緊張しました… 本番1週間前くらいにスライドを作成し終えて、その後はひたすら練習しました。本番前日まで4日連続で練習を入れて頂きましたが、私は元々かなりの緊張しいで、人前で話すことが非常に苦手なので、複数回練習を入れて頂き有難かったです。
本番は、オンラインとはいえかなり緊張しました。これまで、混相流シンポジウムも含め計2回発表しましたが、やはり質疑応答が難しく、失敗した部分が多々あったと感じています。発表自体は練習を重ねれば何とかなるとは思いますが、質疑応答は中々そうはいかないと思います。練習時から、金川先生に「質疑応答は尋問ではない」とアドバイスを頂いていましたが、質問者の先生と討論をする位の気持ちでやらなければいけないと感じました。
また、次回の発表時には、数値計算による波形を載せたいと思いました。金川研はあくまで手計算メインの研究室だと思いますが、対象が「波動」なので、やはり何かしらの波形は欲しいところです。最近、研究室の同期に、(私が一方的に教えてもらっているだけの)勉強会を開いてもらうなどして、概要は分かってきましたが、自分でコードを書けるようになるには時間が掛かりそうです。波形が描ければ発表もかなり充実すると思うので、次の発表までには何とか完成させたいところです。
自分としては、学会参加自体が一つの目標だったので、それが達成できてよかったです。受賞は、金川先生の(非常に)熱心なご指導のお陰ですし、その時々の運も絡むものなので、一喜一憂し過ぎるのは良くないと思いますが、素直にとても嬉しかったです。これが最初で最後の受賞にならないよう頑張ります(加賀見)。

日本混相流学会奨励賞

金川が、日本混相流学会より2019年度奨励賞を受賞致しました(2020年8月22日)。

被表彰業績「気泡流中の圧力波を記述する非線形波動方程式群の網羅的かつ包括的な導出」 

当該業績の原著論文の共著者として、学生時代よりご指導いただきました先生方と、当該研究に打ち込んでくれた金川研の学生全員に、深く感謝を申し上げます。

[筑波大学HP]

米国音響学会にて学生優秀論文表彰

鮎貝崇広 (M2) の論文が、178th Meeting of ASA (米国音響学会2019年秋季大会@San Diego) において、Student Paper Prize in Physical Acoustics, Second Place (学生論文コンペティションの物理音響部門で第2位) を受賞しました。[筑波大学HP]

Ayukai, T. and Kanagawa, T., “Numerical Study on Nonlinear Evolution of Pressure Waves in Bubbly Liquids: Effective Range of Initial Void Fraction,” Proceedings of Meetings on Acoustics, Vol. 39, Issue 1 (2019), 045009.

教育貢献賞を受賞

金川が、令和元年度 筑波大学システム情報系 教育貢献賞を受賞いたしました(2020年3月)。

学位記授与式/表彰

2020年3月25日付けで、金川研の修士2名と学士3名が学位を授与されました。また、以下の受賞がありました。

圷亮輔(M2):構造エネルギー工学専攻長表彰

慶本天謹(M2):日本機械学会三浦賞、構造エネルギー工学専攻長表彰、同専攻修士論文優秀発表者賞

石塚怜央奈(B3):日本機械学会畠山賞筑波大学学長表彰

金川研日誌(2/14)

新B4に日誌を書いてもらいました。


かなり前のことになってしまいましたが,卒研発表会と研究室の新歓がありました。卒研発表は難しいことをやっているな,と感じましたが,嬉しかったことが1つあります。それは,何をしているのかはわかった,ということです。高校生や大学1年生の頃は,研究の話を聞いても何を言っているのか全く理解できなかったので,3年間で少しは成長したんだな,と感じました。(感じただけかもしれませんが)新歓では先輩方と話すこともでき,これからの新環境でも頑張ろうと思いました。というわけで,1年後は自分が発表するということを意識して勉強します(新B4)。

金川研日誌

新B4に日誌を書いてもらいました(金川)。


約1週間前の2月14日、卒論発表会・研究室飲み会があり、B3の私も参加させて頂きました。

卒研発表会は、1年前のB2の時にも参加させて頂いたので、2年続けての参加になりました。1年前に発表を拝見させて頂いた際、話し方・発表の分かり易さが素晴らしいと感じ、金川研に入りたいという1番のきっかけになりましたが、今年も同様の感想を持ちました。
研究室飲み会は、先輩方の卒業お祝いと、我々B3の新歓も兼ねて行われました。至って平和な飲み会で、私としては非常に居心地がよかったです。また、会計の大半は金川先生が支払って下さいました。
この日は午前中に学類授業の期末試験もあり、期末試験・卒論発表会・研究室飲み会と内容の濃いスケジュールでしたが、充実した1日となりました。

卒研配属が終了してから、先生と数回面談を行い、勉強用の資料などを大量に頂いています。ひと通り目を通しましたが、流体の基礎関連の科目を長らく履修していないこともあり、分からないことだらけで、まずは勉強が必要だと感じました。英語の資料も数多くあるので、暫くの間は英語の文章に四苦八苦する時期が続きそうです(B3)。

応用力学論文集


亀井(M1)・鮎貝(M1)の論文が、土木学会論文集(応用力学)に掲載されました。


亀井陸史, 鮎貝崇広, 金川哲也, “気泡流中の長波の弱非線形伝播に粘性と熱伝導性が及ぼす影響に関する理論的研究,” 土木学会論文集A2 (応用力学), 75(2) (2019.12), pp.499-508.

国際学会参加記

178th Meeting of the Acoustical Society of America (米国音響学会秋季研究発表会)@米国カリフォルニア州サンディエゴ、2019年12月2日から6日に参加し、学生5名と金川が Physical Acoustics セッションにて口頭発表を行いました。
(金川)


12/6に行われた米国音響学会秋季大会にて発表を行うため、12/2から12/7までアメリカのサンディエゴへ行きました。
私はこれまで国外に行ったことがこれまで無かったので、飲食店で料理を注文したりバスに乗れるかなどを心配していましたが、杞憂でした。アメリカの人々はとても親切で、自分の拙い英語を理解しようと努めてくれたり、バスの乗り方を教えてくれたりしたので、安心して観光することができました。観光した場所は、海軍航空博物館、自然史博物館、人類博物館、シーポートヴィレッジ(海岸の綺麗なショッピングモール)、オールドタウン州立歴史公園(開拓時代の町並みが再現されている公園)などです。食事は、アメリカらしいものを食べたいと思っていたので、ハンバーガー、ステーキ、ブリトーなどを頂きました。アメリカの食べ物は不味い?と思っていたのですが、全くそんなことはなく、濃いめの味付けでとても美味しかったです。
自身にとっては2度目の国際学会ですが、一度目の国際学会は仙台でしたので、国外で行われるものに参加したのは初めてでした。発表会場は、大変歴史ある、ゴージャスな雰囲気が漂うリゾートホテルでした。(なんと築130年!)発表自体は2度目でしたので落ち着いて発表することができましたが、ネイティヴの英語はTOEICよりも圧倒的に早口で、質疑応答では一度で聞き取ることができずに何度も聞き返してしまいました。来年度の国際学会に向けて、リスニング力の強化が課題となりました。
発表後は、全員で近くのシーフードレストランへ行き、昼食をとりました。サンディエゴは港町ということで海鮮がとても美味しく、ムール貝やタコ、カジキなどをたくさん頂きました。ただ、先生一押しの生ガキだけはどうしても口に合いませんでした。せっかくオーダーしていただいたのに、申し訳ないです。お会計の大部分を先生に出して頂きました。ごちそうさまでした。 (学生)

学生からの金川研紹介(9)

●この研究室に合う学生
合う学生の例は、他の記事で複数挙がっているので、逆に「合わないのではないかな?」という人の例を列挙していきます。
先生の授業の様子から分かると思いますが、数式の厳密性・適切性をじっくり検討するのが面倒だという人にはたぶん向きません。そういった人にとって、日々の打合せで先生から頂く指摘は苦痛でしかないと思います。金川先生に限らず、指導教員との相性の不一致があると、研究が辛くなるだけなので、慎重に検討した方がよいと思います(これが原因で病んだ人を学外で数人知っています)。
個人プレーがメインとなる理論研究の性格上、「研究において」団結を求める人にもあまり向かないと思います。研究の大部分が個人ワークです。
また、数学的手法で理論解析を進めるので数学嫌いの人にも向きません。

●学生間の仲や距離感
今年は人数が増え、去年よりさらに活気が増したと思います。飲み会も賑やかになってきました。詳しい状況は他の記事を参照してください。

●本研究室の学内や学会での立ち位置
学会に複数件出席した限りでは、近年の流体研究は、混相流(気体と液体の相が混ざっている流体)分野においては、実験や数値シミュレーションが主流であるように感じます。その点ではこの研究室の研究課題は異端なのではないかなと思います。たぶん学会に出席したときに理論解析をしている研究はこの研究室以外にないのではないかなと思います。誰もやっていないことでなければ研究にならないはずですので、裏を返せば、流行に乗らずにオリジナルなことをやっているのだと思います。

●各種学会参加、論文投稿、受賞など
学会参加・論文投稿は極めて積極的な研究室です。他の記事に書いてある気がしますが、国内学会についてはB4のうちから派遣、国際会議についても修士は年一回以上の派遣があります。参考までにM1の間に先生から発表を打診された学会は、国内3件、国際1件です。これに加えて自ら希望して派遣してもらうこともできます。
また、論文投稿については、修士の間に査読付き雑誌1件のペースでほぼ全員書いています。また、国際会議に参加する際のプロシーディングス(ミニ論文のようなもの)も書きます。
こういった経験ができるので、発表能力や文章作成能力は格段に身につくのではないでしょうか。少なくとも自分の周りの同期は身についているように感じます。
受賞に関しては、時と場合によることがあるので何とも言えません。受賞している人もいる模様ですが、基本的に偶然性の強いものなので、この研究室に入れば何かしらの賞がとれると期待してしまうと、とれなかった時のダメージが大きいので期待はしない方がよいです。一生懸命練習して等身大の自分で臨みましょう。 (M1)

国際会議ICFDにて若手講演表彰

The 16th International Conference on Flow Dynamics (第16回流動ダイナミクスに関する国際会議@仙台、2019年11月6日から8日)にて、金川が、Best Presentation Award for Young Researcher を受賞いたしました。

同賞は、36歳未満の若手研究者の優秀講演を対象とするもので、審査対象者数110名のうち、12名の受賞者に選ばれました。[リンク(ICFD)] [筑波大学HP]

学生視点の金川研紹介(6)

博士「後期進学」も検討中の学生に、以下、書いてもらいました(金川)。


今年度から金川研に来たM1学生です。時期柄、修士修了後の進路に関する比重が多くなっていますので、金川研に来た場合の進路の参考になればと思います。

なぜ金川研に来たのか?

実は、私は工シス出身ではありません。金川先生を知ったきっかけは学類時代に受講した「応用数学」という授業でした。金川先生の講義と資料はとてもわかりやすく、この先生の研究室であれば自分に合ったスタイルで研究ができると思い、専門を変えて金川研究室へ来ました。実際に半年間過ごしてみて、とても快適に研究活動をすることができています。

学会

金川研では、年1回以上の学会発表が義務付けられています。いつどこでどのような学会が開催されるのかは先生が知らせてくれるので、その中から参加したい学会を選びます。私は博士後期への進学を視野に入れていたので、M1の1年間に国内学会3回(福岡、日立、川越)と国際学会2回(仙台、サンディエゴ)の計5回に参加しました。交通費や宿泊費は全て先生に研究費から出して頂けるので、お金の心配をする必要はありません。ただ、学会は観光地で開催されることが多く、私の場合は観光したり美味しい特産品を食べたりするので、なんだかんだお金を使ってしまいます。

論文

金川研では、卒業までに査読付き論文を執筆することが求められます。かなりハードルが高いように思われるかもしれませんが、先生と二人三脚で仕上げていくので、最低限の文章力があれば論文は書けます。論文執筆は文章力を鍛える訓練の一つであり、かなり細かいところまで指摘されますが、この経験は就活中のエントリーシートや就職後の資料作成などできっと役立つと思います。

私の場合、新しいテーマであっても論文を早期に書きたいという意向を相談し、進学前から計画的に進めた結果、複数の査読付雑誌論文を投稿することができました。内1編は同期が筆頭著者の共著論文です。金川研では個人プレー(1人1テーマ)が原則ですが、テーマや相談次第では、研究室内学生のコラボレーションも可能な環境で、研究室外の方との共同研究の例もあります。

就職活動

金川研は機械系の研究室ですので、就職先として「自動車」「重工業」などのメーカーを志望するメンバーが多いです。これらの業界であれば学校推薦が使えますので、メーカー就職には強いと思われます。また、メーカー以外にも、航空機や鉄道などのインフラ系を志望しているメンバーもいますので、「金川研=メーカー」という訳でもありません。非線形波動の理論研究は機械だけに限らず、土木や医療への応用もあるので、特定の業界に縛られないという点は金川研の特徴と言えます。

理論系・基礎研究は就職が難しいと考える人がいるかもしれませんが、修士で就職するのであれば、不利になることは全くありません。理論的研究を通して、現象の背景にある物理を正しく理解していることをアピールすることで、就活を有利に進めることすらできると思います。実際に、先輩方は一流企業から内定をもらっていますし、同期たちは一流企業のインターンシップに受かっています。素晴らしい就活ノウハウが蓄積されつつありますので、新4年生のみなさんが就活する頃には、これらのノウハウを生かして就活を有利に進めることができるでしょう。

博士後期課程

私はこの半年間、博士後期課程(以後、博士)進学をある程度視野に入れて過ごして来ました。M1の自分が半年間調べた限りではありますが、金川研での博士課程について簡単に紹介します。この紹介文の読者の中に博士進学を考えている人は多くはないと思いますので、参考程度に読んでもらえればと思います。

金川研では、希望すれば、学会発表や論文投稿などをたくさんすることができます。博士課程では業績が非常に重要ですので、修士課程のうちから業績を積むことができるのは大きなアドバンテージになります。博士進学する人の多くは修士のうちに学術振興会特別研究員という制度(学振DC)に応募することになります。学振DCに採択されると、博士課程の3年間に月々約20万円(手取り約16万円)をもらうことができる上、この採択自体が研究業績となります。しかしながら、学振DCの採択率は20%程度であり、全員がもらえるわけではありません。採否を決めるのは博士課程での研究計画や意気込みなのですが、それが実現可能かを判断する基準が「修士課程での業績」です。金川研では修士課程のうちからたくさんの経験・業績を積むことができるので、学振DCの選考を有利に進めることができます。

また、博士修了後の就職先について、世間ではポスドク問題などと騒がれていますが、工学系に関しては無職になることはほとんどないです。ただし、博士の民間企業就職のしやすさは、実験系>数値計算系>理論系とは聞きます。金川研で博士を取る場合、理論だけをやると将来を狭めてしまうため、将来的には数値計算(あるいは実験も?)などを多角的にやることになります。以上のことも踏まえ、実際に私は、現在、理論よりも数値計算をメインに取り組んでいます。

現実問題として、修士で就職する方が安定した生活を送れますし、修士卒でも企業の研究職に就くことはできます。しかし、中には「どうも企業にピンと来ない」「お給料をもらえなくても大学の研究をしたい」「どうしても大学の先生になりたい」と考える奇特な人がいるかもしれません。そういう人は、ぜひ博士進学を視野に入れて、金川研に限らず色々な研究室を見てみると良いです。金川先生はもちろん、どの先生も親身になって相談に乗ってくれると思います。 (M1)

学生からの金川研紹介’19(4)

大学院修了前のM2学生に、3年間過ごしての感想を書いてもらいました(金川)。


2年前にも書きましたが,M2になり就職活動も経験したことで,3年間金川研究室で過ごした立場からも紹介文を書かせていただきます.

1. 就職活動について

―良いところ―

金川先生の方から「就活に集中して構わない」と言っていただけたので,説明会やOBOG訪問が始まる1月の半ばから内々定が出た6月上旬までは,完全に就活に専念させていただきました.就活中は心配や悩みが尽きず誰しもが精神的に不安定になると思うので,就活に専念できるという点は金川研の大きな魅力です.また,僕はM1で多数の学会発表(海外1件,国内3件)をこなし,筆頭著者で査読付雑誌論文も書きましたが,こういった研究活動を通じて養われた「人前で話す力」や「文章を書く力」は,就活での面接やエントリーシート執筆に大変役立ちました.

― 悪いところ ―

理論系の研究室であるため,専門外の理系の面接官や文系出身者が多い人事部の方に,面接で研究内容を説明することに苦労しました.実験系であれば具体的な説明がしやすいのかもしれませんが,理論系は研究手法が複雑だったり具体的なイメージを持ってもらいづらいという難しさがあります.また,エントリーシートの文字制約の中で研究の内容や手法,苦労や学んだことなどをまとめるのは,実験系と比べ苦労するかもしれません.
理論系は実験系の研究室と比べて就活で不利なイメージがあるかもしれませんが,そんなことは全くありません.僕は7社エントリーしましたが,エントリーシートの通過率100%,内々定3社・不合格1社(他は途中で選考辞退)という結果で終え,不利だなと感じることはほとんどありませんでした.先ほど就活の苦労を挙げましたが,そこら辺のノウハウはデータで研究室に残していくので,後輩たちは僕ほど困らないのではないかと思います(1期生なので完全に手探りで進めました).当然ですが,就活が終われば研究を再開します.僕は就活中全く進捗を出せなかったことに焦りを感じているので,M2での学会発表は国際学会での1回のみ(7月・サンフランシスコ)でそれ以降は数値解析に集中しています(金川先生にも僕の意向を理解していただき,そのように対応していただきました).

2. 約3年間過ごしてみてのおすすめ度

自分のペースで研究を進めたい・研究以外の私生活も楽しみたい・厳密に物事を考えることが嫌いじゃない,こんなタイプの人にはおすすめです.僕は気になることがあると深く考え込んでしまうタイプの人間なので,自分のペースでじっくり研究に取り組める(学会関係の締切はあるが,研究室内の締切やゼミがない)金川研の環境はすごくありがたかったです.また,僕は短期集中型なので,研究室にいる間はキッチリ集中してその日出すべき進捗を出す+後はサークルなりバイトなり家でごろごろするなり自由に過ごす+平日は基本的に毎日研究室へ行く,というスタンスで3年間やってきましたが,研究成果を出しながら人生の夏休み延長戦を存分に楽しめたと感じています.進捗さえ生めば自由な生活スタイルが許されているので,週4日みっちりやって3日は遊びまくる,夜のほうが集中できるから夜中に研究する,などなど自由な研究スタイルが許されている点が最大の魅力だと思います.
逆におすすめできない人は,みんなでワイワイしながら研究したい・卒業論文提出直前はみんなで徹夜して頑張りたい・先輩と一緒に研究を進めたい,といったタイプの人です.もちろんこれらも研究の進め方・研究室生活の楽しみ方の一つと思いますが,徹底的に効率重視の金川研とはあまりマッチしないでしょう.

3. 学生間の仲や距離感

自由な生活が認められているので学生間の交流は少ないのではないかと思うかもしれませんが,そんなことはありません.むしろ設立3年目を迎えた今年,学生数が一気に増えたこともあり,急激に仲が深まったのではと感じています.同期で授業の情報や就活の情報交換をするのはもちろんですが,先輩後輩間でも学会や就活に関する情報交換が今年になってすごく活発になりました.研究室に行けば毎回会う人や週2回くらいしか会わない人など様々ですが,会うたびに新しい情報が入ってくるので面白いなぁと感じています.
学生同士が会う頻度は,コアタイムがある研究室と比べれば少ないので,体育会系のノリでみんなで頑張ってる感が欲しい・同期とはいつでも一緒にいられるような仲になりたい,といった雰囲気を求めている学生は,寂しい思いをするだけなので,金川研よりもよい研究室があるでしょう. (M2)

学生視点の金川研紹介’19(3)

M1学生に紹介を書いてもらいました(金川)。[20191117更新]


研究内容・配属理由・学会・イベントなどは、本年度に新たに加入したメンバーが書いているので、私は本研究室で2年間を過ごしてみて感じたことを紹介します。

注)私の紹介記事は、他のメンバーの紹介記事の補足になるので、他の記事を先に読むことを勧めます。

1.学生間の距離
昨年は、先輩方2名と同期と私の合計4人であったため、学生居室に行っても、誰もいないことが多く、研究以外では人と関わることが少ない研究室でした。しかし、今年は、メンバーが10人に増えたため、居室で人と会うことも多くなり、一緒にお昼ご飯を食べに学食に行ったり、お互いの趣味などについて紹介し合ったりと、研究以外で関わることも少しは増えたかと思います。それでも、まだまだ横のつながりは少ない研究室かもしれません。

2.私の思う金川研究室の魅力
金川研究室の魅力は、ワークライフバランスが実現できる点にあると思います。基本的には、個人での研究になるため、誰かにせかされることなく、自分のペースで研究ができます。そのため、効率よく研究を進めることができる人ならば、自分の時間も十分に取ることができると思います。研究以外の時間を、趣味に没頭するも良し、専攻以外の勉学に使うもよし、英語学習をするも良し、アルバイトをするも良し、就活をするも良しです。いろんな分野で、自分を高められる研究室だと思います。もちろん、すべての時間を研究に捧げても良しです笑。

3.金川研究室をおすすめする学生
前項で、自分の時間が十分に取ることができると説明しましたが、これは計画的に研究を行うことが前提での話です。そのため、金川研究室に向いている学生は、自分一人でも、やるべきことはしっかりやることのできる学生であると思います。誰かに見られていないと怠けてしまう学生には、残念ながら、この研究室は向かないと思います。つまり、オンとオフの切り替えがしっかりできる学生が、この研究室に向いているということです。

4.学会関連

私が2年間で参加した学会は、国内5件(京都・津田沼・札幌・博多・日立)、海外1件(サンフランシスコ)の計6件です。基本的には、先生から行く学会を提案していただくという形で、参加学会を決めてきました。初回の学会参加では、スライドの作成や話し方など、先生から膨大なアドバイスを頂き、準備に1か月程度の時間を使いましたが、数をこなしていけば、スライドもかなり練られたものになるため、今では発表準備に割く時間は非常に少なくなりました。個人的には、学会発表の魅力は、公の場で発表の経験を積めることだと思っています。学内の緩い雰囲気ではなく、外部のピリッとした雰囲気の中での発表の経験は、確実に社会に出たのちに役立つ経験であると思っています。また、学会は観光地で開かれることも多いため、発表日以外は、観光をしたり、ご当地料理を食べたりと、旅行としての楽しみもあるのも魅力の一つです。

5. 論文

私は2年間の間に、国際学会に参加する際の査読付き英文プロシーディングと、専門学術雑誌への和文査読付き論文の、2編の論文を投稿しました。他のメンバーも少なくとも2件論文を書いているため、大学院まで進んだ場合、国際学会の英文プロシーディングと、査読付専門誌への論文投稿は、ほぼ必須になると思うので、覚悟しておいてください。ですが、論文作成も学会発表と同じで、1回目は作成に非常に時間がかかりますが、その後は、コツをつかめて、比較的に簡単に書き上げることができるかなと思います。

6.最後に
大学院まで進学した場合、研究室は、大学で過ごす時間の半分に当たる3年間を過ごす場所です。研究分野や先輩や友達から聞いたイメージにとらわれることなく、なるべく多くの研究室を訪問し、自分の目で自分に合っている研究室を見つけることを、強く勧めます 。(M1)

学生視点の金川研紹介’19(2/10)

早期卒業研究の履修学生に紹介を書いてもらいました(金川)。


研究内容や指導方針については、先輩方が既に書かれていますので(2018年度のリンク1, 2018年度のリンク2)、私は「研究室配属体験記」と題して

1. なぜ金川研の配属を希望したか
2. 実際それが満たされたか

の2点について、ご説明することにします。見てくださった方の研究室配属の参考になれば幸いです。

(研究室の学生の雰囲気などは、飲み会の日誌を見ればだいたい分かると思います。とは言っても学生が集まるのは飲み会の時くらいですが…)


1.なぜ金川研を希望したか?
金川研の配属を希望した理由は、大まかに次の2つです。

(i) 「効率よく研究を進めたかったから」
(ii) 「分かりやすいスライド発表の仕方や文章の書き方を身につけたかったから」

(研究テーマについてはあまり気にしていませんでした。)

(i) 私は早期卒業対象生で、今年度ある程度忙しくなる見込みがあっため、理論研究ならば、自分のペースで研究を進めることができるため、合間時間などを見つけて効率良く進めることができるだろうという思惑がありました。

(実験や数値計算だと実験装置準備やコードのコンパイルエラーなど、まとまった時間が必要であったり場合によっては大きく手間取ってしまったりするイメージがありました。)

加えて、過去の金川研の日誌に「雑務やゼミがない」と書かれており、予定がバッティングしないで済みそうというのも後押しになりました。

(ii) 将来携わりたい具体的な分野がなかったということもあり、個人的に研究テーマで研究室を選ぶ必要性をあまり感じなかったため、”何を研究するか”よりも、”研究を通してどんな技術を会得できるか”を重要視したいという考えがありました。

そんな時に、以前、金川先生が「(研究室学生の)文章を書く能力やスライド発表の技術を鍛え抜いていて自信もある」というような発言をしていたのを思い出しました。

分かりやすい文章の書き方や伝わりやすいプレゼンの仕方などは、将来必ず役に立つ技術であるため、本当なら是非身に付けたいと思いました。

そこで、金川研学生の卒研発表の様子などを見学し、「確かに分かりやすい」と感じたため、金川研に入ることを決めました。

(この時に発表していた先輩方は、8月に見学した機械学会で、全員が、優秀講演賞を受賞していました。)


2. 実際それが満たされたか
早期卒業で忙しいということで、金川先生にご理解を示していただき、私の授業の予定に合わせて研究の負荷を調節していただきかなり効率良く進めることができています。

基本的にゼミなどはなく、個別面談の打ち合わせを週1でやるのみで融通がきくため(時間の変更や進捗がない場合などは中止も可能)、予定がバッティングしたのは結局1度もありませんでした。

定期的に飲み会が開催されますが、自由参加なので自分の予定に合わせて参加できました。(参加メンバーは変わりますが、毎回6~7割くらいの参加率で、飲み会の場で一度も会っていない先輩がいるくらいにゆるいです。)

ちなみに今年度は夏休みの終わり頃にゼミが1回のみ開催されました。(昨年度以前は0らしいです)

研究室内の学生の研究内容を知るための報告会で、実際に、先日京都大学で行われた発表会の質疑応答の際に、先輩の研究内容を把握していたことが役立ちました。

このように明確な目的がある場合、今後もゼミなどが不定期で開催されることがあるかもしれませんが、目的のない定期的な集まり等は今後もないかと思います

スライド発表と文章の書き方については、研究室配属前と比べたら、多少は上手になった自信があります。

というのも、研究室配属される前ですが
「ぶっちゃけ自分そんな文章書くの下手じゃないだろ」みたいな意識が正直ありました。
(これを読んでいる人の中にもそんな意識がある人がいるのではないでしょうか。)

そのような意識はこの7ヶ月で壊されました

まず、卒業研究Aで「自身の研究内容を1000字程度で説明する」という課題が課されましたが、私が書いた文章を金川先生に添削していただいたところ、140箇所の訂正と元の文章の原型もなくなった修正案が返ってきました。

また、先述の京都大学でのスライド発表では、割と自信満々(ではないが7割くらい自信があった)スライドのたたき台を出したのですが、先生の指摘に基づいて修正していき、スライドの最終決定稿では原型がなくなりました。(最初のたたき台と最終稿とを見比べると分かりやすさが段違いです。)

ということで、私は研究室配属前、”如何に文章が書けないか”と”如何にプレゼンができないか”を自覚すらできていないステージにいたということに気づかされました(当時結構凹みました)。その時に比べたら、多少上達したのではないかと思います。

やはり、文章を書く力やプレゼンの能力を身に着けるには、「コツがあって〜」というよりかは、自分で作ってみたものを、『第三者に理由付きで』否定してもらい、それを元に作り直して〜という作業を地道に繰り返すしかないと深く感じました。

「なぜその文を入れたのか?」

「今回主張を述べるために本当に必要な文か?」

「文と文のつながりに飛躍はないか?」

など丁寧に指摘してもらい、文章がより良くなるように自身で考える、これを繰り返すことで文章を書く力が身につくのだと思います。

このような地道な作業に付き合っていただける指導教官がついてくれるチャンスは、研究室配属以外では、もしかしたら無かったかもしれない(職場の上司もそこまでの面倒は見てくれないはず)ということを考えると、金川研を選んでよかったと考えています。

まとめると

「効率よく研究を進めたかったから」

「分かりやすいスライド発表の仕方や文章の書き方を身につけたかったから」

の両方について、満足しています。

以上(某卒研生)

応用力学シンポジウムにて学生講演表彰

圷亮輔(M2)が、 第65回理論応用力学講演会・応用力学シンポジウム(北海道大学、2019年6月28日から30日)における講演「気泡流中における超高速圧力波の弱非線形伝播の理論予測」に対して、講演賞を受賞しました。

本表彰は、優れた講演を行った36歳未満の講演者を対象に選出されたものであり、 表彰対象講演数102件のうち、計13件の受賞者に選ばれました。 [筑波大学HP]


この度は、優秀講演賞を受賞でき、大変光栄に思います。修了予定まで残りわずかですが、改めて気を引き締め、受賞に恥じぬよう研究に励んでいきます(圷 亮輔)。

カシオ科学振興財団の助成金に採択

金川が、公益財団法人カシオ科学振興財団第37回研究助成に採択されました。

学会参加記(8/4-7@福岡)

8/5-7に福岡にて行われた混相流シンポジウムに参加した.実験系や数値解析系の発表がほとんどで,理論系はおそらく金川研しかいなかったように思う.そのため少しアウェー感があり,最初は緊張していたが,興味を持って聞いてくれる人が多く,楽しく会話ができた.また,普段の研究ではほとんど交流がない実験や数値解析をしている方の視点から意見をもらうことができる貴重な時間であった.同期の一人がポスターセッションで受賞しており,自分も追いつけるよう頑張ろうと思う.

ホテルは高めのビジネスホテルといった感じで,朝食で博多名物のごまさばや明太子入り卵焼きを食べることができた.ポスター発表後は,高級な水炊きの店に打ち上げに行ったが,先生を含め全員が遅刻してきた(現地集合・現地解散のため,解散時,私達4名はタクシーに乗り,先生は1人で地下鉄で帰り,同期2名は約5kmの距離を謎に歩いて帰るなど,バラバラだった).水炊きは非常に美味しく,酒を飲みながらいろいろな話で盛り上がった.

学会は初日にポスターセッション,2-3日目に口頭発表だった.私はポスターセッションのみの参加であったので,近くのショッピングモールにあるカービィカフェに行った.店内は至るところに星のカービィのキャラクターがおり,カービィ好きの自分としては大満足だった.

今回も飛行機手配,ホテル予約,打ち上げ予約は先生にまとめてやっていただいた.色々やってもらって申し訳なくなるが,この点も金川研のいい点だと思う.[文責:M1]


日本機械学会茨城講演会にて優秀講演賞を受賞

亀井陸史、藤本あや、前田泰希(いずれも金川研M1)が、日本機械学会2019年茨城講演会(於:茨城大学日立キャンパス)にて、優秀講演賞を受賞しました(2019年8月22日)。 本賞は、当該講演会において優秀な発表を行った日本機械学会あるいは共催学会に所属する30歳未満の発表者に与えられたものです。8/23更新


8月22日に茨城大学日立キャンパスで行われた、日本機械学会茨城講演会にて、口頭発表を行った。

茨城講演会は、私たち金川研の専門とする流体や波動以外にも、材料や制御など機械工学に関わるいろいろな発表が行われることもあり、気泡や非線形波動を専門としない方々が多く聴講されることが予想されたため、私は専門外の方にもわかりやすい発表を心掛けた。

実際、私の発表の前の二人は自動車制御とロボット制御に関する発表であり、やや場違い感を感じたものの、まずは、現象や対象を理解してもらうことに重きを置き内容を構成したので、専門外の方も少なからず理解できる発表ができたと思う。

その甲斐あってか、私は優秀講演賞を受賞することができ、発表に一定の評価を得られたことを嬉しく思う。

今後も、今回の受賞を励みに研究に邁進し、さらなる成果を発表できるよう頑張りたい(文責: M1)。

国際学会(サンフランシスコ)参加記

サンフランシスコにて行われた日米韓合同機械系流体工学会議(ASME-JSME-KSME Joint Fluids Engineering Conference、2019年7月28日から8月2日)にて,金川研から,M2が2名,M1が2名口頭発表を行った.また,金川先生が1セッション座長を務められた.

成田とサンフランシスコの往復は台湾経由のフライトだった.筆者は国際線には相当数乗っているが,EVA航空は機内食はかなり美味しい部類であった.しかし,視聴できる映画の種類が少なかったのは残念だった.

サンフランシスコには日曜日夕方に到着し,市内までは地下鉄で移動,ホテルは最寄駅から徒歩10分以内とアクセスは非常に良かった.今回は学年ごとの2人部屋となったが,ヒルトンを安く予約できたとのことで,部屋のクオリティは非常に高かった.ホテル内にはレストランや売店があり,利用しなかったが無料のトレーニングジムやプールもあった.

筆者とM1の1名が月曜日午前,M1のもう1名が月曜日午後,M2のもう1名が火曜日午前に口頭発表を行った.M2の2名は2回目の国際学会ということもあり,前回(ISNA、非線形音響学国際シンポジウム@サンタ・フェ@米国、2018年7月)よりも落ち着いて発表出来た.また,前回よりも日本人の割合が多いためか,拙い英語にも丁寧に対応してくれる方が多く,発表しやすい印象を受けた.質疑においても,筆者は前回うまく答えられず苦い思いをしたが,今回は自分の考えをしっかり述べ,国外の研究者と議論を交わすことが出来たと感じており,研究内容の発展という意味でも自身の語学力向上という意味でも,大きな糧になったと感じている.一方,初の国際学会を経験したM1の2名は,発表はまずまずの出来だったが,質疑は大変苦労していたようだった.質問内容としては想定の範囲内のものだったと思うので,発表だけでなく想定される質疑の回答もしっかり準備し,次の国際学会の成功に活かしてもらいたいと筆者は願っている.

各々の口頭発表のセッション以外は完全に自由行動であった.筆者は月曜日は1日学会会場で過ごし,火曜日は単独でサンフランシスコ市内を散策,写真を撮ったりお土産を買ったりして過ごした.米国に住んでいた経験のある筆者にとっては,現地人との交流やスーパーマーケットの散策は非常に懐かしさを感じるものだった.他の学生も各々サンフランシスコの街を楽しんだようだった.夕食は学生4名で(金川先生は腹痛のため辞退)ステーキを食べに行った.ボリュームはさすが米国といった感じで,味は非常に美味しく筆者はペロリと完食した.他の3名はそのボリュームに白旗を上げたが,米国のレストランは食べ残しを持ち帰ることができるTo-go Boxがほぼ必ず用意されているので,持ち帰って翌日の朝食にしたようだ.帰りのフライトが木曜日の深夜1:20だったため,水曜日はホテルをチェックアウト後,学生4名でFisherman’s Wharfという観光スポットへ.名物のClam chowder in breadを昼食に食べ,その後Pier 39というディズニーシーのような雰囲気のショッピングモールを散策して買い物を楽しんだ.学生で集まって遊びに出掛けることは今までなかったので,非常に新鮮であり,純粋な海外旅行として4名全員サンフランシスコを楽しんだ.

深夜発のフライトということもあり夜は時間を持て余したが,学生4名がかなり早めに空港に着いた中,ホテルを遅めに出た金川先生が地下鉄を乗り間違えるハプニングが発生.金川先生の焦りがLINEを通して伝わってくる中,搭乗口の目の前のソファーでくつろぐ学生4名.圧倒的な温度差に笑いつつも先生をフォローし,無事5名で帰国の途に着いた.(文責:ヨシタカ(M2))

混相流シンポジウムにて学生講演表彰

亀井陸史(金川研M1)が、混相流シンポジウム2019(2019年8月5日から7日、福岡大学、日本混相流学会)にて、ベストプレゼンテーション賞を受賞しました(2019年8月6日付)。講演題目は「気泡流のバルク粘性と熱が非線形圧力伝播に及ぼす影響の理論解析」です(金川)。[筑波大学HP]


このたびは,混相流シンポジウム2019においてベストプレゼンテーションアワードを受賞でき,大変光栄に思います.本研究を行うにあたり,日頃より熱心なご指導,ご助言をくださった金川哲也先生,普段から温かく接してくださった金川研究室の先輩や同期の方々に心より感謝申し上げます.このたびの受賞を機に,今後も研究に励んで参りたいと思います(文責:亀井陸史).

新メンバー

工学システム学類3年生が、金川研究室に配属されました(2019年5月23日)。早期卒業研究を履修中にあり、早期卒業を目指しています。

日本機械学会奨励賞を受賞

金川が日本機械学会奨励賞(研究)を受賞しました。


金川哲也, 2018年度日本機械学会奨励賞(研究), 業績「気泡流中における非線形波動理論の新展開の研究」, 2019年4月18日.

当該業績の原著論文の共著者として、学生時代よりご指導いただきました先生方と、当該研究に打ち込んでくれた金川研の2017・2018年度所属学生の全員に、深く感謝を申し上げます。

[筑波大学HP]

学生からの金川研紹介(2/2)

4年生学生に研究室紹介を書いてもらいました。


  1. はじめに
    この説明会資料は,先生から依頼されたものの,自分の裁量でこの長さを書いています.
    この説明資料を見てうわ,来年自分もこの量を書かないといけないんだ」のような誤解をしないでください.研究の休憩のつもりで書いていたら,この長さになっただけです.長い資料ですが,見たいところを掻い摘んで読んでもらえればと思います.
    この資料が皆さんの研究室選択に役立てば良いなと思っています.
  2. 志望動機
    もともと,大学では大学でしかできない研究(= 基礎研究)をしたいと考えていました.その中でも金川研を選んだのは,金川先生の授業内外での印象(授業のわかりやすさ,質の高さや,小テストの採点の速さ,きめ細やかさ,随時相談に応じてくれるなど) から極めて教育熱心な先生だと感じ,この先生から研究指導を受けたいと思ったからです.実際に配属されてみると,期待以上のきめの細やかな指導体制で,非常に満足しています.
  3. 居室
    現在の居室は第三エリアの某部屋で,来年度は(順調に卒業/進級できれば)M2が2名,M1が3名,B4が? 名となる予定.
    配属されるとパソコン(デスクトップ)1 台と机・椅子・キャビネット一式が支給(全て新品)されます.さらに大きなソファ(主に睡眠用) が1つと大机(使ったのは去年の居室での飲み会の時のみ) が1つ.睡眠用のソファは,主に自分が1限の授業日に大学に早く来すぎたときに仮眠用に使っているだけで,誰かが徹夜するために使っている訳ではないです.
    来年度は明らかに現居室のキャパがオーバーするので,居室自体が変わるか,現居室のほかにもう一つ居室が増える可能性があるらしいです(詳しくは先生に聞いてください).
  4. 打合せ
    金川研では,研究室全体で集まって研究進捗等を発表する所謂「ゼミ」はなく,代わりに「打合せ」という名目で週1回に先生と一対一で進捗を報告します.先生からマンツーマンで緻密な指導を受けることができます.
    打合せの時間は時期によってまちまちです.研究に詰まったりした内容を相談する時や,予稿の添削などの打合せでは1時間半くらいかかるときもありましたが,計算(作業)だけをしただけの週は30分くらいで終わったりもします.ただし,「5時間,6時間も延々とやる」みたいな非効率なことはないです.
    また週1で打合せと書きましたが,アポイントメントを取れば週に複数回指導してもらったり,逆に進捗がない時も先生に連絡すれば,打合せがなくなるときもあります.例えば,10月の京大での発表前後では,発表前に週2で発表の練習を見てもらいましたし,8月に研究に詰まりに詰まって進捗がなかったときは「もう少し自分で考えたい」と連絡して,打合せをなくしてもらいました.基本的に週1ですが,個人の事情に合わせて流動的に日程を調整してもらえる点も,よくよく考えると,この研究室のおいしい部分だなと思います.
  5. LATEX
    金川研では,進捗報告用の文書作成などの際にLATEXを使用します.規制の緩い金川研ですが,LATEXの使用だけは徹底しています.
    ちなみに現M1とB4は情報実習での課題を除き,全員配属されてから初めてLATEX を使い始めたので,使い慣れてないからと言って,あまり心配する必要はありません.使い始めてから1ヵ月くらいで慣れます.ちなみにLATEXは半日もあれば,簡単にインストールできますし,パソコンを持っていない人でも配属されれば,パソコンが支給されるので,不安になる必要はありません.
  6. 学会
    この研究室は学会への派遣機会が多い方だと思います.派遣の基準は基本的に先生からの打診か,自ら意欲を示して派遣してもらえる場合のいずれかだと思います.例年B4生は(結果が出れば)10月に京都の研究集会に派遣されています.
    ちなみに,自分は10月の京都での発表には,先生からの打診で派遣され,12月の東京での発表(数値流体力学シンポジウム)には,自分から志願して派遣してもらっています.
    国内学会は先生から打診されて行くものと, 任意で行くものがありますが,海外への派遣については今年のM1の方を見ていると半強制で派遣される様子です.ただ,先生が治安の悪い場所を好まないのか,治安の悪い国での学会は見送っているようです(実際にリオデジャネイロの学会を見送っていました).
    学会派遣において,交通費や参加費が必要となりますが,研究室の研究費から満額支給されます.ただし,国内学会では一時的に立て替えておく必要があります.M1の方に聞いたところ,海外学会では先生がすべて立て替えてくれているとのことです.
    学会の派遣にあたって,予稿(小規模の論文) を書いたり,発表の練習をしますが,こちらについても先生から複数回にわたってマンツーマンで指導していただいています.自分は東京での発表用の予稿作成時にかなり添削してもらいましたし,今現在も,この紹介記事を書く傍らで,来年のサンフランシスコの英文を添削して頂いています.
    B4生には今年から学会見学というものがあります.自分も京都で発表する前に,仙台へ学会見学へ行きましたが,事前に学会なるものについて雰囲気と流れを掴めておけたおかげで,京都で発表する時も,(主観的に) 万全の状態で臨めました.新B4が学会見学をするのか否か,するならどこに見学しに行くのかは先生に聞いてみてください.
  7. 教員
    研究指導では授業と同じと考えてもらって構わないと思います.基本的に厳密性重視ですが,道具として使うものは,適用できるかどうかを確認したらそのまま使うというスタンスを取っているように思えます.
    作文指導やプレゼン指導も受けたことがありますが,とても厳格だと思います.作文指導であれば,日本語の正しい使い方から,論理の展開の仕方まで細かく指導してもらえますし,プレゼン指導であれば,スライドの構成やプレゼン時の話し方,視線など手取り足取り指導していただけます.
    ただし,声を荒げて学生を萎縮させたり,精神論を語ったり,「こんなのもできないのか」と匙を投げるような無茶苦茶な指導ではなく,「この式は~~を満たしているのか?」「ここの文は~~という理由で不適切」「~~と話してしまうと聞き手が~~と誤解するから良くない」など冷静沈着かつ論理的な指導のスタンスです.
    先生は,指摘するときはバッサリ指摘します.この指導スタイルに対して「心にグサグサくる」と感じる人もいるかもしれませんが,中途半端な優しさでオブラートに包まれたぬるい指摘を練習で受けて,発表本番や論文投稿の段階で赤っ恥を晒すより,余程自分の力を高めてくれていると個人的に思っています.
    研究指導,作文指導,発表指導の全体を通して,先生→学生の一方通行型指導ではなく,自分が意見をした場合に,一旦聞いてから,意見を採用/不適切な箇所を指摘するという指導をしてくださるように感じるので,研究へのモチベーションがあがります.また,メールでも研究の相談に対応してくれます.アポイントメントさえ取れば,いつでも相談や面談に応じてくれます.
  8. 行事
    設立2年目の研究室なので,行事といった行事はありません.学会派遣でも,現地集合・現地解散をするため単独行動が多く,研究室のイベント感はありません(海外だと話は変わると思います).ただし,学会派遣時には発表後に打ち上げとして食事に連れて行ってくれるので,これはある意味,行事と言えると思います.あとは年に数回,金川先生が企画する飲み会(卒研発表兼新歓,院試後,忘年会+アルファ) がメインイベントといったところでしょうか.
    研究テーマの個人色の強さゆえに,居室に全員揃うことが殆どないドラゴンボールのような研究室なので,「イベントを立てても人が集まらないか」という潜在意識が研究室の学生各員にあるのかもしれません.来年度は人数も増えるようなので,「我こそは!」という新B4生がいたら期待しています.自分は予定が空いている限り参加しようかなと思いますので(たぶん先生は大歓迎だと思います).
    ちなみに飲み会は,先生が冗談抜きで支払いの殆どを払ってくれています,申し訳なくなるくらいです.しかし来年度は人数が増えるので,今年度と同じくらい負担してもらえるかどうかは不明です
  9. 先輩・後輩の関係
    後輩の立場で先輩について書くのは恐縮ですが,先輩・後輩間の雰囲気も研究室選択の重要な判断材料になると思うので書こうかなと思います.端的に言うと親しき仲にも礼儀ありという感じです.中学校の野球部のような旧時代的な上下関係はありません.1つ上の先輩として,普通に接してくれています.院の授業の過去問を融通してもらったり,奨学金関係で色々質問させてもらったり,学会発表の練習を見てもらったりなどお世話になっていっぱなしです.
    癇癪持ちだったり,気取った人はいないですし,相談をすれば相談に乗ってくれるような温厚篤実な人しかいないと思います(主観ですが).そもそも研究室の先輩のことを,後輩がこの紹介記事で言及している時点で,この研究室に劣悪な人間関係はないと思ってもらって構わないと思います(これも主観ですが).自分も来年度はB4が配属されるということなので,分からないところがあれば聞いてもらえればと思います.
  10. 金川研の良いところ

● 雑用がない
他の研究室の事情を知らないので,主観的な考えですが,雑用は極めて少ないと思います.この1年間の雑用で思い出せるのは,

(1) 研究室説明会で質疑応答
(2) まさに今書いている研究室紹介記事の作成
(3) 月1の食事会などの感想を書くこと(HP 掲載用)

くらいでしょうか.自分で学会先のホテルを取ったり,飛行機を取ったりはありません(新幹線は自分で取りましたが).全部先生がやってくれます先生曰く「学生は研究と勉強だけやってもらえば良い」とのことです.5月に「院の専攻説明会で説明員をやってくれ」と言われたこともありましたが,その時は給料が支払われるように先生が書類等を手配してくれました.また飲み会の手配もすべて先生がやってくれます.

● 研究資金は潤沢

金川研には,研究資金はとても潤沢にある模様です(これは先生が科研費などをたくさん獲得している?からのようです).
ですから学会参加費や,学会会場までの交通費の自己負担などは2018年度は全くありませんでした(立て替えならありましたが,立て替えた分は当然全て戻ってきます).M1の方に聞く感じだと,海外出張時は先生が全額(1人 23 万円くらい) 立て替えをしてくれています.2019年度も予算があるかどうかは先生に聞いてください(おそらくあるはず).

● 書籍や文房具などは全て研究費から買ってもらえる
研究資金が豊富らしいので,筆記用具や,参考書も全部研究費から買ってもらえます.ヨドバシカメラの通販サイトから欲しい商品のURL を先生に送るだけで,文房具系は翌日か翌々日には研究室に届いています.筆記用具類は消耗品なので,個人が自由に使えますが,書籍は消耗品ではないので,個人が持ち出すことはできず,研究室で参考にしながら読む感じです.

● わざわざ大学に来る必要がない
理論研究なので,大抵のことは家でできます.自分は自宅通学なので,大学と家を往復する手間が省けて楽です.

● 自分のペースで研究を進められる
金川研にはコアタイムはありませんし,「研究室の人が全員来ているから自分も行かなくちゃ」といった,所謂事実上のコアタイムも存在しません.研究するときは研究をして,バイトのときはバイトをする,そんな感じです.研究室のコアタイムが原因でバイトをやめる人が僕の学外の友達にいましたが,そういったことは金川研では100%ないと思います.

11. よくないところ

● 研究は自分が進めないと進まない(個人プレー?)
他の研究室で言う「実験装置を動かす」or「プログラムを回す」動作が,この研究室で言う「手を動かして計算をする」に当たると思います.実験装置やプログラムは機械が勝手にやってくれて,何かしらの結果を出してくれます.しかし,この研究室では共同研究者もおらず,手を動かせるのは自分しかいないため,手を動かすことに億劫になっているといつまでも研究は進みません

しかし,研究に取り組んだうえで研究が進まなくなる時があります.自分も,こういうときは,金川先生や居室にいる先輩に相談して助けてもらうことがあります.要するに,研究をやってなくて進んでない場合は,先生も先輩も,助け舟の出しようがありませんが,研究をやっているのに進んでいない場合は,先生や先輩から,必ず何かしらの意見をもらえます.研究に取り組もうとしている人へのサポート体制は金川先生を中心に重厚なので安心してもらって構わないと思います.

● 数学が嫌い(≠苦手) だと厳しい
先生からも口酸っぱく説明を受けると思いますが,数学を常用します.数学嫌いの人は1年,あるいはそれ以上数学と常に対峙することになるので,厳しい研究ライフになるのではないかと思います.

● 分かってもらえない人には分かってもらえない
工学=応用研究がメイン(?)という世間的なイメージ(?)上,学外の友達に何を研究しているかを聞かれて,簡単に答えても「エ,キソケンキュウシテルノ?(工学部なのに) モッタイナイ」みたいな反応をされることが,多少ありました.やりたいことやっているのに,そういう反応をされて素朴に傷つくことがたまにあると思います.やったこともないのにイメージで物事を判断するのは良くないことです

● やっていることは一見地味

やっていることは,紙と筆記用具で,基礎方程式(保存則や状態方程式) を一つの式にまとめ上げているだけです.実験特有の派手さや,シミュレーション特有の煌びやかさはないと思います.派手な研究がしたい,民間企業でやっているようなすごそうな研究がしたいという人は,この研究室に配属されてしまうと不幸になるので,研究室選びは気をつけた方が良いと思います.
前クラの人は覚えていると思いますが「動物〇〇〇〇知能が云々」という話と同じで,金川研は目先の社会に即還元されるような流行りの研究ではなく,10年後,20年後になって初めて,社会に組み込まれるような研究をしていると感じます.その土台となる研究をしているため,一見地味な研究に見えるのだろうなと思います.

12.おわりに

最後まで読んでくださり,ありがとうございます.「金川研は高GPA争いになる」みたいな風潮があるかもしれませんが,GPAが関係あるのは競合が生じた時だけです.ですから,勝てる見込みがないと思い込んでいる人も,端から諦めるのは良くないと思います(フェーズ2らへんで競合が生じてから諦めた方が良い).
とは言えども,殴り合いになったときにGPAが高いに越したことはないので,とりあえず秋Bの期末テストを頑張ってください.来年度,金川研で会いましょう.

13.追記
この度,弊研究室の公式Twitter(@kngw_lab_ut) が開設されたので,興味のある方はフォローお待ちしています(運営は金川先生ですが). [文責:4年生B]

学生視点での金川研紹介(1/2)

金川研には4年生が2名所属しています。「学生目線から」研究室の紹介文を書いてもらいました。昨年度は、一部補足を入れましたが、本年度は、原文のまま掲載します。もう1件を後日掲載します。


【金川研を選んだ経緯】

私は、流体分野に興味があったことから、その分野に関係する研究室がいいなとは思っていたものの、流体の中で特にこれというものがあったわけではないので、最終的に金川研に決めた理由は、金川先生の学生指導に対する姿勢です。多くの工シス生は熱力学などの授業で金川先生の授業を受けたことがあるかと思いますが、そこで受けた印象通りの熱意で日々ご指導いただいています。

【研究テーマ】

金川研では多くの気泡を含んだ水の中を流れる音波に関する研究を行っています。4年生のうちは手計算での理論解析がメインになると思います。簡単に言うと、流体の質量保存式や運動量保存式をいろいろな計算手法を用いて、1つの方程式にまとめていくというものです。実験は全く行っていないですが、研究が進めば数値計算はやることになると思います。

卒研のテーマは5月初旬に、先生から複数案を提示され、5月下旬に決定しました。

【研究室生活】

金川研には週一個別打合せ以外のコアタイムは存在せず、理論研究という特徴から、大学でなく自宅でも研究ができること、先輩方や同期とチームでの研究ではなく個人での研究であることから、研究スタイルが比較的自由な研究室だと思います。私は、授業や打合せのある日以外では大学に行くことはなく、自宅で研究しています。他の金川研のメンバーも1日の大半を研究室で過ごしているという印象はありません。卒研を始めると、夜まで大学にいて、自分の時間が無くなるという噂をよく耳にしていましたが、この研究室では、自分の時間の使い方次第で、アルバイトやサークル、趣味などにも自由に時間を使うことができると思います。(もちろん、研究をしっかり進めることが前提での話です笑)

【打合せ(ゼミ)】

研究室配属直後は、同期と一緒に基礎的な勉強を週1の打合せで行いました。英語の文章を隔週でそれぞれが訳していくといった内容で、約2時間ほどだったと思います。この基礎的な勉強が約2か月半くらい続いた後、その後は先生との1対1での、研究の進捗状況の打ち合わせを1週間に1回行うのみで、研究室全体でのゼミはありません。

【行事】

2年前に新設された研究室ということもあり、合宿や旅行に行くなどの大型な行事はまだなく、3か月から半年に1度の先生企画での飲み会と、月1での学内での食事会があるのみです。先生は新たな企画歓迎といった感じですが、今いるメンバーはだれも仕切りたがりではないように思うので、新たな企画が生まれないまま今に至っています。 (文責:4年生A)

研究室紹介記事(『混相流』誌)

日本混相流学会誌に、金川研究室の紹介記事が掲載されました。一部、自虐を交えた紹介文となってしまいました。以下より、PDFファイルをご覧いただけます(2024年2月10日掲載)。

筑波大学 金川研究室(理論混相流体力学研究室), 混相流, Vol. 37 (2023.12), pp. 421-425

無題

金川が、筑波大学公認お笑いサークル「お笑い集団 DONPAPA」の顧問に就任しました。

[工シス3年生] 研究室配属希望者へ

金川研を配属先の一候補に考える場合は、個別に連絡ください。普段より、1対1での指導を重視していますので、配属希望者の全員に対して、1対1で説明する個別面談を調整します。面談は配属のために必須としています。希望する場合、teamsチャットかメールで一報下さい(予定調整のためだけに、長文でかしこまったメールを書く必要はなく、当研究室では、1行で構いません。時間を有効に使ってください)。

・ 一方、一定人数を対象にする説明会も、1月(下旬?)と2月に予定していますが、面談済みであれば、参加しなくても構いません。当研究室では、1対1の面談>>>>>説明会です。

・ 当HPに、追って、金川研学生視点からの研究室紹介を、あと数件掲載予定です。

・ manabaの卒研配属コースも参照ください。(2024年1月10日更新)

研究室説明会

【工シス3年生向け】manaba卒研配属コースでアナウンスのとおり、金川研の配属説明会を行います。関心ある人は気軽にご参加下さい。冷やかしも可です。

1回目:12/18月曜16:45から(30-45分程度) 3F400会議室

2回目・3回目:1月と2月に予定。オンラインと対面両方予定

忘年会

コロナ禍を経て、4年ぶりに忘年会を行いました。学生に参加記を書いてもらいました(金川)。


夜に研究室の人達で忘年会ということで大学近くの居酒屋に飲み会に行きました。自分は春に開催された歓迎会の飲み会には参加できなかったので今回が初めての研究室での(というか、アルコール類はダメなので人生初の)飲み会でした。飲み会参加経験の乏しい自分は、飲み会というのは一番後輩(つまり今回の場合自分達)が上司や先輩にお酒を注いで周ったり、無茶ぶりで余興をしなければならないようなものだと思っていましたが、実際には友達や家族と外食するのと何ら変わらない雰囲気のものでした。全体的に真面目な性格の人が多い研究室ではあるけれど、忘年会のときも研究の話題をしているというわけではなく、サークル活動の話や授業で関わった先生の話、生活費の話など興味のあることや面白かった内容などを各々が好きな時に好きなように話していました。特に印象に残っているのは、コロナ禍前の大学生活の話です。そこには自分も含めて4人コロナ禍の大学生活しか知らない人間がいたので皆今との違いにとても驚いていました(B4)。

講演会参加記

計算工学夏季学生講演会に参加した学生に参加記を書いてもらいました(金川)。

・はじめに
夏季休業中に日本計算工学会が主催する夏季学生講演会(@筑波ふれあいの里)に参加しました。金川研がこのイベントに参加するのは今回が初めてで、私も金川先生を通してこのイベントの存在を知ったという状態だったのですが、研究の交流の幅を広げたい、また博士課程進学やその先の進路に関する情報を得たいという思いがあり参加しました。講演会は一泊二日のキャンプ形式となっており、二日間で講演を聞いたり研究発表を行ったりしながら、参加者の方々と楽しく交流しました。

・講演
一日目の昼に、産官学の研究者の方々から博士号取得後の研究者としてのキャリアパスに関する講演をして頂きました。以前から博士号取得後は大学への就職を目指すというキャリアが一般によく知られていたと思いますが、大学以外にも国研や企業の研究職に就くという選択肢もあり、キャリアパスにも多様性と自由があることを知ることができました。実際、大学(高専)・国研・企業のいずれか2つ以上のキャリアを経験されている方も講演されていました。

・バーベキュー、懇親会
講演が終了した後のバーベキューや懇親会では、研究に関係すること・しないことについて、飲食しながら自由に話し合っていましたが、その中で私は博士課程の経済事情について相談させていただきました。私は博士課程進学に興味がありますが、進学する場合の不安要素として、生活費・学費などの経済的要素が一番大きいと考えています。そこで、研究者や博士課程在籍中の方々に、経済的な問題にはどうやって対処していたかを伺いました。結論から言えば、様々な助成制度(学振・JST、各大学の制度等)を駆使すれば殆どの問題は解決するとのことでした。しかし、私は助成制度についてほとんど知識がない状態だということを自覚したので、利用できそうな制度に目を向けてみることも必要だと思いました。博士課程には興味があるが経済的懸念がある学部(学類)生や修士課程の方はそういった制度について調べてみるのがよいかもしれません。
あとは、なぜ博士進学を志したか、そのきっかけは何だったのかを尋ねましたが、これは割と人それぞれの理由がありました。ただ、やはり最も多かった理由は研究を深掘りしたいというものでした。一方で、あまり深く考えず博士課程に進学しても人生なんとかなるし、何かしらには引っかかるだろうという楽観的な姿勢で構えても大丈夫だということを仰っていた人が何人かいました…。私としては、当然やらなければならないことはやる必要があるけれども、メンタルとしてはそのくらいの気持ちで余裕をもって臨むのがよいということだと受け取りました。他にも色々な話を伺いましたが、博士課程の方が普段どのような気持ちで研究と向き合っているのかを聞けたのは大変有意義でした。
また、バーベキューでは研究とは関係のない話も沢山しました。本筋とは関係がないので割愛しますが、一番盛り上がったのは(やはり)大学ネタでした。夢中で話をしていたらあっという間にバーベキューが終わってしまい、結局私は肉を一枚も食べていませんでしたが、それでも満足でした。

・ポスター発表
二日目に、朝食を取った後にポスター発表を行いました。とはいえ、普通にポスター発表をしただけですので、特に書くことがないです…。ただ、普段の学会と比較するとラフな感じで、議論メインというよりは交流と研究紹介の意味合いが強いセッションだったと感じました(普段の学会も研究紹介を兼ねているのはもちろんそうですが)。なお私と一部の学生はお互いの研究への興味が尽きず、発表時間以外にもポスター発表をしていました笑。
ポスター発表が終わった後は解散し、大学まで送迎して頂きましたが、送迎車の中では研究の話はあまりせず、家系ラーメンは好きか嫌いかのような他愛のない話をしていました…

・おわりに
楽しかったので真面目なこと以外も少し書いてしまいましたが、本講演会は今後のキャリアを考える上で貴重な話を、普段だと会う機会がほとんどない博士課程以上の方から多く聞ける機会であり、参加してよかったと強く思っています(M1 長谷川)。

日本流体力学会年会2023

日本流体力学会年会2023@東京農工大学(2023年9月20-22日)で、学生5名が、以下の口頭発表を行いました。また、B3の学生が学会を見学しました。


Nguyen (M1):Effect of variation of initial surface tension of shell coating microbubbles on weakly nonlinear ultrasound in bubbly liquids

中村(M1):気泡流中におけるボイド波と遮断周波数帯圧力波に関する線形理論

長谷川(M1):粘弾性気泡流中の超音波伝播に関する弱非線形特異摂動解析

邉見(M1):気泡流中の非線形圧力波に気泡間相互作用が及ぼす影響

渡部(B4):気泡流中における弱非線形波動に壁面潤滑力が及ぼす影響

IUTAM Symposium

IUTAM Symposium on Nonlinear dynamics for design of mechanical systems across different length/time scales (Core A) (つくば市, 2023.7.31-8.4) において、4件の発表を行いました。

普段参加している流体力学や超音波関連のコミュニティと異なり、非線形力学の横断的な観点からの情報交換と交流ができました。


  • Hasegawa & Kanagawa, Theory and computation of weakly nonlinear ultrasound propagation in a viscoelastic bubbly liquid
  • Nguyen & Kanagawa, Weakly nonlinear ultrasound propagation in liquids containing multiple ultrasound contrast agents with shell in buckled or ruptured states
  • Kawahata, Kanagawa & Chabouh, Effect of microbubble coated with anisotropic shell on ultrasound propagation in liquid containing multiple microbubbles
  • Kanagawa & Kagami, Theoretical and numerical analysis on nonlinear propagation of focused ultrasound in bubbly liquids toward cancer treatment by microbubble-enhanced HIFU

国際会議 AJK-FED2023

Nguyen Nam Quoc (M1) が大阪で開催された日米韓機械工学流体工学国際会議 (AJKFED 2023: The 4th ASME-JSME-KSME Joint Fluids Engineering Conference) において、口頭発表 ”Nonlinear Ultrasound Propagation for Different Initial Surface Tension of Shell in Liquids Containing Multiple Ultrasound Contrast Agents” を行いました(2023年7月11日)。

原著論文: Nguyen & Kanagawa, Nonlinear Dynamics (2023)

金川研日誌(5/25)

新B4に日誌を書いてもらいました(金川)。


今年から配属になったB4です。短いですが、この研究室に配属されるまでの経緯と配属後から今に至るまでの生活について書いていきたいと思います。

私が金川研究室に興味を持ったのは、金川先生の数学を用い、厳密性を重視して物理へと向き合っている授業を受講したときです。自分の性格的にこういった理論研究ができればいいなと思っていました。また、単に勉強のことだけでなく、論文の書き方や研究発表のプレゼンの仕方などまだ慣れていなく上手くできないであろうことに対するフォローも手厚いと聞いていたからです。しかし、最終的に金川研究室を選んだ理由は、ネガティブなものと俗っぽい理由が多いです。まず、私は不器用なので実験が必要になる研究室には行きたくないと思っていたこと(授業の実験でもうまくいったことが少なくてレポートが大変だった)。パソコンのタイピングは遅いし、プログラミングも好きじゃないのでやりたくなかったこと(ずっとパソコンに向き合っていると目が痛くなる)。また、コアタイムなどはなくオンラインでの面談が主になるからそのためだけに登校しなくてもよいこと(授業のない長期休みには県外の祖父母と過ごしていたかった)。学生室の環境が良さそうだったこと(最新のエアコンと大きな机がある)。先生が雑務を頼んできたりすることがないこと(この日誌も多分断ればそれで終わる)。勉強道具を研究費から買ってもらえること(出費が抑えられてラッキー)。先生とスイーツ食べに行けそうだったこと(甘党で何が悪い!?)。等が挙げられます。

4月に入ってからは、大体週1回のペースで先生と面談を行い、研究の基礎となる方程式についての勉強などを行っています。研究のテーマは希望すればそのテーマを与えてもらえ、質問すればその対応もしっかりとしてもらえます(自主的に動く姿勢は大事)。また、研究室にいる先輩方は皆さん優しいので質問するとどんなことでも丁寧に教えてくれます。また今月の中旬には学会見学ということで福岡で行われたターボ機械協会第88回総会に出席しました。同研究室の先輩や他大学、企業の方の研究発表は内容を全て理解できるわけではないものの興味深いものが多く、またプレゼンの仕方の勉強にもなりました。特にキーノート講演として行われた九州電力の方のお話は研究の実用化というところまでが想像でき、研究を楽しくするものになるなと感じました。金川研究室は学会に行くとその当日以外は拘束が全くないので自分の好きなことができます。私は同期の人達とともに有名なスイーツが売っているお店を計10店程訪れたり、福岡の名物であるとんこつラーメンを屋台に食べに行ったりしました。また、学生では訪れるには値段的に少し抵抗があるようなお店に先生に連れて行ってもらい名物をほとんど飲み物代だけで食べさせてもらえたりもしました。

最後に研究室配属になってからの私のとある一日の過ごし方を紹介します。

6時 起床、朝食と昼食用の弁当を作り、朝食を食べる。
7時 洗濯物を干すなどの家事を一通り済ませる。
8時 研究室へ向かう 到着 研究室に備わっている冷蔵庫の中に弁当を入れておく
8時40 1限があれば取り組み、無ければ課題や研究に取り組む
11時30 研究室に備わっているレンジを使い弁当を温めて食べる。
12時15 3限以降の授業、または課題、研究
19時 下校

というようなサイクルになっています。なんといっても研究室に冷蔵庫とレンジがあるのがいいですね。3年生のころまでは図書館で勉強をしていても食事の度に帰宅せねばならず面倒だったし、弁当を作っていってもどうしても冷めてしまうのでメニューも断念するものが多かったですが、冷蔵庫と電子レンジがあればどんなメニューも温かい状態で食べることができます。

というように快適に1日勉強に取り組める環境が金川研究室には整っていると感じています(B4)。

金川研日誌(5/8)

新B4に日誌を書いてもらいました(金川)。


B4で今年度から配属されました。自分が金川研を選んだ理由とこれまで(配属から2か月)で感じたことを書こうと思います。

まず、自分が金川研を選んだ理由は先生からのサポートが手厚いことと自由に研究できることです。私は研究内容にはさほど拘りはなく、面倒見がどれだけいいのかという点で研究室を選んでいました。私は分からないことがあるとすぐ人に相談したくなるタイプの人間なので、面倒見のいい先生のもとでたくさんアドバイスをもらいながら研究したいと考えていました。金川先生は授業を受けた際にとても生徒のことを考えてくれているなと感じ、また実際に配属された先輩たちの意見でも面倒見がいいと聞いていました。もう1つはコアタイムやゼミなどで拘束されることがないという風に聞いていたので、研究をしたいときにできるというのはマイペースな私にとってとてもいい研究室だなと感じました。以上の理由から金川研を志望しました。

実際に配属されて2か月ほどが経ちましたが、先生とはだいたい週に1回のペースで面談を行い、研究のための勉強会や進捗に対するアドバイス、不明点の相談などを1時間から1時間半ほどかけて話しています。面談は1対1か同期を交えた3人で行っていて、少人数のため質問しやすく、とても有意義な時間であると感じています。また自由な研究ができるというのも聞いていた話そのままで、拘束されることは一切なく、私は研究がしようと思った時だけ学生室に行って研究しています。

研究についてはテーマがなんとなく決まった程度でまだ勉強の段階ですが、ひたすらに手計算で式を変形していくもので、個人的にはとても興味深く面白いなと感じています(B4)。