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学生視点の金川研紹介(5)

4年間(内1年間休学)在学したM2の学生に紹介を書いてもらいました(金川)。


本研究室の特徴・売りなどは、他の研究室生の方々が綿密に書いてらっしゃるので、私個人が4年間金川研究室にいたことを振り返って、徒然なるままに書いてみます。以下、研究室選びに参考にならない情報が多いので、その場合、他の研究生が書いた情報を当てにしてください。

〇志望理由
厳密かつ分かりやすい授業を通じて、研究室に興味を抱いた。ゼミが無く、コアタイムが皆無。実験が肌に合わなかったので、理論研究がいいと思った。以上。

〇研究テーマ
自分から「これがやりたい!」「これをやらせて!」みたいなのがあれば、先生と相談の上で進められると思われる。が、おそらく、ほとんどの研究室生は、先生からの打診によってテーマが決まっただろう。少なくとも、自分の場合はそうであった。打診された内容に興味があり、できそうなら決定。そこまで興味がなく、遂行できなさそうであれば、他のテーマに……といったところか。研究室生によって決め方は異なってくるのかもしれない。ちなみに、フットワークの軽い理論研究だからこそかもしれないが、3年間で2つ以上のテーマを受け持つ人も一定数いる(ただし、同時に、2つ一遍に研究を進めることは、あまり無い)。
研究室全体の研究テーマに関して少し付言しておくと、理論研究;すなわち流体力学や音響学などにおいて、学術的な基礎理論を深化させることを中心に研究していること自体、国内・国外問わずあまりないと思われる(学会参加してみて、周囲の研究を見ていると、なんとなく分かる)。また、応用先が多様になりうることも無視できないだろう。応用先としては、医療工学(例えば、気泡・音波を用いたDDS,がん治療)や土木工学の分野だけでなく、最近では地震・火山活動の分野も射程圏内であり、さらなる研究発展の余地が見込まれる。

〇研究の進め方
基本的には、先生とのマンツーマンの上で、研究は遂行される。週1程度で研究の打ち合わせ(進捗報告)がある。コロナ前は対面であったが、収束?した今となっても、基本的にはTeamsを通じて行われる。おそらく、これからもTeamsを活用するスタンスで研究のやり取りは行われるだろう。このため基本的に、研究活動のほとんどは自宅で済ますことができる(研究も紙・ペン・パソコンがあれば研究できるので)。弊害があるとすれば、研究室に行く必要がないことかもしれない(宅通である自分は1年くらい研究室に行っていない……)。打ち合わせ日時は、基本的には融通が利く。研究で相談したいことがあったりすれば、自分から進んで打ち合わせを希望することも可能である。

〇研究室の最近の雰囲気
意外にも、理論研究をする人のイメージとは裏腹に、元気な人が多い印象を受ける(必ずしも体育会系を意味しないことに留意)。そのためか、最近、小規模ながら学生主体の研究会のようなものが催されており、活発なやり取りが行われている。自分は参加できていないのであくまで推測でしかないが、他人の研究のやり方、抱く悩み、考え方に触れることができる機会は、この研究室ではあまりないので、自分としてはとても良い兆候のように感じている。

〇学会(感想)
日本国内で催される国内学会と、海外で催される国際学会がある。本研究室は論文だけでなく、学会発表にも重きを置く研究室なので、研究室に所属した人は基本的に国内・国際のどちらも経験することになる。自分の場合、コロナの影響でオンライン発表ばかりであった。オンライン発表であれば、全て自宅で済む。それはそれで長距離移動に手間取ることないし、現場の緊張感も半減されるので、楽である。しかし楽な分、切り捨てられ、触れることができないものは、当然のごとくある。もちろん、観光ができないのは悲しいことだが、おそらくオンサイトの醍醐味はそれだけではないだろう。

そう思うに至るのは、自分が数か月前、ようやくオンサイトでの学会に参加することができた、個人的な体験に由来する。一口で言うと、“現場性”のようなものになるのかもしれない。それは、個人的な体感であって曰く言い難い。もしかすると、これから書くことは、思い違い・妄言かもしれない。単刀直入に言えば、学会とはなんたるかをようやく垣間見たような気がしたのであった。「なぜ、学会などという“人間”の営みがあるのか?」 私が現場で感じ取ったものは、言葉にしづらいが、少なくとも単なる情報交換以上のものがあった(気がする)。もしかすると、みんな久々のオンサイト学会だから浮足立って活気づいていた……からかもしれない。……しかし、卒業する今となっても、結局“学会とは何か”まだよく分かってなどいない。何はともあれ、最近ではようやく、オンサイトで催される国内・国際学会が目立ってきたので(十分にコロナに気を付けた上であるが)、発表準備にあくせくしながらも、学会を愉しんで頂きたい(迷走してしまったが、堪忍してください)。

〇休学について
実は、自分は大学院の間に1年間の休学をした身である。休学した理由などは省くが、ひとまず、一般的な情報を書いていこうと思う(詳細な部分は、先生やら支援室のほうに問い合わせてほしい)。
以下、ほとんどのB3には関係ないかもしれないが、休学する大学院生は、少なくはないらしい。他大学では不明だが、筑波大では休学に関する費用はかからない。0円である。しかも、どのタイミングで休学を開始して、どのくらいの期間休学をするのかもある程度の自由がある。参考までに、自分の場合、本来ならば卒業間近である12月から休学を開始して、翌年の10月に復学している(在学中の学費は生じ、休学中の学費は生じないことに注意すること)。秋学期から復学する場合、通年科目の是非が心配されるが、担当教員と話を通じて許可をもらえれば、秋学期分の授業を受けるだけで良いことになる(ありがたい)。

奨学金については、自分は日本学生支援機構のものを受けていたが、給付が停止されるだけであった。 さて、休学するか否かずいぶん迷ってしまった情けない自分であった。しかし、僥倖にも自分の場合、金川先生だけでなく、諸担当教員と相談することができた。普段の学生生活からは想像できないことであるが、先生方は何も、学問だけの先輩ではなく、“先”に“生”きる人ゆえ、生きる(?)にあたって有益な助言を頂戴することができたりする。もちろん、友人・親に相談することもあるだろう。ただ、先生方も良き相談者になりうることは留意しておくと、損はない。

・休学期間何をするか?
休学する学生はいわば、学生という仮身分を持った、剝き出しの人間となる。基本的に自由である。海外インターン行っても良し。引きこもりになっても良し。とにかく、自由である。しかし、自由は必ずしも良いものではなく、かえって重荷になることもある。その時間の使い方は個人の資質が問われ、どんな人生経験を積むかはあなた次第である(1年無駄に年を食う場合だってある)。復学に向けて、研究をしても構わない。私も色々と一段落したころになって、夏から研究を再開しようとし始めた。  

・休学と就活
M2であった自分の場合、当然、休学期間に就職活動をすることになった。会社にもよるので、一般的なことはわからないが、個人的な印象としては、休学したからといってマイナスな印象を持たれることはない。問われるとするならば、休学中に「何を、どのような目的で遂行したか」にあるだろう。しかし、休学中に何をしていたかをそこまで聞いてこない会社もチラホラとあったりする。

・個人的な教訓
悩んで、それを晴らしてから行動するものだと思っていた。しかし、実のところ、逆もありうるように思えた。行くところ行ってから、悩む。そのようなパラドキシカルな方法が、あると思う……これはおそらく、研究にも関係してくると思う。

〇どんな力がついたか
4年間で具体的にどんな力がついたのか。難しい。しかし、明らかにB4の頃の私と今の私は違う。何が違う?数学・物理的知識,文章の書き方,プレゼン能力……と言おうと思ったが、あえて抽象的に捉えてみると、いい加減な言葉かもしれないが、「批評性」といったところだろうか。批評性。「これじゃない……これじゃない……これだ!」作って直す、また作って直す……その繰り返しの中で、切り捨てる情報、取り入れる情報の選択眼が芽生えてくる。「本当にこれか?これはどうだ?」観点を変えて見てみることも重要だろう。自分でうまくやれたと思ったところが、問題点になっていたりするのだ(だからこそ、論文・プレゼンを作るうえで、他者の視点,客観・公的な観点が重要になってくる)。先生方を見ていても、この辺の情報作業がとても効率的なものになっていることは窺え、無駄がなく洗練されている(professor,professionalの語源は、「公言する」ことを含意している)。うまく言えず申し訳ないのだが、ひとまず、この力(?)の自覚と発達が挙げられるかと思われる。

〇研究室配属レース

現在のシステムは微修正されているみたいですが、4年前、自分が経験した配属レースの印象を述べておきます。

確か2人枠に5~7人で混戦したと思います。決して成績が良いとはいえない自分は、実は最初から最後まで金川研にエントリー?していたわけではありません。一時期、あまりにも混戦していたので、何となく別の研究室(第2希望)に唾つけたまま、静観していました。たぶん、同じような人は多かったのかもしれません(たぶん、このようなタイプの人が多いと変動が生じやすいのかも?)。

GPAバトルが繰り広げられ、ある程度落ち着いてきた終盤戦のちょっと前、ちょうど金川研希望人数が2人になったタイミングを見計らってGPAバトルを挑んでみたところ、勝っちゃいました。負けたらおとなしく第2希望で勝負しようと思っていたので、ラッキーでした……

今ふり返ると、滑稽ですね(他の研究室ではもっと熾烈でドロドロの心理戦が繰り広げられていたみたい?)。晴れて私は、そのまま金川研に配属という形になりましたが、しかし落ち着いていた終盤にバトルが生じるとどうなるか。無論、ビリヤードのようにカオスティックな玉突き現象が発生し、各研究室において再度GPAバトルが生じます。これは終盤間近で落ち着いていた人からすれば、たまったものではないでしょう。それゆえ、あまり1つや2つの研究室に固執せず、候補先の見当は広げた方が良いと思います。

一応、負けた人たちのその後についてフォローしておくと(ぶっちゃけ友人でもなかったので良く分かりませんが)、そんなに何か、人生で重大な出来事になってしまったみたいな印象はないです。普通に皆さん学生生活をエンジョイしている気がします。要するに何が起きて、どうなるのか、分かったものではありません。希望する人気研究室に入っても「なんか反りが合わない」(そして最悪、鬱になる)こともありますし、「ここは嫌だ、おしまいだ」と言っているわりに、何だかんだで性に合っている研究室だったりすることもあります。もしかすると、諦めていた研究室に入ることだって、ありえるかもしれません(M2)。

学生視点の金川研紹介(4)

B4の学生に金川研の紹介を書いてもらいました。主に、国際誌への原著論文投稿のプロセスに焦点をあててもらいました。学振DC1申請(=M2の5月)までに論文採択を目指した指導を重視しています(博士後期課程に進学しない場合でも、博士前期在学中の採択を目指し、ほぼ全員が達成しています)。ただし、意欲や成果次第ですが、早い場合には、B4であっても投稿例・採択例が複数あります(金川)。


こんにちは。金川研B4の学生です。

金川研に配属された当初から取り組んでいたテーマで論文を書き、幸いにも論文を採択していただくことができました。論文を書く過程で、金川先生をはじめとして、研究室の方々から多くの有意義な議論や指摘を頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

ここでは、私が論文を書く過程で受けた指導を交えて、金川研の紹介をしたいと思います。

・どのような指導を受けたか

卒論のテーマは、配属後比較的すぐに決定しました。夏頃までは、

  • 文献調査と数式変形を行い、定期的に進捗報告する
  • 今後の方針に迷ったときは逐次相談し、研究の方向性を決める

といったことをひたすら繰り返していました。研究の相談は基本的にチャットで行いますが、チャットのやり取りだけでは難しいようならばオンライン面談(対面も可)を行うという感じで、面談については希望すればすぐに日程調整をお願いすることができます。このように、相談できる機会が比較的多いことは、研究作業を進めるうえで有利な点であると思っています。

その一方で、ゼミや定例ミーティングはないので(ただし、配属直後は基礎知識の勉強や研究打合せがあるため、定期的に金川先生とのマンツーマンのミーティングが入ります)、一人で考えていても分からないことがあったら自分から相談を申し込むなど、主体的に動く必要はあります。

私の場合、数式変形が完了し、データもそれなりに集められたのが9月頭ごろで、その頃から論文執筆に着手し、書ける部分から書き始めました。数日に一回原稿を提出し、指摘を受けた部分を修正し、必要があれば面談する、ということを何度も繰り返すうちに原稿が出来上がっていきました。10月中旬~下旬に原稿が完成し、論文を投稿しました。

・何がきついか

これは他の方もおっしゃっていることですが、金川研は作文の指導に力を入れていることもあり、文章の書き方に関してはかなり厳しいと思います。大学の講義で課されるようなレポートとは異なり、論文では研究背景から始めて、研究手法、内容、結果、議論を一本のストーリーとして筋が通るように書くことを求められますが、私はそのような文章の書き方には全く慣れていなかったため、毎回の添削で大量の指摘を受けました。指摘には、論理展開がおかしいなど本質的なものから、段落構成が不自然、文法語法がおかしいなど、研究の内容とは直接関係していないが文章の書き方としてまずいというものまであり、大半の指摘は理屈で詰められるので、慣れていないうちはきついと感じるかもしれません。ただし念のため、理屈で詰められるとはいっても、あくまで研究内容に対してであり、決して人格などまでも否定されるというわけではないです。実際、指摘内容を後から振り返ってみると、確かにあれはおかしいな…と思うことも多々あります。また、図表の書き方、キャプションの書き方、論文特有の英語表現を知らなかったので、新しく覚えることが大量にあったのも個人的にきつかったと思っています。

加えて、査読の対応も大変でした。様々な視点から鋭く指摘を受け、当然ごまかしは一切効かず、査読者が納得できるように丁寧に説明することが求められました。査読者への回答書の書き方についても、論文と同様に金川先生に細部までご指導頂きました。以前、先生からは、大変さでいえば、理論解析自体よりも、むしろ論文を投稿して査読者と戦うことの方だというようなことを聞いていましたが、その通りでした…

・得られたと思うものは何か

まずは、テーマの決定からはじめて、研究結果を論文にまとめるまでの過程を実際に経験できたこと自体が非常に価値のあることだと思っています。その上で、論文を完成させる過程で、日本語・英語問わず文章を書く力、情報収集能力、効率の良いタスク処理の方法などを身に着けることができました。

一方、査読対応で如実に感じたことですが、書き手として伝えたい内容が客観性を欠いていると、読み手に全く伝わらないということを実感しました(このことが分かったのは収穫でしょうか)。日頃から客観的に明快で読みやすい文章を書けているか?を意識することで、次に論文を書く際にはより質の高い論文を書けるように精進します(B4)。

学生視点の金川研紹介(3)

B4の学生(留学生)に研究室の紹介を書いてもらいました(金川)。


私は2022年2月に金川研究室に配属されたB4です。留学生ですので日本語がおかしいところは気にしないでください。今までやったテーマは金川研究室の先行研究:「液体中にある気泡の媒体に入射する超音波の伝播の特徴」の他の方面で調べます。ただし、私の研究は「バイオ・医療」の方面に着目し、超音波造影剤の「リン脂質シェル(phospholipid shell)の座屈(buckling)と破裂(rupture)」による、(多数気泡を含む液体の中に)超音波の伝播にどんな影響があるか」を調べています。流体力学と材料力学をあわせたテーマと言えます。研究で得られた情報は学会で発表し、海外のジャーナル論文に書きました。

・学会発表で得られたもの
学会に参加・発表の前には、金川先生から作文・プレゼンに対し細かい指導が入ります。普通、学会のための原稿はA4の2-5枚ぐらい必要です。学会によって、ポスタ・スライドを作ることも必要ですが、私に対してもっと難しいのは「どんな部分を重視しなければならないか」です。学会・セッションによって、参加者の期待・自分のテーマの基礎と見慣れる程度が違いますので、発表の内容を調整し、編集しなければないことをわかりました。しかしながら、私の経験は不十分なので、編集が必要な部分は金川先生の指導のおかげでわかりました。その上、口頭発表には、練習の段階で金川先生から軽微なところまで、かなり細かく添削して頂きました。学会は自分の得られた情報を発表する機会だけでなく、他の研究グループからの知識や進み方や見方などをよく学び、他の先生・研究者・学生からの意見とネットワーキングも得られたために、研究や自分の進歩に対する利点が少なくないと思います。特に、実戦から、仕事・社会に重要なソフトスキルの一つとしてプレゼンのスキルはまだまだ不十分なことも確認でき、今後頑張ります。

・論文投稿で得られたもの
論文投稿の過程について書きます。金川研の先行の論文の骨に基づいて、8月に論文を書きました。問題設定、理論解析からの情報についての文章は、先行研究と似ているために書きやすいですが、IntroductionまたはDiscussionはきちんと・正しく書くことはやさしいではないと感じました。Introductionは他の研究グループの結果を正しく紹介し、自分の研究はどんなことが新しいか、どんな貢献を持つかを述べました。情報を得るために、文献レビュー(Literature Review)し、多く論文を読むことが必要です。私に対して、論文を読む時、頭の中で、著者らとの会話を想像し、著者と相談し、情報をまとめます。論文を100%理解や全ての式を自分で導出までは残念ながらできませんでしたが、手法の考え方・結果・結論・式の意味・式の解析に注意し、様々なことを学びました。一方で、discussionは自分の得られた情報を解釈することで、biasedでない文章を書いた方がよく、簡単なタスクではないと思います。今回の論文は幸いにも採択されましたが、もっとわかりやすくて、もっとコンサイス、もっと自然な表現を使用したいので、今後自分の英語能力・表現方法も改善のための必要があります。

査読の過程では、referees からコメントとリビジョンの要求を受けました。refereesのコメントから自分の説明方法や自分の知識を改善できるので、感謝します。実は、refereeの詳しいコメントから、研究のlimitationをもっと明らかになり、refereeからすすめられた論文と情報提供のおかげで、研究のlimitationを解決できる可能性がある手法も得られました。結果として査読の過程はストレスせずに、きちんとrefereesのコメントを眺めて、研究に対する価値が高まることが少なくないと感じました。

論文が採択されたは「勝」までもないですが、用心し、心の中に「勝って兜の緒を締めよ」を刻みます。研究が進むと自然的に、様々な新しい困難を出たが、落胆しないで、面白いと思います。一歩一歩解決しながらすすむと感じます。

・他の学生の雰囲気と学生との研究面での交流
日本人ではないので、言語の壁で、効率が高い話しが難しい面がありますが、研究室の先輩や同輩方から私の質問・議論について熱心なアドバイスをもらいましたのでほんとに感謝します。研究面での交流で、新しい考え方・問題解決する手法などは自分の研究によく助けます。私に対して、印象がもっと強いのは、アイデアを交換する時、研究室の皆様はpositiveな意見を挙げて、私の意見を否定せずに聞いてくれることです。このことはとても快適な環境だと思います。自分の経験から、アイデアと自分の「我」を強く言う人が少なくないと感じるので、金川研の学生方のように快適な研究相談ができる環境は、私に対して幸運なことです。

・普段の過ごし方
段階や学期によって変わりますが、一週間内は研究:4日、自由:1日、授業と宿題:2日です。授業がない学期には1日は自由、残りの日は研究の日です。研究のための日はだいたい6-9時間ぐらいで研究しました。どう過ごすかは自由日に決めました。例えば、段階Aの式1と式2を変形するのは4時間ぐらいかかり、式3を変形するのは5時間かかると予想すると、一日中は式1,2だけを式変化し(式3は次の日に)、1-2編の論文を読みます。文献レビューの段階には論文を読んでばっかりですが、情報を体系・まとめの時間もあります。もちろん、予想外の事態もありますので、予定を細かく立てすぎると困るから、予定は大体で設定します。もっと早く終わると残りのタスクを部分的に準備・完成します。強制参加のゼミやコアタイムなどはないので、自分は好きな場所、好きな時間で研究することできるので、ストレスはよくコントロールできますが自己管理も必要です。

・厳しい、きつい面、緩い面
自分に対しては言語の壁以外には、厳しいことがほとんどがないと感じます。理由のは、金川先生からは指導やアドバイスの意味と理由も含めてよく説明されるので、強制される感じがあまりません。その上、課題や問題解決や理論解析は厳密にすることは「当然」、「必須」と感じるので、厳しくないと思います。
私に対して、研究はどこでもいつでもできること、圧力があまりなくて、自分のペースでやること、指導教員から詳しく意見・指導・提案をもらえることは緩い面と感じます。

・身につくと思われる、身についたもの
研究する過程には、式を参考する時、論文によって使用する式が違う場合が多いです。そのために、式を導出する仮定・適応できるケース・意味を理解することは大事とわかりました。その上、論文調査も大事と思います:論文調査で研究の背景、進歩、議論間の比較的な知識をわかること上で自分の研究方向を決定できます(B4)。

学生目線の金川研紹介(2)

B3学生(早期卒業(飛び級)学生)に研究室紹介を書いてもらいました。たまたま、大晦日に受け取ったので、大晦日に更新していますが、大晦日の作業は強要していません(もちろん禁止もしていません)。追って、大学院生視点の記事も1~2月に掲載予定です(金川)。


・研究室配属時に何を基準に選んだか
私が金川研を選んだ一番の理由は,金川先生の講義を受けて,自分に合いそうだと考えたことです.金川先生の理論に対して厳密な授業スタイルが,個人的に相性がいい気がしました.
研究内容は配属後(正式な配属はもう少し後でしたが)に初めて知ったくらいなので,研究内容はあまり意識していませんでした.つまり,「この研究がしたい」という気持ちで入ったというより,これからの研究が苦にならなそうだから入ったという感じです.
ただ,私は他の研究室をほとんど調べずに決定してしまったのですが,それは良くなかった気がします.私の場合は入ったことを後悔せずに済んでいますが,これから研究室を選ぶ人はいろいろなところを見て決めるのが良いと思います.

・研究室あるいは教員との相性的なもの
先ほども書いたとおり,実験よりも理論をやりたいという私の気持ちと研究室の方針はマッチしていると思います.また,ひらめき・思い付きで研究をするのではなく,文献(論文など)を読んで根拠を持って計算を行うスタイルも合っていると思います.「実験がやりたい」「自分のひらめきで研究したい」という人や,数式が嫌い(苦手は何とかなると思う)な人には,向かない研究室です.

・学生の雰囲気
真面目な学生が多いです.先輩と話をしていても,自分の研究に対して深い理解があり,他の学生の研究についても関心を持って調べたりしている印象です.所属学生は賑やかという感じではないですが,賑やかな人が合わないということでもないと思います.研究については,金川先生とマンツーマンなので,先輩・同期との交流はあってもなくてもという感じです.

・学会見学
私はまだ学会発表の経験がありませんが,現地で見学させていただいたことがあります(交通費などは出していただきました).
さまざまな大学の研究室の発表を見学させてもらいましたが,自分の研究室というのを抜きにしても,金川研の学生の発表技術はレベルが高いと思います.専門用語や数式を多用して論文的に話すわけではなく,聴衆の前提知識を推測し,式よりも概念図を多用して発表します.また当たり前のことかもしれませんが,聴衆のほうを見て大きな声で発表していますし,スライドも見やすいです.

・普段の過ごし方
私は早期卒業生なので,他の3 年生と同様に授業を受けています.授業が終わったら帰宅し,課題や研究をします.
進捗報告などを週1 程度の面談にて行います.Teams 上で通話して行うことが多いです.また,テスト前は面談を実施せずテストに専念させてくれるので,早期卒業の人も成績がおろそかになりにくいはずです.
研究室には行っても行かなくてもいいので,基本的には自宅で研究することが多いです.夏は涼みに,冬は暖まりに研究室に行くこともあります(いいエアコンがあります)が,正直それ以上の目的で行くことはないです.
強制参加のゼミやコアタイムなどはないので,時間的拘束は最小限に抑えられます.その分,研究に精を出すも,怠けるも自分次第になるので,自己管理が大事です.
また,研究室ではときどき飲み会も開催されます.私も1 度参加したので,その時の様子を少しだけ.飲み会とは言うものの,お酒は飲んでも飲まなくてもいいという感じでした(私が参加したときはほとんどの学生が飲んでいませんでした). 参加も自由です(10 人以上の学生がいますが,参加人数は4 人でした).大盛り上がりの飲み会という感じではなく,世間話や授業・研究の話,卒業後の話などをのんびりとしている感じでした.費用は先生がすべて出してくださりました.

・厳しい、きつい面、緩い面
金川先生の講義を受けた人はわかると思いますが,かなり厳格です(学問的に).それなので,無根拠に理論を展開していくのは無理です.
また,私は英語が苦手なので,英語の論文を読むのがかなりしんどいです.金川研は他の文献から式変形や仮定の根拠を見つけ出すので,他の研究室より文献調査の割合が高いかもしれません.配属当初1 か月くらいかけて,金川研の英語論文を先生とマンツーマンで読み(新入生全員),内容以外に文法・語法等の解説があります(TOEIC の勉強では身に着かないようなこともやります).それ以降は基本的に独力で読むこととなり,私にとってはそれが一番辛いです.
また,かなり煩雑な式(人によっては100 項以上の計算)が出てくるので,数式嫌いの人にはかなりきついです.
逆に研究以外のことは緩いです.週1 ペースの面談(定期試験前はなくなる場合も多い)以外は基本的に先生からは放置という感じです.ただしTeams のチャットで相談や質問は可能です.

・身につくと思われる、身についたもの
まず,正しい情報を取得し,利用する能力がつきます.先ほども言ったように,論文調査をかなり行わなければなりません.「どんな仮定に基づいた理論なのか」「この仮定ではどの式が使えるのか」「論文A と論文B の式の違いは何なのか」など理系大学生が身に着けるべき能力が得られると思います.
また,これも前述しましたが,学会発表の経験は就職後のプレゼンなどに生かすことができます.聴衆に伝わるような発表方法,見やすく理解しやすいスライドづくりなどを先生の指導の下で学ぶことができます.
私を含めたB3 は講義を重視しますが,金川研ではM2 までに国際一流誌に論文を書くこと,英語での国際会議発表を目標としているようです.先輩方はほぼ全員が達成しています.私自身も大学院進学後に自分の研究を国際誌に載せ,科学の世界に名前を残すことは理系大学生として是非とも達成したいです(B3).

学生目線の金川研紹介(1)

研究室配属を検討中の工学システム学類の現B3学生を想定し、学生目線での研究室紹介を書いてもらいました。ただし、著者は早期卒業(飛び級制度)で配属されたB3学生であり、B4の指導方針は、早期卒業B3の指導方針(並行履修中の講義を重視)とは若干異なり、(未取得単位がなければ)早期から研究(基礎としての勉強も含む)に集中させ、アウトプットを重視する方針です(金川)。


今年の5月に金川研究室に配属された自分の方から、研究室の雰囲気やなぜ金川研究室を選んだのか、ということについて簡単に紹介をさせていただこうと思います。(早期配属ということもあって一部皆さんの参考にならない部分もあるかと思いますが、ご了承ください。)

・金川研を選んだ理由
 入学当初はこれといって特にやりたいこともなく、筑波大学の工学システム学類についてはどんなことをしているのかということを調べることもなく入学してしまったので、当初は漠然とエネルギー問題について学ぶことができたら良いな、くらいの思いだった気がします。
 そこから2年後、大学生活を送る中で研究室選びは「やりたい事も重要だが、指導教員との相性も同じくらい重要」だということ、「研究室の方針が自分とあっていること(例えば自発的に取り組めない人にとってはコアタイムを設けている研究室の方が良いと言えるし、逆に自分の好きな時間に研究したいという人にとっては、拘束の少ない研究室の方があっている可能性が高いなど)」など、必ずしも自分の興味だけで安易に決めない方が良いことに気付かされました。そんな中で金川研は、先生が無闇に拘束してくることはほとんど無く、過去に金川先生の授業を履修していて教え方等が非常に良いと感じたので、相性もさほど悪く無いのでは、と思い、候補の一つに入れた気がします。また、この頃はエネルギー問題に取り組みたい、という思いもほとんど消えていました。(電気分野は他の分野(熱力学や材料力学など)と比べて難易度の高い学問だと感じ、挫折したため諦めた)
 他にもいくつか良さそうだと感じた研究室の見学にも行きましたが、その中から金川研を選んだ理由を以下に簡単に述べます。
1. 理論計算が多く、いつでもどこでも研究できるため、場所や時間を選ばない点
2. 研究テーマがややマニアックなので、スピード命な研究室ではない。(流行の研究は当然研究している人も多く競争率も高いので、成果を素早く出さないといけないプレッシャー等も多いと思います。ただし、その中で成果を出せば、かなりの注目を浴びる可能性があるなどメリットもたくさんあります。ここでは決して流行の研究テーマを批判しているわけではないし、それぞれの良さもあるので、人によってこの辺りの考え方は様々だと思います。)僕自身はプレッシャーや期待をかけられ過ぎるのがあまり好きではないので、割とあっていると感じました。
3. 流体力学自体、それほど嫌いではなかった。(1、2年で色々な科目を履修していましたが、流体力学の授業は退屈に感じることは少なかったと思います。)

上記のような理由から、最終的に金川研に配属することを決めました。研究室選びは今後の人生を左右する可能性もあるため、皆さんも様々な研究室を訪問し、できる限り指導教員とそこの研究生(院生、学部生)から直接話を聞いて、自分の相性に最もあいそうな研究室を選ぶことを勧めます。

・研究室を選ぶ点で、僕個人が重要だと思う点
自分の興味のある研究をしている研究室を選ぶことも勿論非常に重要な点の一つだと思いますが、上記でも触れたように「指導教員との相性」や「研究室の方針が自分にあっているか」といったこと等も重要な観点であると僕は思います。例えば自分の興味のないことでも、周りの環境が良かったり、一緒に過ごす人と自分の相性が良ければ、何だかんだ人はそのことを続けることができたり、嫌に感じることも少ないと思います。逆に周りの環境が自分にあっていなければ、興味のあったことでもだんだんやる気が削がれて、嫌になってしまうこともあると思うので、この辺りはよく考えた方が良い点だと思います。

・研究室や学生の雰囲気について
 実は僕自身、研究室には今までで2回しか行ったことがなく(1回は先生が買ってくれた購入品を取りに行き、2回目は参考書を見に行っただけで両方すぐに帰った)、その2回とも研究室メンバーの誰とも会わなかったので、この辺りはよく分かっていません。先輩方も気が向いたら行くという人が多い印象があるので、基本人は少ないと思います。ただ、研究室にはソファや大規模なエアコン、冷蔵庫等もあるので、不便に感じることは少ないと思います。
 学生の雰囲気についても、直接顔を合わせる機会が滅多にないので正確など詳しいことは良く分かりませんが、大学での生活等や、研究についてよく分からないことをTeamsのチャットで送ると、皆さん親切に応えてくれるので、僕個人は不満など一切感じないです。ただ、金川研のメンバーは先生も含め研究に真面目なため、遊びや交流に重きを置きたい人には合致しないと思います。一方、現地での学会発表がある際には、研究室のメンバーでご飯を食べに行ったり、それ以外にも飲み会(丁度12月中旬に3年ぶりに開催されたそうです)が開催されたこともあるので、決して交流できないわけではありません。学生のみのゼミを行うこともあります。また、全て任意であるため、参加したくない、あるいは用事があって参加できない場合は無理に参加する必要もない(実際僕自身は12月の飲み会は用事と被っていたので不参加でしたが、先生や先輩から責められることなど全くなかったですし、学生は計11名中4名という低参加率で、前日や当日のドタキャンまであったらしいですが、それでも何も問題にならない位の緩さです)ので、この辺りはかなり緩いというか、人間関係の構築についてはかなり自由にできると思います。

・学会など
 僕自身はまだ学会等で発表を行なった経験はありませんが、先生に頼めば興味のある学会や先輩方が出る学会の見学には連れて行ってもらえることもあります。僕自身も一回、聴講者として学会に参加しましたが、モチベーションを上げるという意味でも参加して良かったと感じました。聴講だけでなく、発表をしたいという人も、先生に頼めば積極的に色々な学会に参加させてもらうこともできるので、研究に真面目に取り組みたいという人にはお勧めできる研究室だと思います。

・普段の生活
僕自身は卒業するために必要な単位が全然揃っていないということもあり、普段は授業と課題を優先して、空いている時間があれば研究をするという形をとっています。先生も授業を優先させてくれるので、単位を落としそうという心配もしなくてよかったのは良い点の一つだと思います。(訳もなく研究を長時間サボっていると先生に叱られるのかもしれませんが、就活や授業などで研究への時間が十分に取れなくても理不尽に叱ってくることはありません。)また、アルバイトやサークル活動なども禁止ということはないので、ある程度自由はあると思います。(勿論、特別な理由もなく、それらの活動ばかり優先させて研究をしないというのはアウトな気もしますが)

・身につく能力など
僕自身は上記でも述べたようにまだ学会発表等の経験はないのですが、金川研は研究に力を入れているので、「プレゼン能力が身につく」「大人数の前で上手く発表する」「論文の執筆が上達する」など、将来でも役に立つ可能性の高い有用なスキルはそれなりに身につくと思います。

いくつかの項目を簡単に紹介するという形をとったので、金川研について詳しく紹介することは今回できませんでしたが、配属を考えている人への参考になれば幸いです(B3)。

JKA研究補助

公益財団法人JKA 2022年度 機械振興補助事業 研究補助 若手研究に採択され、ご助成を頂くこととなりました(2,000千円、2022年4月から2023年3月)。

   

研究室配属情報

少々時期が早いのですが、工シス学類3年生向けに、研究室配属情報を列記してみます。随時更新予定です(金川)。


  • <研究手法> 理論的(数学的)手法による物理現象の解明を行っています。
  • 数値計算も行いますが(2人に1人程度。希望を尊重)、手計算で出来る限界まで、手計算で挑みます。数学的手法で研究を行いたい人におすすめです。
  • 実験は行いませんが、直接的に行わないだけであり、重要です。先行実験との比較など、実験事実を重視します。物理は実証科学だからです。その反面、実験では手が届かないような現象(例:宇宙空間)に対する理論予測というテーマや、実験事実が蓄積されているけれども理論的・数理的理解が進んでいないテーマを選ぶことも多いです。つまり、理論的手法を使うことに拘っています。
  • <研究対象> 圧縮性流体力学、および、混相流ですが、学類科目にないので、ピンとこないかと思います。
  • 圧縮性流れというと、「気体力学」のような、超音速といった航空宇宙を思い浮かべるかもしれませんが、音波(マッハ数が小さいけれども圧縮性を無視できない亜音速流れ)を扱っています。オーディオや会話などとは異なり、比較的強力な超音波です。音波の弱い非線形効果の物理的解明と工学応用を守備範囲とする「非線形音響学」という比較的新しい(?)学問領域に属します。
  • 混相流は、固液気の多相が混在した流れであり、たとえばコロナウイルスの飛沫の問題など、身近な現象といえます。主に気泡を含む流れを扱っていますが、そんなに気泡だけへの拘りがあるわけでもありません。
  • 「キャビテーション」というキーワードにも合致し、高速の水の乱流にも合致します。
  • 過去に固体力学を扱ったことがあります。燃焼も扱う予定です。
  • 一応用先として、生体内流(軟組織や血流)が挙げられます。固体力学も、生体組織の観点から取り組んでいます。
  • 関連する学類科目でいうと、流体力学と熱力学がメインですが(とはいえゼロから勉強してもらうので、履修如何は問いませんし、あてになりません)、振動工学や材料力学も守備範囲です。ただ電磁気は扱っていませんし、扱う予定はありません。
  • <指導の方法> 1対1で週一の頻度でTeamsで面談します。
  • 研究室でやっても、自宅でやっても、図書館でやっても、なんでも構いません。研究室以外でやる人が多いです。研究室は人が少なく、静かです。自主的にやれる人に向いています。
    過去に、研究をサボる人はほぼいませんでしたが、サボっている場合は、それも自由として、ある程度は放置します。あまりにもサボっていると、理由を聞き、考え方を改めさせます。
  • 研究と勉強は異なりますが、金川の指導スタイルは、講義(熱力学・応用数学)に似た感じと捉えている学生が多いようです。つまり、答案の内容や書き方については妥協しませんが、勉強の方法については任せています。
  • うまくいかないのが普通ですので、進捗については厳しいことは言いませんが、あまりにもやっていない/進んでいないと、口をとがらせることはありました。
  • 論文や学会発表等で、作文やプレゼンを指導しますが、これは厳しいと感じている学生もいるようです。一字一句について理屈で問い詰めるスタイルです。
  • 精神論は基本的に言いません。良いか悪いかは不明です。理想論で指導するのではなく、現実志向の指導方針です。
  • ゼミを行いません。いわゆる公開処刑は意味がないと思っていることから、厳しいことは、直接個別に伝えています。
  • 理論系の中でも、厳密性を重視する人に向いています。発想やアイデアでやりたい人は、向かないかもしれません。大量の手計算を行います。
  • 理論解析メインと書きましたが、徐々に、数値計算の占める割合が高くなりつつあります。
  • コロナ以前とコロナ以後で、あまり変わっていません。効率化が促進されました。
  • <PR?> 雑用がありません。国内の研究室としては異端ではないかと思います。研究と勉強以外にやることがありません。
  • 国内で、混相流の理論研究に特化している研究室は、現在は、金川研以外にないと把握します。その一方、海外では基礎理論研究が盛んです。混相流は実学に直結する分野であり、その基礎理論に携わることは、極めて有益と考えます。なお、乱流など、混相流以外の流体関係分野は、国内でも理論研究は盛んと認識します。
  • 早期に成果を出します。B4時に査読付き雑誌論文を通した例が1件、また、殆どの学生が就活前のM1時に論文を書いています。論文の次に国際会議も重視しています。この1~2年は、学会よりも論文を重視しつつあります。
  • 卒業生の全員が表彰を受けています。雑誌論文(多くは国際一流誌)を筆頭著者で書いています。JASSO第1種奨学金の貸与者は全員返還免除を受けています。学振特別研究員DC1にも現時点で全員採用されています(M1から配属された学生も、M1の間に論文を書き、DC1に採択されました)。
  • たまたまでしょうが、学生の人物・性格は、温厚派が多いです。活発な人を歓迎しないわけではないですが。
  • 良いことかはわかりませんが、全員、成績が優秀です。ただ、成績優秀であることと、研究でも成果を残せるかというと、絶対的相関はありません。勉強面でも強固な協力体制を築けるかもしれません
  • 恐らく、真面目な人にとっては、居心地は良いと思います。
  • 流行りの研究を行いません。誰もやっていないこと、他の人がやりたがらないことを、あえてやっているつもりです。この方針が一般に良いか否かは不明ですが、こういう研究をやっていることは、自己PRにおいて有利に働くと推測します。例年、極めて意欲の高い学生が希望し、配属されていることから、流行りに流されない学生に向いているかもしれません。
  • 雑多な状態ですが、一旦掲載します。続きを随時更新する予定です。

学生視点の金川研紹介’20(4)

B4に研究室紹介を書いてもらいました(金川)。


【研究テーマと進め方について】

 現在、ほとんどの学生は「気泡流」に対する「理論解析」をやっています。
 いわゆる通常の「流体力学」は、「水のみ」または「空気のみ」の場合を対象としたもので、これは工学部の学生の多くが学ぶ基礎的な学問であり、理論面は確立されたものがあると思います。それに対し「気泡流」は、「水+空気」からなる媒質を対象とするわけですが、この場合、理論の根本的なところから未確立な部分が多く (基礎方程式の表式も多岐にわたる)、それゆえ研究対象になりうる、というようなイメージです。
 金川研の研究成果として得られる数式は、もし「気泡流の力学」という教科書を作るとしたら、おそらく序盤のほうに記載されるであろう内容だと思います。このように、基礎的な数式の段階から物理 (力学) を研究することが出来る研究室は、恐らくレアだと思います。

 なお、気泡流以外のテーマ (固体力学や爆轟など) もあるようなので、特定のテーマにこだわりがある方は、配属前に相談したほうが良さそうです。ただし、金川研の理論解析の適用範囲内かどうか確認の必要があると思います。また、あくまで手法は理論解析なので、研究の進め方自体が大きく変わることは無いはずです。

 個人的に、研究室選びにおいては「テーマ」だけでなく「研究の進め方」も非常に重要だと思います。私の場合、テーマ以上に、理論解析の進め方そのものにより魅力を感じました。配属前、先生から「紙とペンさえあれば研究できる」と聞いていましたが、実際やってみて、その通りだと思います。今年の場合は特に、学会もオンライン開催なので、自宅から参加可能です (情勢次第ですが、しばらくこの傾向は続くと予想しています)。その気になれば自宅だけで研究の全行程が完結します。
 実験装置等も使わないので、装置によって進捗を左右されることもありません。また、学生間で共同で研究をすることは (基本) 無く、研究は個人プレーで行います。実際、研究室の方々とお会いする機会がほとんどなく、その点寂しさもありますが、自分のペースで進められるのは良い点だと思います。

 配属先として考える上での注意点(?)を挙げるとするならば、理論解析の作業そのものは、非常に地道です。実際、「紙とペンさえあれば研究できる」という点は、魅力的に感じる人もいれば、退屈そうに感じる人も多いと思います。また、最終的に得られる式は比較的キレイにまとまっており、物理的解釈の付与も可能ですが、そこに至るまでの計算過程はかなり膨大です。計算途中の段階では、物理的解釈を結びつけることが困難な大量の項たちと対峙することになります。この意味で、(金川先生からも再三警告されていると思いますが) 数学があまりにも嫌いな方には、苦痛だと思います。ただし、「嫌い」ではなく「苦手」程度であれば、時間さえかければ最後までたどり着けるとは思います。


【普段何をしているか】

 理論解析の実際の流れについてですが、配属直後は、気泡流に関する先行研究の式変形を再現することから始めます。ある程度分かってきた段階で、テーマに沿った新たな要素を組み込み、計算していきます (勉強だけ長期間続けるのではなく、研究しながら勉強するというイメージです)。これがいわゆる「紙とペン」で行う部分であり、ひたすら式変形することになります。当然、研究なので、良い結果が得られる保証はなく、場合によっては何通りもの計算を行うこともあるので、ある意味実験的です。

 少々意外かもしれませんが、研究として新規性がある部分は基本的にここまでです。時間としては、研究全体の30%くらいではないかと思います (テーマや個人の進捗にもよります)。以降は、計算の見直しやモデルの一部を変更することなどはありますが、がっつり理論解析をすることはほぼ無くなります。

 理論解析が終了した後は、具体的に以下のようなことをします。

・学会原稿を書く
・学会スライド・発表練習
・学会本番に参加
(・数値計算)
(・論文投稿)

 このように、学会参加を中心とした日々になります。そして、毎回の学会前には、作文・プレゼンに対し細かい指導が入ります。
 学会の参加申込時には、A4数ページ分の学会原稿や、数100字程度のアブストラクトを書く必要があり、ここで作文指導がなされます。内容の本質に関わる部分から、軽微なところまで、かなり細かく添削して頂きます。
 スライド作り・発表練習は、本番の1か月前くらいから始まります。先輩方の例も提供して頂けるので、それらも参考にしつつ作っていきます。作成途中の段階から、練習として複数回先生に発表を見て頂き、分かり易い発表になるよう、発表の中身・スライド・話し方などを繰り返し添削して頂きます。また、発表練習のあとは、質疑応答の練習として、金川先生から質問をぶつけられます。

 金川研の特徴として、(希望次第ではありますが、) 学会参加の回数が多いです。希望すれば、かなりの回数出して貰えます。その上、毎回細かく指導して頂けるので、プレゼンに関してはかなりスキルアップできると思います。もちろん、「学会=プレゼン練習の場」というわけでは無いですし、たくさん出れば良いというものでもありませんが、全国の先生方から意見を頂ける貴重な機会であり、他の研究室の方々の発表も聞けるので、得られるものは大きいと思います。学会参加自体が研究業績としてカウントされる、というメリットもあります。また、質疑応答やプレゼンのスキルに関しては、場数を踏むことが一番重要ではないかと思います。
 なので、「学会に出てみたい」「学会参加を通じて作文・プレゼンの能力を磨きたい」という方には、金川研はかなりお勧めです。ただし、金川研以外にもB4で学会に出る研究室はそこそこあるようですし、学内でのゼミをプレゼン指導のメインとしている研究室もあると思います。このようにプレゼン指導の方針は各研究室によって様々なので、気になる方は配属前に確認すると良いと思います。

 理論解析は全体の30%、と聞くと残念に思う方もいるかもしれませんが、個人的には、理論解析以降の作文・プレゼン指導に関する部分の方が重要なのではと思います。卒業後にどの分野・業界に進もうと、普遍的に役立つ能力だからです。もちろん、理論解析の手法等々や、気泡流の物理も重要ですが、例えば企業に入社した場合、就職後も同じことをする確率はまずゼロです (博士進学して研究職を目指すなら別かもしれませんが、その場合も作文・プレゼン等の能力は必須です)。これは金川研に限った話ではなく、どこの研究室でも同じだと思います。
 各研究室の配属説明会では、研究テーマに関する説明はされますが、それ以外の指導に関するところはあまり語られないと思います。理論解析は全体の30%、というのもあくまで金川研の場合の一例であり、研究室によっては、実験や解析により多くの時間を割く研究室もあると思います。研究室選びにおいては、テーマだけでなく、具体的に普段は何をしているのか・それによりどのような能力が得られるか、といった部分も重要だと思うので、気になる方は配属前に確認したほうが良いと思います。

 その他、数値計算に関しては、必須ではなく希望次第で行います (私はやっています)。テーマによりけりですが、先行研究の文献を参考にコードを書くこともありますし、金川研の先輩方からコードを提供して頂くこともあります。金川研はあくまで理論解析が軸なので、数値計算を利用する立場であり、「数値計算手法そのもの」を研究することは基本無いと思います。
 話が飛びますが、最近、金川研の研究資金で新品のデスクトップPCを買って頂きました。私が「コードを書いたが、自分のノートPCだと計算にかなり時間が掛かる」と報告したところ、その日のうちに即注文して頂き、数日後には研究室に届けて頂きました。その他の周辺機器も、先生にお願いしたところ、すぐに買って頂けました。このように、研究に必要なものは、お願いすれば高確率で買って頂けるのではと思います。
 また、論文投稿に関しては、金川研では基本的に修士卒業までに1編は書くことになっているようです。希望があれば、複数編トライすることも十分あると思います。前述の学会原稿執筆時と同等かそれ以上の細かい作文指導を受けることになり、それに加えて査読対応の場面も出てくるので、より深い経験を積めると思います。


【金川研との相性について】

 研究室配属の際、金川研との相性は、「講義の印象」から判断すれば基本的に問題無いと思います。

 研究室選びの定説として、「講義の印象で決めるのは危険」と聞くことがあります。多くの場合それで間違いないと推測しますが、金川研の場合は、講義の印象で決めて良いと思います。
 約10か月間、研究室に在籍した感想として、金川先生の研究指導のスタイルや先生の人間性も含め、講義での先生の印象と近いです。私自身も、2年生の時に先生の授業を受講し、講義や資料の分かり易さ、質問対応の丁寧さ、manaba等での連絡の迅速さが素晴らしいと感じましたが、研究指導においても同様な指導を受けることが出来ます。また、各科目の期末テストの答案に求める厳密性などから、金川研の研究スタイルがおおよそ把握できると思います。
 よって、講義を受けてプラスの印象を持った方は、相性については問題ないと思います。その逆も然りです。


【最後に】

 色々書きましたが、まとめると、

 ・自分のペースで研究を進めたい
 ・理論研究に興味がある
 ・学会に (多めに) 出たい
 ・論文を書きたい

上記のいずれかに当てはまる方には、金川研はかなりいい環境だと思います。

学生視点の金川研紹介’20(1)

学生視点の金川研紹介の一環として、M2学生に、研究室紹介の一部として、理論研究、基礎研究、就活との関連などについて、以下、書いてもらいました。理論系研究室であることは、配属検討者に、面談などで過去に強調してきた一方で、「基礎研究とは何か? 基礎のウリは何か?」などは、一口で説明することが難しく、定義も人によって異なると認識しており、説明会等で詳しく説明をしてきたとはいえず、自戒を込めて、掲載します。「基礎」は、やってみた結果、好きになる可能性も大きいと思います。

金川個人は、学部生頃から今に至るまで「基礎」に強い関心を抱いており、工学系だからこそ腰を据えた基礎研究が大学人として必須とも信じていますが、そのような研究観念面で、学生との価値観は一致しなくてよいと考えています。実際、配属学生のうち、「基礎」に関心を持って選んだ学生は2~3割程と把握します。一方、殆どの学生は「理論」を根拠に選んでいます。「基礎」とは異なり、「理論」の観点からのマッチングは求めています(金川)。


<理論研究とは?>

理論研究というと「フーリエ展開やε-δ法など,学類で学んだような煩雑な理論を自分で閃き,導かなくてはいけないのか??」というような,ひらめき・センスの世界というイメージがあるかと思いますが,実際は根気強さが物を言う世界です.

以下に私のテーマを例に,かなりざっくりと説明します.研究目的は「気泡を含む液体中を伝播する波を表す,1本の波動方程式を導き,考察する」というものです.気泡を含む液体中を伝播する圧力波は,ソリトンという安定した波か衝撃波のどちらかに変化しますが,その条件は未だはっきりと分かっていません.流体の連続式などを含む基礎方程式系をPCで解いてもいいのですが,非常に複雑なので時間がかかる上,初期流速,気泡サイズ,気泡の多さ・・・など設定しなくてはいけないパラメータが多く,全てのケースをこなすのはおそらく不可能です.そこで,私の研究では,10本ぐらいの基礎式から波の伝播のみを取り出し,1本にまとめます.これによって衝撃波へのなりやすさ,ソリトンへのなりやすさ,波の減衰しやすさなどを理論的に定義・評価でき,実験やシミュレーションいらずでどちらに発展しやすいのかを判別できます.具体的に波形を知りたいときも,1本なのでノートPCで簡単に解くことができます.

理論解析の大筋となる手法は金川先生が博士時代に考案したものがベースになっています.この研究も同様のテーマであるものの,無視している物理現象が多いです(気泡の生成・消滅や熱の効果など).これらを考慮するために多くの先行研究を調査し,スタートとなる基礎式を変更して再導出することで,より現実に近づけたモデルを提案し,その影響について数学的・物理的に考察するという流れで研究を行っています.すなわち,ある程度のレールは引かれているので,突飛な発想やひらめきなどは必要ではなく,膨大な手計算を丁寧にやり遂げる力や,数式が表す意味を理解する力が必要です(博士はわかりません).

<基礎研究とは?>

基礎研究についてですが,意外にも就活で話しやすいと言う点が挙げられます.応用研究(○○に使われる○○という部品の○○部の形状改良を通じた効率上昇など)だとその背景,研究の目的などが特定の機器に限定されるため,専門用語や説明しなくてはいけないことが多く,知らない人にはなかなか伝えにくいように感じます.基礎研究(気泡流中圧力波のメカニズム解明)は,特定の機器に限定せず,根本となる物理現象から説明し,それがわかると何故いいのか,なんで理論なのか,などを簡単に説明しやすいように感じました.どう役立つのかという部分に関しても,様々な機械に応用できるため,話が広がりやすいです.私のテーマは水が流れている管であればどこにでも応用できますので,今後どのようなイノベーションが起こったとしても,水管がない世界は考えられず,ライフラインでも土木系でも機械系でも,マクロでもミクロでも,応用範囲は枚挙に暇がないと考えます(もちろん水管も一例にすぎません).

また,個人的には特定の機械・分野に興味がなかったので,その点はよくマッチしていました.逆に直結する応用先がないため,自分の研究がどう役立つのか実感しにくく,モチベーションが上がらない人もいるかもしれません.また,メインの学会は機械学会・混相流学会ですが,理論で発表しているのはおそらく金川研だけなので,少し浮いているとも感じます.

それ以外に基礎研究と応用研究のどちらがいいのかについてはそんなに思いつかないので,博士に進んでその研究を一生かけて続けるとかでなければどちらでもいいと思います.

<数値計算の割合と任意性>

D進可能性がある場合必須ですが,修士は希望に応じます.いわゆる大規模な数値計算とは異なり,1次元・準1次元の1本の式を解析し,理論の結果を検証する程度です.私はM1>理論:数値=9:1,M2>理論:数値=3:7ぐらいの配分で進めました.これは,M1である程度理論解析の大筋が完成したので,M2では細部を詰めつつ数値解析で検証と考察メインになったからです.殆どのメンバーは理論のみで研究を進めています.

<他研究室との比較としての印象:テーマ、生活、拘束など>

昨年度まで打ち合わせは対面でしたが,コロナの影響で完全オンラインになり,更に自由になりました.余裕で1週間旅行に行けるぐらいには束縛はありません(学会直前とかでなければ, 1週間ほど研究ができないことを正直に伝えても何も言われないはずです).おかげさまで非常にスケジュールが組みやすく,大学生活を満喫できたと感じます.飲み会など全体の集まりもなくなったので,もはや私はB4と話したことがないレベルです.この束縛のなさは全国的に見てもトップクラスだと思います.

また,引っ越したことで研究室が広くなりました.部屋自体は古いですが,備品およびエアコンは最新型なので非常に快適です.これからパーテーションを置いて個室のようにするらしいです.

<就活について>

理論研究であっても問題なく複数社から内定を得ることができました.M2の同期も,そこまで苦労せず第一志望から内定を得たはずです.

推薦を使う場合,研究室ではなく構造エネルギー専攻にまとめて推薦が来るので,どの研究室を選んだとしても有利不利は一切ありません.選考プロセスにおいても,日系企業は研究内容そのものではなく,研究を通じてどういう能力を得たか・実績はしっかり出ているか・自分の研究に誰よりも詳しく,質問が来ても自信をもって答えられるか・素人相手にもわかりやすく説明できるか,という面を重視するので,実験系や共同研究をしていると有利,理論や基礎研究は不利という考えは,全くもって間違いだと実感しました.学会の多さという意味では他の研究室より有利なので,ESに研究業績を書くような企業の場合はむしろ有利に進んだと感じます.

金川研の進路を見ると,ほとんどの人がメーカーに推薦を使いますが,インフラやコンサルもいます.これは構造エネルギー全体を見ても同じような傾向です.(M2)

学生視点の金川研紹介(6)

博士「後期進学」も検討中の学生に、以下、書いてもらいました(金川)。


今年度から金川研に来たM1学生です。時期柄、修士修了後の進路に関する比重が多くなっていますので、金川研に来た場合の進路の参考になればと思います。

なぜ金川研に来たのか?

実は、私は工シス出身ではありません。金川先生を知ったきっかけは学類時代に受講した「応用数学」という授業でした。金川先生の講義と資料はとてもわかりやすく、この先生の研究室であれば自分に合ったスタイルで研究ができると思い、専門を変えて金川研究室へ来ました。実際に半年間過ごしてみて、とても快適に研究活動をすることができています。

学会

金川研では、年1回以上の学会発表が義務付けられています。いつどこでどのような学会が開催されるのかは先生が知らせてくれるので、その中から参加したい学会を選びます。私は博士後期への進学を視野に入れていたので、M1の1年間に国内学会3回(福岡、日立、川越)と国際学会2回(仙台、サンディエゴ)の計5回に参加しました。交通費や宿泊費は全て先生に研究費から出して頂けるので、お金の心配をする必要はありません。ただ、学会は観光地で開催されることが多く、私の場合は観光したり美味しい特産品を食べたりするので、なんだかんだお金を使ってしまいます。

論文

金川研では、卒業までに査読付き論文を執筆することが求められます。かなりハードルが高いように思われるかもしれませんが、先生と二人三脚で仕上げていくので、最低限の文章力があれば論文は書けます。論文執筆は文章力を鍛える訓練の一つであり、かなり細かいところまで指摘されますが、この経験は就活中のエントリーシートや就職後の資料作成などできっと役立つと思います。

私の場合、新しいテーマであっても論文を早期に書きたいという意向を相談し、進学前から計画的に進めた結果、複数の査読付雑誌論文を投稿することができました。内1編は同期が筆頭著者の共著論文です。金川研では個人プレー(1人1テーマ)が原則ですが、テーマや相談次第では、研究室内学生のコラボレーションも可能な環境で、研究室外の方との共同研究の例もあります。

就職活動

金川研は機械系の研究室ですので、就職先として「自動車」「重工業」などのメーカーを志望するメンバーが多いです。これらの業界であれば学校推薦が使えますので、メーカー就職には強いと思われます。また、メーカー以外にも、航空機や鉄道などのインフラ系を志望しているメンバーもいますので、「金川研=メーカー」という訳でもありません。非線形波動の理論研究は機械だけに限らず、土木や医療への応用もあるので、特定の業界に縛られないという点は金川研の特徴と言えます。

理論系・基礎研究は就職が難しいと考える人がいるかもしれませんが、修士で就職するのであれば、不利になることは全くありません。理論的研究を通して、現象の背景にある物理を正しく理解していることをアピールすることで、就活を有利に進めることすらできると思います。実際に、先輩方は一流企業から内定をもらっていますし、同期たちは一流企業のインターンシップに受かっています。素晴らしい就活ノウハウが蓄積されつつありますので、新4年生のみなさんが就活する頃には、これらのノウハウを生かして就活を有利に進めることができるでしょう。

博士後期課程

私はこの半年間、博士後期課程(以後、博士)進学をある程度視野に入れて過ごして来ました。M1の自分が半年間調べた限りではありますが、金川研での博士課程について簡単に紹介します。この紹介文の読者の中に博士進学を考えている人は多くはないと思いますので、参考程度に読んでもらえればと思います。

金川研では、希望すれば、学会発表や論文投稿などをたくさんすることができます。博士課程では業績が非常に重要ですので、修士課程のうちから業績を積むことができるのは大きなアドバンテージになります。博士進学する人の多くは修士のうちに学術振興会特別研究員という制度(学振DC)に応募することになります。学振DCに採択されると、博士課程の3年間に月々約20万円(手取り約16万円)をもらうことができる上、この採択自体が研究業績となります。しかしながら、学振DCの採択率は20%程度であり、全員がもらえるわけではありません。採否を決めるのは博士課程での研究計画や意気込みなのですが、それが実現可能かを判断する基準が「修士課程での業績」です。金川研では修士課程のうちからたくさんの経験・業績を積むことができるので、学振DCの選考を有利に進めることができます。

また、博士修了後の就職先について、世間ではポスドク問題などと騒がれていますが、工学系に関しては無職になることはほとんどないです。ただし、博士の民間企業就職のしやすさは、実験系>数値計算系>理論系とは聞きます。金川研で博士を取る場合、理論だけをやると将来を狭めてしまうため、将来的には数値計算(あるいは実験も?)などを多角的にやることになります。以上のことも踏まえ、実際に私は、現在、理論よりも数値計算をメインに取り組んでいます。

現実問題として、修士で就職する方が安定した生活を送れますし、修士卒でも企業の研究職に就くことはできます。しかし、中には「どうも企業にピンと来ない」「お給料をもらえなくても大学の研究をしたい」「どうしても大学の先生になりたい」と考える奇特な人がいるかもしれません。そういう人は、ぜひ博士進学を視野に入れて、金川研に限らず色々な研究室を見てみると良いです。金川先生はもちろん、どの先生も親身になって相談に乗ってくれると思います。 (M1)

学生視点の金川研紹介’19(2/10)

早期卒業研究の履修学生に紹介を書いてもらいました(金川)。


研究内容や指導方針については、先輩方が既に書かれていますので(2018年度のリンク1, 2018年度のリンク2)、私は「研究室配属体験記」と題して

1. なぜ金川研の配属を希望したか
2. 実際それが満たされたか

の2点について、ご説明することにします。見てくださった方の研究室配属の参考になれば幸いです。

(研究室の学生の雰囲気などは、飲み会の日誌を見ればだいたい分かると思います。とは言っても学生が集まるのは飲み会の時くらいですが…)


1.なぜ金川研を希望したか?
金川研の配属を希望した理由は、大まかに次の2つです。

(i) 「効率よく研究を進めたかったから」
(ii) 「分かりやすいスライド発表の仕方や文章の書き方を身につけたかったから」

(研究テーマについてはあまり気にしていませんでした。)

(i) 私は早期卒業対象生で、今年度ある程度忙しくなる見込みがあっため、理論研究ならば、自分のペースで研究を進めることができるため、合間時間などを見つけて効率良く進めることができるだろうという思惑がありました。

(実験や数値計算だと実験装置準備やコードのコンパイルエラーなど、まとまった時間が必要であったり場合によっては大きく手間取ってしまったりするイメージがありました。)

加えて、過去の金川研の日誌に「雑務やゼミがない」と書かれており、予定がバッティングしないで済みそうというのも後押しになりました。

(ii) 将来携わりたい具体的な分野がなかったということもあり、個人的に研究テーマで研究室を選ぶ必要性をあまり感じなかったため、”何を研究するか”よりも、”研究を通してどんな技術を会得できるか”を重要視したいという考えがありました。

そんな時に、以前、金川先生が「(研究室学生の)文章を書く能力やスライド発表の技術を鍛え抜いていて自信もある」というような発言をしていたのを思い出しました。

分かりやすい文章の書き方や伝わりやすいプレゼンの仕方などは、将来必ず役に立つ技術であるため、本当なら是非身に付けたいと思いました。

そこで、金川研学生の卒研発表の様子などを見学し、「確かに分かりやすい」と感じたため、金川研に入ることを決めました。

(この時に発表していた先輩方は、8月に見学した機械学会で、全員が、優秀講演賞を受賞していました。)


2. 実際それが満たされたか
早期卒業で忙しいということで、金川先生にご理解を示していただき、私の授業の予定に合わせて研究の負荷を調節していただきかなり効率良く進めることができています。

基本的にゼミなどはなく、個別面談の打ち合わせを週1でやるのみで融通がきくため(時間の変更や進捗がない場合などは中止も可能)、予定がバッティングしたのは結局1度もありませんでした。

定期的に飲み会が開催されますが、自由参加なので自分の予定に合わせて参加できました。(参加メンバーは変わりますが、毎回6~7割くらいの参加率で、飲み会の場で一度も会っていない先輩がいるくらいにゆるいです。)

ちなみに今年度は夏休みの終わり頃にゼミが1回のみ開催されました。(昨年度以前は0らしいです)

研究室内の学生の研究内容を知るための報告会で、実際に、先日京都大学で行われた発表会の質疑応答の際に、先輩の研究内容を把握していたことが役立ちました。

このように明確な目的がある場合、今後もゼミなどが不定期で開催されることがあるかもしれませんが、目的のない定期的な集まり等は今後もないかと思います

スライド発表と文章の書き方については、研究室配属前と比べたら、多少は上手になった自信があります。

というのも、研究室配属される前ですが
「ぶっちゃけ自分そんな文章書くの下手じゃないだろ」みたいな意識が正直ありました。
(これを読んでいる人の中にもそんな意識がある人がいるのではないでしょうか。)

そのような意識はこの7ヶ月で壊されました

まず、卒業研究Aで「自身の研究内容を1000字程度で説明する」という課題が課されましたが、私が書いた文章を金川先生に添削していただいたところ、140箇所の訂正と元の文章の原型もなくなった修正案が返ってきました。

また、先述の京都大学でのスライド発表では、割と自信満々(ではないが7割くらい自信があった)スライドのたたき台を出したのですが、先生の指摘に基づいて修正していき、スライドの最終決定稿では原型がなくなりました。(最初のたたき台と最終稿とを見比べると分かりやすさが段違いです。)

ということで、私は研究室配属前、”如何に文章が書けないか”と”如何にプレゼンができないか”を自覚すらできていないステージにいたということに気づかされました(当時結構凹みました)。その時に比べたら、多少上達したのではないかと思います。

やはり、文章を書く力やプレゼンの能力を身に着けるには、「コツがあって〜」というよりかは、自分で作ってみたものを、『第三者に理由付きで』否定してもらい、それを元に作り直して〜という作業を地道に繰り返すしかないと深く感じました。

「なぜその文を入れたのか?」

「今回主張を述べるために本当に必要な文か?」

「文と文のつながりに飛躍はないか?」

など丁寧に指摘してもらい、文章がより良くなるように自身で考える、これを繰り返すことで文章を書く力が身につくのだと思います。

このような地道な作業に付き合っていただける指導教官がついてくれるチャンスは、研究室配属以外では、もしかしたら無かったかもしれない(職場の上司もそこまでの面倒は見てくれないはず)ということを考えると、金川研を選んでよかったと考えています。

まとめると

「効率よく研究を進めたかったから」

「分かりやすいスライド発表の仕方や文章の書き方を身につけたかったから」

の両方について、満足しています。

以上(某卒研生)

学生からの金川研紹介

金川研所属の4年生2名の「学生の視点」から、金川研の紹介を書いてもらいました。工シス3年で金川研に興味がある人は、卒研配属の参考にしてください(赤字:金川による横槍・補足)


金川研を選んだ経緯

僕は大学で特に「この研究をやりたい」などがなく、研究室によって就職先の選択肢が変ることはないということを聞いたため、先生との相性重視で選びました。金川先生の授業は何度か受け好印象を持っておりましたが、配属前の面談でも学生指導に対する強い熱意が感じられたためこの研究室を選ぶことにしました。

研究室生活と雰囲気

まず、本研究室は新設ということもあり、かなり自由な雰囲気です。縛りと言えば週一でゼミがある程度で、あとはどこで何をしようが、研究の進捗を生んでいる限り文句を言われることはありません。実際、僕自身研究室にいる時間は週で数時間程度です。

また、先生は大御所の先生方と比べると時間があるようで、少人数な研究室であることもあり、かなり綿密な指導を受けることができます。年齢も比較的近いこともあってか、研究やそれ以外の質問でも気軽にすることができます。

ただ、新設であることの問題点として先輩がいないことが挙げられます。大学院の授業で出るレポートや試験勉強などで過去問などが全くない状態だったのでその点では多少の苦労はありました。

[補足] 次年度は、博士前期(修士)1年に2名が進学予定ですので、先輩がいます(文責:金川)。

ゼミ

ゼミは基本週一で行われ、所要時間はだいたい2~3時間程度です。日にちなどはメンバーの予定を鑑みて決められ、昼過ぎ開始となることが多いです。内容としては各自の進捗報告、今後どういう方針で研究を進めるかについての簡単な議論、輪講です。

他の研究室がどのような雰囲気かはわかりませんが、本研究室は少人数なこともあり、思ったことなどの意見はかなり発言しやすいと思います。輪講では、研究に関連した論文を先生に選んでいただき、それを週ごとに分担し発表していきます。発表と言っても特に資料は作ったりせず、大きく時間を割くことはありません。

[補足] 「特に資料は作ったりせず」とありますが、A4用紙1枚のウィークリーレポート(今週何をやったか、どこで詰まっているか、今後何をするか、などを日本語と数式で書く。LaTeXを使用)の提出を課しています。パワーポイントは、聴衆を何となくわかった気にさせたり、誤解につながる危険性を秘めるので、金川研では、学会発表を除いて使用しません。見掛け倒しで中身の伴わない綺麗なスライド作成に酔いしれ、聴衆者の方々を騙しては、苦労して創り上げた研究成果が水の泡です。重要なのは、綺麗な「スライド」ではなく、中身が伴い、かつ、綺麗な「文書(とくに日本語)」を書くことであって、これこそが、社会でも通用する「文書執筆能力」に繋がります。事実、第1期生の4年生2名は、4月から9月まで執筆能力の修得「だけ」に力を注ぎましたが、下記学会発表前の数週間程度で、最低限のスライド作成能力・プレゼンテーション能力は修得できました。つまり、文書作成能力こそが基礎で、スライド・プレゼン能力とは応用なのです。基礎から取り組むことが自然です。強靭な土台さえあれば、特別な対策などしなくとも、発表力は自ずと身につきます(文責:金川)。

行事

行事は今のところ飲み会しか行われておりません。飲み会と言ってもかなり静かでおとなしいです。僕も同期も金川先生も自分から場を盛り上げるタイプではないのでそういう雰囲気ですが、新4年が盛り上げようとすれば乗ってくれると思います。他にも研究室として何か行事を作りたいなどがあれば歓迎です。

今年度は国内の研究集会で発表の機会を設けてもらったりしました。僕と同期もかなり苦い思いをしましたが良い経験になったと思っています。修士では海外の学会での発表も計画しているそうです。もちろん、国内でも海外でも出張の交通費、宿代は研究費から出してもらえます(ノーラン、2017年12月3日掲載)。

[補足] 研究室行事は、好き勝手で無謀な提案を歓迎しています。本年度は金川が飲み会を企画しましたが、そのような役回りは慣れず、すでにアイデアも尽きました。上記のように、先輩2名もどちらかと言えば保守的な性格と理解していますので(ただし寡黙で静かな人物でもない)、新入生がテンションを上げてくれることに期待しています。行事といっても、研究室メンバー全員が揃う必要はなく、金川抜きでの飲み会や同期だけの旅行なども歓迎です(文責:金川)。


教員

金川先生は研究室の学生と話すときも,授業と同じような落ち着いた口調で,声を荒げることは一切なく,安心して研究の進捗報告や相談,雑談ができます.研究に関しては,授業資料から分かるように,かなりの緻密さを求めますが,指導も非常に詳しく丁寧です.

反面,普段の私生活は少々乱れがみられ,ゼミに少し遅刻するなどということもありますが,いい意味で威厳がなく(笑),先生とのマンツーマン指導も全くストレスになりません.必要以上に話すこともなく,週1のゼミや隔週開催の食事会,出張や飲み会時にいろいろな雑談をしてくれます.

研究テーマ

現在の研究テーマは「気泡を含んだ液体中を伝播する進行波の波動方程式の導出」であり,4年生二人はそれぞれ違う領域における波動方程式の導出を行っています.ざっくり言うと,質量保存式や運動量保存式などを組み合わせて,一つの方程式に帰着させるということをやっています.

研究内容の決定は5月中旬~下旬でした.大学院の推薦入試の出願が6月上旬のため,その直前に決定しました.それまでは,週1のゼミを中心に、研究に必要な様々な知識をつけていきます.

[補足] 2018年度は、研究テーマをもう少し早めに決めようと思っていますが、基礎学習に一定の期間を割くことは重要な情報です。金川研のテーマは「ある程度の予備知識のもとで、実際に手を動かしてみないと、面白さに気付けない」基礎研究ですので、テーマを眺めただけではピンとこないと思います。「背景が壮大でも、いざやってみるとつまらないテーマだった」とは真逆です。例えるなら、金川の講義資料を読む前は熱力学は意味不明だったが、精読後には熱力学を面白いと思えた人であれば、99%間違いなく楽しめるテーマです。金川の講義資料との相性は、重要な判断基準といえますので、厳密性や論理性を放棄したい人はご遠慮ください(文責:金川)。

研究の進め方

全て手計算で,地道に紙とボールペンで計算を行っています.しかし,特別数学が得意である必要はなく,すごい閃きや発想が必要ということもありません.僕自身は,地道な作業は苦手ではない,数学は得意ではないが,数式を書くことが好き、という人間なので,研究内容が嫌になったことはありません.

金川研には,○時~△時は研究室にいなくてはいけない,といったコアタイムはありません.週1のゼミでの進捗報告のみ必須です.よって,研究はどこでやっても構いません.僕は平日は毎日研究室で研究していますが,同期は授業・ゼミがない日は研究室でほとんど見かけません(笑)。また,僕も一日中研究室にいるわけではなく,「1・2限授業 + 16:00まで研究」「9:00~15:00研究 + 17:30からサークル」「9:00~13:00バイト + 15:00~から研究」など,バイトやサークルとも両立・研究も毎日コツコツといった感じで研究しています.

[補足] 「全て手計算」とありますが、大学院進学も考える場合、「数値計算(コンピュータシミュレーション、プログラミング)」の要素が、何らかの形で入る可能性が高いです。ただし、全て手計算(純・理論解析)にこだわりたい場合は、その意思を尊重したテーマ・方向性を設定します。逆に「理論的考察の毛色が全くない、100%計算機任せのコンピュータシミュレーション」をやりたいならば、金川研は不適です(文責:金川)。

なぜ、どのような経緯で、金川研を選んだか

僕は「特にこれがやりたい!」という分野があったわけではなく,「車が好きだから熱とか流体に興味があるなあ,大学院まで行くし気が合う先生のところがいいなあ,何より研究室生活がストレスになるのは嫌だなあ」という感じで研究室を探しました.

金川研は,説明会後の個人面談で,金川研の良いところも悪いところも説明してくれただけでなく,何より金川先生から学生を丁寧に指導したいという熱意を感じ,ここなら手厚い指導を受けながら楽しんで研究をできそうだと思い,金川研を選びました(ヨシタカ、2017年12月1日掲載).

[補足] 原則、厳密性重視ですが、ブラックボックスとして使うことも少なくありません。例えるなら、イプシロンデルタ法には立ち入りません(文責:金川)。


文章自体は、4年生学生が書いたものですが、内容についての責任は金川にあります(文責:金川、2017年12月5日更新)。

ゼミ日誌

 11月21日のゼミでは,まず,輪講を行った.衝撃波管を用いた実験的先行研究として,気泡流中の衝撃波が招く気泡の挙動や分裂への理解を深めた.研究進捗報告では,両学生が遠方場について行った計算の結果を検討・考察した.導かれた非同次波動方程式は,slow modeと概ね同じ形となっており,結果に大きな矛盾は見られなかった.ただし,計算量が近傍場と比べて増えた結果,第二次近似の計算において,ミスがいくつか散見されたため,注意深く確認・修正する必要がある.得られた非同次波動方程式の非同次項を整理し,さらなる考察を重ねることが課せられた.
 また,少々早いように思われるが,昨日,駅前の禁煙居酒屋で金川研究室の忘年会を行った.店のオススメである刺身の盛り合わせやレンコンの天ぷら,金川先生が好物とボソッと放った牡蠣フライなどを注文したが,いずれも大変美味しかった.(文責:ヨシタカ)