3年間在籍したM2の学生に研究室紹介を書いてもらいました(金川)。


金川研での経験・生活について感想など書いていきます。研究室選びの参考になれば幸いです。3年間での研究業績としては、査読付論文3編(筆頭2編、非筆頭1編)、国際学会発表1件(オンライン開催)、国内学会発表6件(オンライン5件、現地1件)といった感じです。研究活動の中でも特に論文の執筆に注力したので、そこでの経験や就活のことなどを主に紹介していきます。

・学会発表
金川研は理論研究なので、最初は主に数式と向き合い、手計算を黙々と続けていくというイメージがありましたが、振り返ってみると実際はその後の研究成果を学会発表や論文を通して公表していくというアウトプットにかける労力・時間の方が多いと感じるくらいでした。学会は、ある程度結果が出た段階で参加していて、初回はB4の夏頃でした。成果が途中まででも研究の内容を話したり、他の研究者の発表を聴いたりすることで新たな知見が得られたと感じています。自分の場合ほとんどがオンラインでしたが、京都での学会発表や修論発表会など対面での発表はまた違った緊張感がありました。姿勢や目線、ジェスチャーなど気を付ける部分も多く、難しかったです。学会での経験は就活の面接にも活きてきたと思っているので、人前で話すことがあまり得意ではない自分にとっては非常に良い練習になりました。

・論文
論文については自力で0から書くというよりは、先輩方の論文を参考にして書く部分も多々ありましたが、研究テーマの意義や新規性など魅力が伝わるような書き方や学術的な英語表現について学ぶことが出来たと感じています。やはり論文は、今後何十年・何百年と残り、世界中の人が見ることのできるという点で価値があるので、やりがいを感じています。基本的には研究テーマと合致するようなジャーナルを先生が打診してくださるので、その中から、Impact Factorなどの数値を参考に影響力の大きい国際一流誌を狙うという感じでした。これまで何度か投稿論文がリジェクトされ、研究を否定されたような気持ちになり落ち込んだこともありましたが、諦めずに改良と投稿を続けていれば、最後には採択されたので、一喜一憂せずに気長に取り組むのが良いかもしれません。流れとしては、論文原稿を投稿し、査読者によるレビューが返ってくるので、それに対する回答書と改良版の原稿を再度提出し、認められれば採択となります。その後、著者校正として軽微な誤記などを修正し、掲載に至るといった感じです。自分の場合は全体で半年程度かかったと思います。中でも査読対応では、専門家の方々から鋭い指摘を幾つも受けるので、それに対して原稿の英語表現を見直したり、研究の意義を主張したりといった過程は一番大変でした。

・普段の生活など
研究はteamsを用いたオンラインでの打ち合わせやチャットで進めていき、自宅で研究を進めていたため、人と会う機会はそこまでありませんでした。M2の途中からはアパートでの一人暮らしから実家での生活に変わりましたが、特段問題なく研究を続けられたので非常に助かりました。研究以外では、アルバイトをしたり、たまに運動をしたりといった感じで基本的にはあまり外に出ないような生活でした。最近は研究室のメンバーが増えてきて、学生居室は前よりも賑やかになっているような気がするので、大学近くに住んでいる人は学生居室で研究を進めるのをオススメします。

・奨学金、短期雇用
金銭面に関しても少し触れておきます。自分は日本学生支援機構の第一種奨学金を借りており、大学院の2年間では研究業績が豊富な場合、全額あるいは半額返済免除といった恩恵を受けられる可能性があるため、それを目指していました。Impact Factorの高い査読付論文に筆頭著者で載っている先輩方が全員免除を受けていたので、先輩方にも相談しながら、早いうちから戦略を立てていきました。先生にも相談すればアドバイスを頂けます。それと年度によりますが、短期雇用として研究を進めることで月数万円の報酬が得られたこともありました。このように研究に力を入れることで、金銭的なメリットがあるというのもモチベーションになっていました。

・就活
就活は、研究と両立できるのが理想ですが、計算が中々上手くいかなかったこともあり、研究はかなり止まってしまいました。インターンシップの時期と学会が重なりそうになることもありましたが、先生に事情を話せばなんとかなります。コアタイムがなく、自分のペースで研究を進められるという環境も就活をする上では予定が立てやすく良かったです。面接では研究内容を聞かれることが多かったので、専門外の人にも分かりやすく簡潔に伝える練習をしていました。自分の場合、研究内容と志望職種の関連はそこまでありませんでしたが、特に不利になったとは感じませんでした。研究内容を分かりやすく伝えるプレゼン能力や矛盾なく一貫性を持って、相手に物事を伝えられるかといった論理的思考力の方が重視されていた気がします。なので、理論系は就活不利、実験は有利といったことは基本的には無いと思います。

・身についた点
専門分野である流体工学関連の知識なども学びましたが、やはり学会発表を通してのプレゼン能力や論文執筆を通しての論理的な文章を書く能力が一番培われたと思います。この能力が就活でも役に立ったと思いますし、今後社会人として働いていく上でも必要になるので、非常に良い勉強になりました。

最後に、これまで金川研の良い所を色々書いてきましたが、決して楽な研究室ではありません。計画を立てて、自主的にタスクをこなせない人には合わないと思います。ただ、真面目に研究を頑張りたいという意欲のある人にとって、金川研は良い環境だと思います。しっかりと情報収集し、自分に合った研究室選びを頑張ってください。(M2)