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JKA研究補助

公益財団法人JKA 2022年度 機械振興補助事業 研究補助 若手研究に採択され、ご助成を頂くこととなりました(2,000千円、2022年4月から2023年3月)。

   

超音波造影剤気泡の理論

超音波造影診断のために、脂質等の膜で覆われた気泡の力学について、90年代から、先駆的な理論研究がなされていました(de Jong, Church, Hoffなど)。しかし、現在に至るまで、単一あるいは数個の膜気泡の力学という制約が課されてきました。最近では、分子論などミクロな観点からの研究、生化学的な手法が盛んに見受けられる中でした。
 当該論文では、これらの従来培われてきたミクロな知見を、超音波診断の臨床応用を想定し、十分に多数の膜気泡を含む場合(マクロ理論としての多数の膜気泡を含む液体中の超音波伝播の問題)へと拡張したものです。膜に粘弾性体を仮定し、膜の粘性や弾性が超音波伝播に及ぼす影響を、非線形音響学と混相流体力学の観点から、理論的に考察しました。ただし、当該問題設定は、まだ、最も簡単な場合に限っており、今後、膜の力学特性など、様々な拡張・発展が必要な中です(2021/6/25)。
 
続編として、1編がChem.Eng.Sci.に採択され、1編を国際誌に投稿中です。
 
 
菊地(M2)の超音波造影診断用の膜で覆われた気泡に関する理論解析の論文が、公開から26日で2,058回ダウンロードされ、Jpn. J. Appl. Phys.誌のmost readの1位になりました(2021年6月6日時点)。
 
 → 残念ながら、その後、1位から転落していましたが、公開から321日で10,868回ダウンロードされています(2022年3月30日時点)。

Phys. Fluids掲載

抗力・熱伝導・粘性・音響放射という4種類の散逸性が、気泡流中の圧力波に及ぼす影響を理論的に考察した成果が、Physics of Fluids 誌 (IF=3.514, SJR = 1.4, SNIP = 1.64, CS = 4.9) に採択(2021年3月1日)、掲載されました(2021年5月18日)。

気泡に働く抗力が波の散逸性を増加させ、気泡の並進運動が波の非線形性を増加させることを、理論的・数値的に示した、Yatabe et al. (Phys.~Fluids33(3), 033315, 2021) の続編です。気泡に働く抗力を考慮の上で、弱非線形波動方程式を導出した先行研究は見受けられません。抗力が「流れの」減衰に寄与することは想像がつきます。しかし、非振動成分である抗力が、振動成分である圧力波の減衰を招くことは、直感的に考えづらいという先入観があったと想像され、この点に新規性を有します。


Kanagawa, T., Ayukai, T., Maeda, T. and Yatabe, T., “Effect of Drag Force and Translation of Bubbles on Nonlinear Pressure Waves with a Short Wavelength in Bubbly Flows,” Physics of Fluids, Vol.~33, Issue 5, 053314 (2021.5). [open access]

Phys. Fluids掲載(Yatabe et al., 2021; Featured Article)

2021年3月17日付で、谷田部貴大(M2)が筆頭著者の論文が、米国物理学協会発行の Physics of Fluids (IF=3.5, SJR=1.4, SNIP=1.64, SC=4.9) 誌に掲載され、Featured Article (Journal’s Best) に選ばれました。[筑波大学HP]

気泡の並進運動が圧力波の非線形性を増加させ、気泡に働く抗力が圧力波の散逸を招くことを、初めて理論的に示したものです。さらに、抗力による散逸は、音響放射による散逸とは異なるメカニズムであることを、長周期数値解析によって示しました。現在、粘性と熱伝導を含め、粘性・熱・音響放射・抗力という4種類の散逸の比較を進めており、続報も Phys. Fluids 誌より出版予定です。

Yatabe, T., Kanagawa, T. and Ayukai, T., “Theoretical Elucidation of Effect of Drag Force and Translation of Bubble on Weakly Nonlinear Pressure Waves in Bubbly Flows,” Physics of Fluids, Vol. 33, Issue 3, 033315 (2021.3). [open access] 

学生視点の金川研紹介’20(1)

学生視点の金川研紹介の一環として、M2学生に、研究室紹介の一部として、理論研究、基礎研究、就活との関連などについて、以下、書いてもらいました。理論系研究室であることは、配属検討者に、面談などで過去に強調してきた一方で、「基礎研究とは何か? 基礎のウリは何か?」などは、一口で説明することが難しく、定義も人によって異なると認識しており、説明会等で詳しく説明をしてきたとはいえず、自戒を込めて、掲載します。「基礎」は、やってみた結果、好きになる可能性も大きいと思います。

金川個人は、学部生頃から今に至るまで「基礎」に強い関心を抱いており、工学系だからこそ腰を据えた基礎研究が大学人として必須とも信じていますが、そのような研究観念面で、学生との価値観は一致しなくてよいと考えています。実際、配属学生のうち、「基礎」に関心を持って選んだ学生は2~3割程と把握します。一方、殆どの学生は「理論」を根拠に選んでいます。「基礎」とは異なり、「理論」の観点からのマッチングは求めています(金川)。


<理論研究とは?>

理論研究というと「フーリエ展開やε-δ法など,学類で学んだような煩雑な理論を自分で閃き,導かなくてはいけないのか??」というような,ひらめき・センスの世界というイメージがあるかと思いますが,実際は根気強さが物を言う世界です.

以下に私のテーマを例に,かなりざっくりと説明します.研究目的は「気泡を含む液体中を伝播する波を表す,1本の波動方程式を導き,考察する」というものです.気泡を含む液体中を伝播する圧力波は,ソリトンという安定した波か衝撃波のどちらかに変化しますが,その条件は未だはっきりと分かっていません.流体の連続式などを含む基礎方程式系をPCで解いてもいいのですが,非常に複雑なので時間がかかる上,初期流速,気泡サイズ,気泡の多さ・・・など設定しなくてはいけないパラメータが多く,全てのケースをこなすのはおそらく不可能です.そこで,私の研究では,10本ぐらいの基礎式から波の伝播のみを取り出し,1本にまとめます.これによって衝撃波へのなりやすさ,ソリトンへのなりやすさ,波の減衰しやすさなどを理論的に定義・評価でき,実験やシミュレーションいらずでどちらに発展しやすいのかを判別できます.具体的に波形を知りたいときも,1本なのでノートPCで簡単に解くことができます.

理論解析の大筋となる手法は金川先生が博士時代に考案したものがベースになっています.この研究も同様のテーマであるものの,無視している物理現象が多いです(気泡の生成・消滅や熱の効果など).これらを考慮するために多くの先行研究を調査し,スタートとなる基礎式を変更して再導出することで,より現実に近づけたモデルを提案し,その影響について数学的・物理的に考察するという流れで研究を行っています.すなわち,ある程度のレールは引かれているので,突飛な発想やひらめきなどは必要ではなく,膨大な手計算を丁寧にやり遂げる力や,数式が表す意味を理解する力が必要です(博士はわかりません).

<基礎研究とは?>

基礎研究についてですが,意外にも就活で話しやすいと言う点が挙げられます.応用研究(○○に使われる○○という部品の○○部の形状改良を通じた効率上昇など)だとその背景,研究の目的などが特定の機器に限定されるため,専門用語や説明しなくてはいけないことが多く,知らない人にはなかなか伝えにくいように感じます.基礎研究(気泡流中圧力波のメカニズム解明)は,特定の機器に限定せず,根本となる物理現象から説明し,それがわかると何故いいのか,なんで理論なのか,などを簡単に説明しやすいように感じました.どう役立つのかという部分に関しても,様々な機械に応用できるため,話が広がりやすいです.私のテーマは水が流れている管であればどこにでも応用できますので,今後どのようなイノベーションが起こったとしても,水管がない世界は考えられず,ライフラインでも土木系でも機械系でも,マクロでもミクロでも,応用範囲は枚挙に暇がないと考えます(もちろん水管も一例にすぎません).

また,個人的には特定の機械・分野に興味がなかったので,その点はよくマッチしていました.逆に直結する応用先がないため,自分の研究がどう役立つのか実感しにくく,モチベーションが上がらない人もいるかもしれません.また,メインの学会は機械学会・混相流学会ですが,理論で発表しているのはおそらく金川研だけなので,少し浮いているとも感じます.

それ以外に基礎研究と応用研究のどちらがいいのかについてはそんなに思いつかないので,博士に進んでその研究を一生かけて続けるとかでなければどちらでもいいと思います.

<数値計算の割合と任意性>

D進可能性がある場合必須ですが,修士は希望に応じます.いわゆる大規模な数値計算とは異なり,1次元・準1次元の1本の式を解析し,理論の結果を検証する程度です.私はM1>理論:数値=9:1,M2>理論:数値=3:7ぐらいの配分で進めました.これは,M1である程度理論解析の大筋が完成したので,M2では細部を詰めつつ数値解析で検証と考察メインになったからです.殆どのメンバーは理論のみで研究を進めています.

<他研究室との比較としての印象:テーマ、生活、拘束など>

昨年度まで打ち合わせは対面でしたが,コロナの影響で完全オンラインになり,更に自由になりました.余裕で1週間旅行に行けるぐらいには束縛はありません(学会直前とかでなければ, 1週間ほど研究ができないことを正直に伝えても何も言われないはずです).おかげさまで非常にスケジュールが組みやすく,大学生活を満喫できたと感じます.飲み会など全体の集まりもなくなったので,もはや私はB4と話したことがないレベルです.この束縛のなさは全国的に見てもトップクラスだと思います.

また,引っ越したことで研究室が広くなりました.部屋自体は古いですが,備品およびエアコンは最新型なので非常に快適です.これからパーテーションを置いて個室のようにするらしいです.

<就活について>

理論研究であっても問題なく複数社から内定を得ることができました.M2の同期も,そこまで苦労せず第一志望から内定を得たはずです.

推薦を使う場合,研究室ではなく構造エネルギー専攻にまとめて推薦が来るので,どの研究室を選んだとしても有利不利は一切ありません.選考プロセスにおいても,日系企業は研究内容そのものではなく,研究を通じてどういう能力を得たか・実績はしっかり出ているか・自分の研究に誰よりも詳しく,質問が来ても自信をもって答えられるか・素人相手にもわかりやすく説明できるか,という面を重視するので,実験系や共同研究をしていると有利,理論や基礎研究は不利という考えは,全くもって間違いだと実感しました.学会の多さという意味では他の研究室より有利なので,ESに研究業績を書くような企業の場合はむしろ有利に進んだと感じます.

金川研の進路を見ると,ほとんどの人がメーカーに推薦を使いますが,インフラやコンサルもいます.これは構造エネルギー全体を見ても同じような傾向です.(M2)

研究テーマ

「気泡」と「音響」をキーワードに、熱・流体力学の基礎的な諸問題に取り組んでいます。
「流体力学と固体力学を別々に扱うべきではない」という考えのもと、連続体力学の枠組みを広げるべく、弾性波など固体力学の問題にも着手し始めています。
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手法として、手で解けるところまでは数学的理論解、手で解けなくなってから初めて計算機の力を借りるというスタンスを基本方針としています。
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以下に、具体的なテーマを挙げるとともに、基礎(学術)寄りか応用(産業・工業)寄りか、理論(手計算)・計算(数値解析)・実験のいずれに該当するかなどを示します:
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(1)【基礎】【理論(+計算)】【2017年度4年生(2名)が遂行中】
気泡流中の非線形波動の理論解析と数値計算
 -水中衝撃波のソリトン遷移の実現によって、次世代型ポンプに搭載すべき革新的損傷抑制技術の数理的基盤を築く-
(2) 【基礎~応用】【理論(+計算)】
生体内流れと超音波の医療応用に向けた基礎研究:
 a) 音の非線形性の大きさの適切な分割による、生体軟組織の低侵襲ガン治療に向けた数学的理論解析
 b) 超音波造影剤の弾塑性力学と気泡力学の融合による数学的理論解析
(3) 【基礎】【理論】
音と泡と熱の接点にある非線形波動の物理の新境地:
(a) 水中衝撃波の音響ソリトン遷移、(b) 音響共鳴振動など
(4)【基礎】【理論】
3圧力2流体モデルのエネルギー方程式の導出とその数学的適切性
 ーキャビテーションを伴う分散相混相流のモデリングー
(5)【基礎(~応用)】【理論(+実験)】
ベンチュリ管実験と不均質音速理論の融合による高濃度気泡流音響学の創成
(6) 【基礎】【理論】
熱力学の新たな体系化への挑戦
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金川研究室は、派手な工学応用研究や、実験主体の研究は行いません。
数学が嫌い/物理が苦手な人、確固たる基礎学力を軽視して研究だけに専念したい人、流行り好き・派手好きな人、工学部や工学系大学院を就職予備校と捉える人には、金川研究室は、マッチングしません。