研究室配属時期になりました。今回から、金川が流体力学関連科目のうち2単位を担当し始めた学年であることもあり、これまでの配属とは異なる傾向になる可能性を想定しています。また本HPは、更新をサボりにサボっていたためか、研究内容にほとんど触れていませんでした。実際のところ、一方通行の研究紹介を見て、何となく面白い・つまらないと思うことに、あまり意味がないと思うのも理由ですが。そこで以下、当たり障りのない記述ですが、研究内容を紹介します。工シス生は、配属やその他の詳細を赤裸々に記したmanabaを参照ください(2024/12/3 金川)(随時更新予定)。

研究内容

応用流体力学の内容が好きだったという人(成績の良し悪しによらず)の配属を強く歓迎します!!

ただ、研究としては、あれほどこだわった添え字は殆ど使わず、1次元現象をメインにしています(添え字を使いたい人向けのテーマもあります)。流体力学に限らず、熱力学や固体力学など、様々な力学を理論的に(数学をベースに)扱い、物理現象を解明しています。流体の理論をやりたい人は大歓迎ですが、数学を使って何かしたい人にも合致します。最近は、各種データサイエンスとの融合を図っています。

応用先としては、医療(超音波による癌治療や造影診断)が中心ですが、ターボ機械と航空宇宙(ロケット液体燃料)、火山噴火・液晶・ガラスなど、色々と見据えています。特定の応用には興味がない、固執がない人の方が、むしろ楽しめる研究室であると思います。某企業との共同研究も開始予定です。

流体力学の基礎方程式の刷新を目指す(学生に課す例はレアだが参考情報)

金川個人の究極的な目標・関心対象は、連続体(特に流体)力学の基礎方程式系を刷新することです。少なくとも過去10年程は考えていることであり、考えは変わっていません。どのようにすれば刷新できるか、具体的なことはわかりません。難しいので、まだ殆ど手をつけられていません。願望で終わってしまい、実際にできるかも全くわかりません。極論、固体と流体を分けずに、理論的に統合するような思想です(「流体構造連成問題」という、数値計算・解法とは別です)。自然と、応用流体力学の講義において、自ずと、この辺りの思想が表れてしまっているかもしれません。

配属希望者が、上記思想を受け入れられると思う必要は勿論ありません(業界内でもかなりレアな思想だと思います)。(真面目に取り組んだ)学生が、テーマのせいで卒業・修了できないという事態は避けるべきと考えています。上記のように途方もない研究テーマを与えてしまうと、結果が何も出ないことが想定されます。特に卒論の段階では「ほぼ確実に結果が出るであろう」ものを与えます(それではつまらないと思う人もいるかもしれません)。なお、卒修論において、学生にテーマを考えさせる研究室ではありませんが、博士後期あたりまで進むと、自身でテーマを見つける学生が出てきます。

ですが、上記の思想に何かしら共感出来る場合、間違いなく楽しめる研究テーマはそろっています。実際、気体と液体が混じった「混相流(流体力学の中では比較的大きな分野)」に対して、ひたすら基礎方程式を作る、添え字まみれ、体積積分・面積積分まみれの研究を行い、博士号を取得した学生(鮎貝崇広氏)がいます(筑波大学長表彰(倍率250倍)を前期と後期で2度受賞、日本混相流学会賞受賞、その他業績多数)。実は、「混相流」であれば基礎方程式はどれだけでも作ることができます。だから混相流の研究をやっているという動機もあります。研究はオリジナル(=誰もやっていないか?)が重要ですから、ひたすら基礎方程式の勉強をしていても、研究には進むことができないのが歯がゆい所です。金川個人、学生時代には、勉強は好きだけども、研究が好きかどうかはよくわからず、研究への向き不向きもわからなかったです。基礎方程式のテーマは、博士前期までの3年間では厳しいと思いますが、関心があれば申し出てください(そのようなテーマも、把握の限り、国内では当研究室以外ではやられていないようです)。

博士後期まで行かない、多くの配属者の場合には、より現実的・具体的なテーマを与えています。それでもやはり「混相流」がメインとなるのですが、主な対象は「マイクロバブル」や「超音波」です。マイクロバブルは、特に最近、様々な所で聞くワードだと思いますが、ピンと来なくても構いません。それでもやはりすべての出発点は基礎方程式系というスタンスだからです。研究対象に関心を持つ学生よりも、数学的側面に関心を持つ学生の方が明らかに楽しめる研究室であり、実際に、配属者の大半が後者です。ひたすら手を動かして、基礎方程式をどんどん近似していき、シンプルできれいな方程式を導く、というものです。なお最近は、数理解析ソフトウエアに微積分計算を任せて、手を動かさずに計算を行う学生もいます。

去年までの配属生は、「理論的なことをやりたい、紙とペンで勝負したい」という志望理由が大半であり、「マイクロバブルや超音波」には特段の関心はないパターンが多かったです。ただ、やっていくうちに、マイクロバブルや超音波の魅力に気づいているようです。自分自身も、約15年前の学生時代には、「流体力学の理論をやりたい」とは思っていましたが、特段研究対象に固執はなく、「マイクロバブルと超音波」のテーマを与えて頂いたことで、結果的に、いつの間にか研究対象にも関心をもち、続けているという経緯です。

2025年度配属生が9期生になりますが、博士前期を修了するまでに学生の全員が表彰実績を有し、殆どの学生が一流の国際誌に論文を発表(=歴史に永久に名前が残る)しています。アクティビティは極めて高く、力のつく研究室です。

# 以上の研究・研究室説明は、学類生を対象にしたものであり、厳密性に欠ける書き方をしています。

HPから抜粋:

 学生視点の研究室紹介1(昨年度B4、現M1) 

 学生視点の研究室紹介2(昨年度M2、現某企業)

 学生視点の研究室紹介3(昨年度M1、現M2・次年度D1) 

 学生視点の研究室紹介4(昨年度M2、現D1)