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学生表彰

日本機械学会第32回バイオフロンティア講演会にて、本多(B4)の口頭発表「超音波造影気泡の集団の音響特性に関する連続体スケールからの数理モデルの提案」が Outstanding Student Presentation を受賞しました(対象講演151件のうち20件が受賞)(2022年1月13日)。

学生視点の金川研紹介’21(4)

M1の学生に金川研紹介をかいてもらいました(金川)。


M1の観点から研究室紹介文を書こうと思います。

金川研を「選んだ理由」「研究の特徴」「研究室の特徴」については去年記載したので割愛します。強いて書くと,私は今年一年も研究では大学に行きませんでした。今回は「研究活動の内容」に絞って内容を書こうと思います。

・研究活動の内容

 「研究の特徴」と何が違うんだ,という話ですが,具体的にどのような活動をしているかを書きます。研究の物理的内容や手法に興味がある場合は,去年の物を見てください。具体的な研究活動としては,「理論解析」「動向調査」「学会準備・発表」「論文執筆・投稿」などをしています。

 「理論解析」が一般にイメージする“メインの”研究です。他の研究室では「実験」や「数値計算」でしょうか。ある物理現象を表す方程式を導出するために,計算を毎日のように行います。ここで結果が出ないと学会で発表することも論文に書くこともないので,4年生ではこれのウェイトが大きくなると思います(私もそうでした)。なお,結果の考察のために数値計算を行うこともよくあります。「数学嫌いの人は金川研には向かない」という話がよくありますが,数学といっても解析学(微積分と微分方程式)や線形代数というよりは,熱力学や振動工学のような式変形が近いです。微積の知識ももちろん使いますが,式変形に抵抗がなければ多少数学が「苦手」でもやっていけると思います(嫌いだとおそらく苦痛なだけです)。「理論解析」では数学・物理的な知識は勿論ですが,過去の研究や物理現象との整合性から今やっていることが正しいのか考えることが(私は)よくあるので,批判的思考や客観性も身につくのではないかと思っています。

 「理論解析」によって結果が得られると,学会や論文でその成果を発表します。学会発表について,参加学会にもよりますが,平均的には学会は開催の何か月か前に申し込みをし,2か月ほど前までに「アブストラクト」という短い研究紹介文を書いたり,発表原稿としてA4用紙2枚ほどに研究概要をまとめたりします。申し込みや参加費の支払いはほとんどの場合先生がやってくださるので,このアブストラクトや発表原稿を書くのが,学会開催約2か月前の学生がやることになります。そして,学会当日までに発表スライドを作成し,当日発表というような流れです。アブストラクトや発表原稿,スライドについては,書いて先生に添削してもらい,直して先生に添削してもらい,の繰り返しになります。他の研究室紹介文にもところどころ書いてありますが,この添削がかなり厳しいです。細部までかなり突っ込まれますが,いまだに内容が意味不明なことで言われたことはないので,理不尽なことはないはずです。たまに,「内容自体は理不尽ではないが,理由が理不尽」のようなことで言われることもありますが,それが嫌な時にはきちんと言えば伝わるので,その点での理不尽さはないと思います。なお,この指導もあってか,プレゼンはうまくなるようです。インターンシップなどで発表の機会がたまにありますが,上手だと言われることがあります。学会講演賞を取る人もたまにいますが,2年間やってきて運要素がかなり強いと思いました。なのでプレゼン力をじっくり磨いておいてチャンスが来た時に逃さなければいつかは取れると思いますが,発表がどれだけ上手くても毎回取れるとは思わない方がいいです(本当に上手な人は取れるのかもしれませんが)。話は変わりますが,私はオンラインの学会以外参加したことがないです。これが良いか悪いかは人によると思いますが,現地開催が良い方は先生に学会予定を聞いてみてください。

 余談1:海外の学会は1年を通してぽつぽつとありますが,日本の学会は8~9月に集中していることが多いので,夏はそれなりに忙しいです。夏休み遊びたい方はこれも先生に相談してみてください。なお,教育実習などのはずせない予定がある場合はそちらを優先できます。(そもそも学会参加自体は任意です。)

 余談2:金川研の学生はいろいろな学会に参加しますが,基本的には工学系の流体関連の学会に参加することが多いです。工学系学会において理論研究はそれほど多くないように見えますが,中でも「混相流(金川研の研究対象)」の理論研究を発表されている学生の方はこれまで見たことがありません(一方で海外では混相流の理論研究も盛んと聞いています)。そのため,混相流の理論研究を学生(学部生や修士学生)が主体的に取り組めるという意味では,国内では(恐らく)唯一の研究室と思いますので,誰もやっていないことをやりたいという方には向いているかもしれません。

 最後に論文について書きます。ある程度結果がまとまると,論文を書かないか,という話になり,書く意志があると論文を書けます。(私は書く意志があったので書きましたが,書く意志がない場合は書かなくてよいのだと思います。といっても研究室の他の方々は書いているので何とも言えない気持ちになりそうですが。)これも先ほどと同様に,書いて先生に添削してもらい,直して先生に添削してもらい,の繰り返しで進んでいきますが,学会発表原稿とは全く色が異なります。具体的な違いは,文量や一字一句の重みでしょうか。論文はそれを読んで同じように計算をすれば同じ結果が得られるように書くので,文量は必然的に多くなります。それだけでなく,同じ結果が得られるためには誰が読んでも一意に読み取れるように書かなければなりません。そのため,接続詞1つの使い方から注意して執筆します。このようにして書いたものを先生に添削してもらいますが,自分では注意して書いているつもりでも,別の取り方ができる文がかなりあるため,そこを指摘してもらいます。この添削が学会の際の添削よりも厳しいな,と私は感じました。一度指摘されすぎて少し辛かったことがあったので,もう少しマイルドにしてください,と言ったところ,それ以降はマイルドになったのでメンタルに自信がない方でも言えば大丈夫だとは思います。論文の投稿後には,査読者とのやり取りがあるようですが,私は現在投稿中のためこれからになります。なお,私は英語の原稿を書きましたが,それにあたって特別な英語力は必要ないと感じました。むしろ論文での英語と「学校の勉強での英語」はかなり違うので,基本的な文法だけ押さえておけば問題ないと思います。

 余談:論文を修士のうちに書くことは珍しいらしいです。金川研では基本的に皆さんが書いているようですが,「適当に過ごしていれば適当に書ける」というものではなく,それなりにしっかり時間をとって打ち込まなければ書けないものだということは書いておきます。

 ここまで書いて「動向調査」について書いてないじゃないか,と思ったかもしれませんが,私はこれをあまりメインではやっていません。文献を調べることによって,他の研究の内容や自分の研究との整合性,その立ち位置などを把握します。

 このように4つほど簡単に書きましたが,金川研の良いところの1つは,研究者としてやるべきことを多く体験できる点にあると思います。論文の段落でも少し書きましたが,他の研究室では動向調査と実験だけ,実験と学会だけ,などあると思います。研究者志望でなくても,研究に浸かりたい方には特におすすめの研究室だと思います。といっても人には向き不向きがあるので,ここの部分はやりたくない,などあれば希望は聞いてくださいます。研究をやってみなければ向き不向きはわからないので,その点で心配する必要はないと思います。逆にやりたいことだけをできる可能性もあるかもしれません(そこは先生に確認してください)。

 また,発表や原稿に対する先生の指導が厳しい,ということを書きましたが,逆に書くと自分の指導のために多くの時間を割いてくださいます。先生も常に空いているわけではありませんし,研究室の学生は他にもいますが,平日休日時間帯関係なくレスポンスを返してくださいますし,打合せも定期的に入れてくださいます。他の研究室は知りませんが,きちんとした指導を受けられる,という点では金川研は自信を持ってお勧めできます。ちなみに上にも2カ所ほど書きましたが,研究や研究指導の何かに関して嫌な部分や辛い指摘があったら先生に直接言えば伝わるので,先生に意見が言いやすいという点は良いと思います。(といっても,言いやすいというのは先生が受け入れてくださるという意味なので,自分が言うアクションをしなければ意味はありませんが。)なお,厳しいというのは別に添削の際に暴言を書かれたり言われたりするわけでは全くありません。淡々と「ここの論理構造がおかしい」「ここではなぜ逆接を使っているのか」など理詰めで指摘されるだけですが,余りにも妥協がないので,厳しすぎると感じる人もいるかもしれません。その点では,金川先生の講義でmanabaに掲載されるテストの講評のような感じで,あくまでも答案の内容について,ひたすら理詰めで批判や指摘がなされます。

 余談:先生が厳しいのは文章やスライド,発表に対してで,他はあまり厳しくないと思います。この点でも講義と似ている気がします。論文などの目安の締め切りがあるものは時間を意識してお話をしますが,計算の結果がなかなか出なかったとしても(計算をしていれば)特に何も言われません。その観点からすると,自分でタスク管理する力が身につくと思います。というより身につかないといつまでも結果が出ません。

・最後に

 やっぱり長文になってしまいました,すみません。どこの研究室も良い点と悪い点の両方を持っていると思います。適当な理由や気分で決めると,悪い点が見つかったときに辛いだけになりますが,それなりの理由を持って入った研究室では辛いことがあっても目標などのために頑張れると思います。最低でも1年間過ごす研究室ですので,妥協せずにいろいろな場所を見て納得する1つを決めてください(M1)。