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学生視点の金川研紹介(6)

博士「後期進学」も検討中の学生に、以下、書いてもらいました(金川)。


今年度から金川研に来たM1学生です。時期柄、修士修了後の進路に関する比重が多くなっていますので、金川研に来た場合の進路の参考になればと思います。

なぜ金川研に来たのか?

実は、私は工シス出身ではありません。金川先生を知ったきっかけは学類時代に受講した「応用数学」という授業でした。金川先生の講義と資料はとてもわかりやすく、この先生の研究室であれば自分に合ったスタイルで研究ができると思い、専門を変えて金川研究室へ来ました。実際に半年間過ごしてみて、とても快適に研究活動をすることができています。

学会

金川研では、年1回以上の学会発表が義務付けられています。いつどこでどのような学会が開催されるのかは先生が知らせてくれるので、その中から参加したい学会を選びます。私は博士後期への進学を視野に入れていたので、M1の1年間に国内学会3回(福岡、日立、川越)と国際学会2回(仙台、サンディエゴ)の計5回に参加しました。交通費や宿泊費は全て先生に研究費から出して頂けるので、お金の心配をする必要はありません。ただ、学会は観光地で開催されることが多く、私の場合は観光したり美味しい特産品を食べたりするので、なんだかんだお金を使ってしまいます。

論文

金川研では、卒業までに査読付き論文を執筆することが求められます。かなりハードルが高いように思われるかもしれませんが、先生と二人三脚で仕上げていくので、最低限の文章力があれば論文は書けます。論文執筆は文章力を鍛える訓練の一つであり、かなり細かいところまで指摘されますが、この経験は就活中のエントリーシートや就職後の資料作成などできっと役立つと思います。

私の場合、新しいテーマであっても論文を早期に書きたいという意向を相談し、進学前から計画的に進めた結果、複数の査読付雑誌論文を投稿することができました。内1編は同期が筆頭著者の共著論文です。金川研では個人プレー(1人1テーマ)が原則ですが、テーマや相談次第では、研究室内学生のコラボレーションも可能な環境で、研究室外の方との共同研究の例もあります。

就職活動

金川研は機械系の研究室ですので、就職先として「自動車」「重工業」などのメーカーを志望するメンバーが多いです。これらの業界であれば学校推薦が使えますので、メーカー就職には強いと思われます。また、メーカー以外にも、航空機や鉄道などのインフラ系を志望しているメンバーもいますので、「金川研=メーカー」という訳でもありません。非線形波動の理論研究は機械だけに限らず、土木や医療への応用もあるので、特定の業界に縛られないという点は金川研の特徴と言えます。

理論系・基礎研究は就職が難しいと考える人がいるかもしれませんが、修士で就職するのであれば、不利になることは全くありません。理論的研究を通して、現象の背景にある物理を正しく理解していることをアピールすることで、就活を有利に進めることすらできると思います。実際に、先輩方は一流企業から内定をもらっていますし、同期たちは一流企業のインターンシップに受かっています。素晴らしい就活ノウハウが蓄積されつつありますので、新4年生のみなさんが就活する頃には、これらのノウハウを生かして就活を有利に進めることができるでしょう。

博士後期課程

私はこの半年間、博士後期課程(以後、博士)進学をある程度視野に入れて過ごして来ました。M1の自分が半年間調べた限りではありますが、金川研での博士課程について簡単に紹介します。この紹介文の読者の中に博士進学を考えている人は多くはないと思いますので、参考程度に読んでもらえればと思います。

金川研では、希望すれば、学会発表や論文投稿などをたくさんすることができます。博士課程では業績が非常に重要ですので、修士課程のうちから業績を積むことができるのは大きなアドバンテージになります。博士進学する人の多くは修士のうちに学術振興会特別研究員という制度(学振DC)に応募することになります。学振DCに採択されると、博士課程の3年間に月々約20万円(手取り約16万円)をもらうことができる上、この採択自体が研究業績となります。しかしながら、学振DCの採択率は20%程度であり、全員がもらえるわけではありません。採否を決めるのは博士課程での研究計画や意気込みなのですが、それが実現可能かを判断する基準が「修士課程での業績」です。金川研では修士課程のうちからたくさんの経験・業績を積むことができるので、学振DCの選考を有利に進めることができます。

また、博士修了後の就職先について、世間ではポスドク問題などと騒がれていますが、工学系に関しては無職になることはほとんどないです。ただし、博士の民間企業就職のしやすさは、実験系>数値計算系>理論系とは聞きます。金川研で博士を取る場合、理論だけをやると将来を狭めてしまうため、将来的には数値計算(あるいは実験も?)などを多角的にやることになります。以上のことも踏まえ、実際に私は、現在、理論よりも数値計算をメインに取り組んでいます。

現実問題として、修士で就職する方が安定した生活を送れますし、修士卒でも企業の研究職に就くことはできます。しかし、中には「どうも企業にピンと来ない」「お給料をもらえなくても大学の研究をしたい」「どうしても大学の先生になりたい」と考える奇特な人がいるかもしれません。そういう人は、ぜひ博士進学を視野に入れて、金川研に限らず色々な研究室を見てみると良いです。金川先生はもちろん、どの先生も親身になって相談に乗ってくれると思います。 (M1)