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学生からの金川研紹介(2/2)

4年生学生に研究室紹介を書いてもらいました。


  1. はじめに
    この説明会資料は,先生から依頼されたものの,自分の裁量でこの長さを書いています.
    この説明資料を見てうわ,来年自分もこの量を書かないといけないんだ」のような誤解をしないでください.研究の休憩のつもりで書いていたら,この長さになっただけです.長い資料ですが,見たいところを掻い摘んで読んでもらえればと思います.
    この資料が皆さんの研究室選択に役立てば良いなと思っています.
  2. 志望動機
    もともと,大学では大学でしかできない研究(= 基礎研究)をしたいと考えていました.その中でも金川研を選んだのは,金川先生の授業内外での印象(授業のわかりやすさ,質の高さや,小テストの採点の速さ,きめ細やかさ,随時相談に応じてくれるなど) から極めて教育熱心な先生だと感じ,この先生から研究指導を受けたいと思ったからです.実際に配属されてみると,期待以上のきめの細やかな指導体制で,非常に満足しています.
  3. 居室
    現在の居室は第三エリアの某部屋で,来年度は(順調に卒業/進級できれば)M2が2名,M1が3名,B4が? 名となる予定.
    配属されるとパソコン(デスクトップ)1 台と机・椅子・キャビネット一式が支給(全て新品)されます.さらに大きなソファ(主に睡眠用) が1つと大机(使ったのは去年の居室での飲み会の時のみ) が1つ.睡眠用のソファは,主に自分が1限の授業日に大学に早く来すぎたときに仮眠用に使っているだけで,誰かが徹夜するために使っている訳ではないです.
    来年度は明らかに現居室のキャパがオーバーするので,居室自体が変わるか,現居室のほかにもう一つ居室が増える可能性があるらしいです(詳しくは先生に聞いてください).
  4. 打合せ
    金川研では,研究室全体で集まって研究進捗等を発表する所謂「ゼミ」はなく,代わりに「打合せ」という名目で週1回に先生と一対一で進捗を報告します.先生からマンツーマンで緻密な指導を受けることができます.
    打合せの時間は時期によってまちまちです.研究に詰まったりした内容を相談する時や,予稿の添削などの打合せでは1時間半くらいかかるときもありましたが,計算(作業)だけをしただけの週は30分くらいで終わったりもします.ただし,「5時間,6時間も延々とやる」みたいな非効率なことはないです.
    また週1で打合せと書きましたが,アポイントメントを取れば週に複数回指導してもらったり,逆に進捗がない時も先生に連絡すれば,打合せがなくなるときもあります.例えば,10月の京大での発表前後では,発表前に週2で発表の練習を見てもらいましたし,8月に研究に詰まりに詰まって進捗がなかったときは「もう少し自分で考えたい」と連絡して,打合せをなくしてもらいました.基本的に週1ですが,個人の事情に合わせて流動的に日程を調整してもらえる点も,よくよく考えると,この研究室のおいしい部分だなと思います.
  5. LATEX
    金川研では,進捗報告用の文書作成などの際にLATEXを使用します.規制の緩い金川研ですが,LATEXの使用だけは徹底しています.
    ちなみに現M1とB4は情報実習での課題を除き,全員配属されてから初めてLATEX を使い始めたので,使い慣れてないからと言って,あまり心配する必要はありません.使い始めてから1ヵ月くらいで慣れます.ちなみにLATEXは半日もあれば,簡単にインストールできますし,パソコンを持っていない人でも配属されれば,パソコンが支給されるので,不安になる必要はありません.
  6. 学会
    この研究室は学会への派遣機会が多い方だと思います.派遣の基準は基本的に先生からの打診か,自ら意欲を示して派遣してもらえる場合のいずれかだと思います.例年B4生は(結果が出れば)10月に京都の研究集会に派遣されています.
    ちなみに,自分は10月の京都での発表には,先生からの打診で派遣され,12月の東京での発表(数値流体力学シンポジウム)には,自分から志願して派遣してもらっています.
    国内学会は先生から打診されて行くものと, 任意で行くものがありますが,海外への派遣については今年のM1の方を見ていると半強制で派遣される様子です.ただ,先生が治安の悪い場所を好まないのか,治安の悪い国での学会は見送っているようです(実際にリオデジャネイロの学会を見送っていました).
    学会派遣において,交通費や参加費が必要となりますが,研究室の研究費から満額支給されます.ただし,国内学会では一時的に立て替えておく必要があります.M1の方に聞いたところ,海外学会では先生がすべて立て替えてくれているとのことです.
    学会の派遣にあたって,予稿(小規模の論文) を書いたり,発表の練習をしますが,こちらについても先生から複数回にわたってマンツーマンで指導していただいています.自分は東京での発表用の予稿作成時にかなり添削してもらいましたし,今現在も,この紹介記事を書く傍らで,来年のサンフランシスコの英文を添削して頂いています.
    B4生には今年から学会見学というものがあります.自分も京都で発表する前に,仙台へ学会見学へ行きましたが,事前に学会なるものについて雰囲気と流れを掴めておけたおかげで,京都で発表する時も,(主観的に) 万全の状態で臨めました.新B4が学会見学をするのか否か,するならどこに見学しに行くのかは先生に聞いてみてください.
  7. 教員
    研究指導では授業と同じと考えてもらって構わないと思います.基本的に厳密性重視ですが,道具として使うものは,適用できるかどうかを確認したらそのまま使うというスタンスを取っているように思えます.
    作文指導やプレゼン指導も受けたことがありますが,とても厳格だと思います.作文指導であれば,日本語の正しい使い方から,論理の展開の仕方まで細かく指導してもらえますし,プレゼン指導であれば,スライドの構成やプレゼン時の話し方,視線など手取り足取り指導していただけます.
    ただし,声を荒げて学生を萎縮させたり,精神論を語ったり,「こんなのもできないのか」と匙を投げるような無茶苦茶な指導ではなく,「この式は~~を満たしているのか?」「ここの文は~~という理由で不適切」「~~と話してしまうと聞き手が~~と誤解するから良くない」など冷静沈着かつ論理的な指導のスタンスです.
    先生は,指摘するときはバッサリ指摘します.この指導スタイルに対して「心にグサグサくる」と感じる人もいるかもしれませんが,中途半端な優しさでオブラートに包まれたぬるい指摘を練習で受けて,発表本番や論文投稿の段階で赤っ恥を晒すより,余程自分の力を高めてくれていると個人的に思っています.
    研究指導,作文指導,発表指導の全体を通して,先生→学生の一方通行型指導ではなく,自分が意見をした場合に,一旦聞いてから,意見を採用/不適切な箇所を指摘するという指導をしてくださるように感じるので,研究へのモチベーションがあがります.また,メールでも研究の相談に対応してくれます.アポイントメントさえ取れば,いつでも相談や面談に応じてくれます.
  8. 行事
    設立2年目の研究室なので,行事といった行事はありません.学会派遣でも,現地集合・現地解散をするため単独行動が多く,研究室のイベント感はありません(海外だと話は変わると思います).ただし,学会派遣時には発表後に打ち上げとして食事に連れて行ってくれるので,これはある意味,行事と言えると思います.あとは年に数回,金川先生が企画する飲み会(卒研発表兼新歓,院試後,忘年会+アルファ) がメインイベントといったところでしょうか.
    研究テーマの個人色の強さゆえに,居室に全員揃うことが殆どないドラゴンボールのような研究室なので,「イベントを立てても人が集まらないか」という潜在意識が研究室の学生各員にあるのかもしれません.来年度は人数も増えるようなので,「我こそは!」という新B4生がいたら期待しています.自分は予定が空いている限り参加しようかなと思いますので(たぶん先生は大歓迎だと思います).
    ちなみに飲み会は,先生が冗談抜きで支払いの殆どを払ってくれています,申し訳なくなるくらいです.しかし来年度は人数が増えるので,今年度と同じくらい負担してもらえるかどうかは不明です
  9. 先輩・後輩の関係
    後輩の立場で先輩について書くのは恐縮ですが,先輩・後輩間の雰囲気も研究室選択の重要な判断材料になると思うので書こうかなと思います.端的に言うと親しき仲にも礼儀ありという感じです.中学校の野球部のような旧時代的な上下関係はありません.1つ上の先輩として,普通に接してくれています.院の授業の過去問を融通してもらったり,奨学金関係で色々質問させてもらったり,学会発表の練習を見てもらったりなどお世話になっていっぱなしです.
    癇癪持ちだったり,気取った人はいないですし,相談をすれば相談に乗ってくれるような温厚篤実な人しかいないと思います(主観ですが).そもそも研究室の先輩のことを,後輩がこの紹介記事で言及している時点で,この研究室に劣悪な人間関係はないと思ってもらって構わないと思います(これも主観ですが).自分も来年度はB4が配属されるということなので,分からないところがあれば聞いてもらえればと思います.
  10. 金川研の良いところ

● 雑用がない
他の研究室の事情を知らないので,主観的な考えですが,雑用は極めて少ないと思います.この1年間の雑用で思い出せるのは,

(1) 研究室説明会で質疑応答
(2) まさに今書いている研究室紹介記事の作成
(3) 月1の食事会などの感想を書くこと(HP 掲載用)

くらいでしょうか.自分で学会先のホテルを取ったり,飛行機を取ったりはありません(新幹線は自分で取りましたが).全部先生がやってくれます先生曰く「学生は研究と勉強だけやってもらえば良い」とのことです.5月に「院の専攻説明会で説明員をやってくれ」と言われたこともありましたが,その時は給料が支払われるように先生が書類等を手配してくれました.また飲み会の手配もすべて先生がやってくれます.

● 研究資金は潤沢

金川研には,研究資金はとても潤沢にある模様です(これは先生が科研費などをたくさん獲得している?からのようです).
ですから学会参加費や,学会会場までの交通費の自己負担などは2018年度は全くありませんでした(立て替えならありましたが,立て替えた分は当然全て戻ってきます).M1の方に聞く感じだと,海外出張時は先生が全額(1人 23 万円くらい) 立て替えをしてくれています.2019年度も予算があるかどうかは先生に聞いてください(おそらくあるはず).

● 書籍や文房具などは全て研究費から買ってもらえる
研究資金が豊富らしいので,筆記用具や,参考書も全部研究費から買ってもらえます.ヨドバシカメラの通販サイトから欲しい商品のURL を先生に送るだけで,文房具系は翌日か翌々日には研究室に届いています.筆記用具類は消耗品なので,個人が自由に使えますが,書籍は消耗品ではないので,個人が持ち出すことはできず,研究室で参考にしながら読む感じです.

● わざわざ大学に来る必要がない
理論研究なので,大抵のことは家でできます.自分は自宅通学なので,大学と家を往復する手間が省けて楽です.

● 自分のペースで研究を進められる
金川研にはコアタイムはありませんし,「研究室の人が全員来ているから自分も行かなくちゃ」といった,所謂事実上のコアタイムも存在しません.研究するときは研究をして,バイトのときはバイトをする,そんな感じです.研究室のコアタイムが原因でバイトをやめる人が僕の学外の友達にいましたが,そういったことは金川研では100%ないと思います.

11. よくないところ

● 研究は自分が進めないと進まない(個人プレー?)
他の研究室で言う「実験装置を動かす」or「プログラムを回す」動作が,この研究室で言う「手を動かして計算をする」に当たると思います.実験装置やプログラムは機械が勝手にやってくれて,何かしらの結果を出してくれます.しかし,この研究室では共同研究者もおらず,手を動かせるのは自分しかいないため,手を動かすことに億劫になっているといつまでも研究は進みません

しかし,研究に取り組んだうえで研究が進まなくなる時があります.自分も,こういうときは,金川先生や居室にいる先輩に相談して助けてもらうことがあります.要するに,研究をやってなくて進んでない場合は,先生も先輩も,助け舟の出しようがありませんが,研究をやっているのに進んでいない場合は,先生や先輩から,必ず何かしらの意見をもらえます.研究に取り組もうとしている人へのサポート体制は金川先生を中心に重厚なので安心してもらって構わないと思います.

● 数学が嫌い(≠苦手) だと厳しい
先生からも口酸っぱく説明を受けると思いますが,数学を常用します.数学嫌いの人は1年,あるいはそれ以上数学と常に対峙することになるので,厳しい研究ライフになるのではないかと思います.

● 分かってもらえない人には分かってもらえない
工学=応用研究がメイン(?)という世間的なイメージ(?)上,学外の友達に何を研究しているかを聞かれて,簡単に答えても「エ,キソケンキュウシテルノ?(工学部なのに) モッタイナイ」みたいな反応をされることが,多少ありました.やりたいことやっているのに,そういう反応をされて素朴に傷つくことがたまにあると思います.やったこともないのにイメージで物事を判断するのは良くないことです

● やっていることは一見地味

やっていることは,紙と筆記用具で,基礎方程式(保存則や状態方程式) を一つの式にまとめ上げているだけです.実験特有の派手さや,シミュレーション特有の煌びやかさはないと思います.派手な研究がしたい,民間企業でやっているようなすごそうな研究がしたいという人は,この研究室に配属されてしまうと不幸になるので,研究室選びは気をつけた方が良いと思います.
前クラの人は覚えていると思いますが「動物〇〇〇〇知能が云々」という話と同じで,金川研は目先の社会に即還元されるような流行りの研究ではなく,10年後,20年後になって初めて,社会に組み込まれるような研究をしていると感じます.その土台となる研究をしているため,一見地味な研究に見えるのだろうなと思います.

12.おわりに

最後まで読んでくださり,ありがとうございます.「金川研は高GPA争いになる」みたいな風潮があるかもしれませんが,GPAが関係あるのは競合が生じた時だけです.ですから,勝てる見込みがないと思い込んでいる人も,端から諦めるのは良くないと思います(フェーズ2らへんで競合が生じてから諦めた方が良い).
とは言えども,殴り合いになったときにGPAが高いに越したことはないので,とりあえず秋Bの期末テストを頑張ってください.来年度,金川研で会いましょう.

13.追記
この度,弊研究室の公式Twitter(@kngw_lab_ut) が開設されたので,興味のある方はフォローお待ちしています(運営は金川先生ですが). [文責:4年生B]

学生視点での金川研紹介(1/2)

金川研には4年生が2名所属しています。「学生目線から」研究室の紹介文を書いてもらいました。昨年度は、一部補足を入れましたが、本年度は、原文のまま掲載します。もう1件を後日掲載します。


【金川研を選んだ経緯】

私は、流体分野に興味があったことから、その分野に関係する研究室がいいなとは思っていたものの、流体の中で特にこれというものがあったわけではないので、最終的に金川研に決めた理由は、金川先生の学生指導に対する姿勢です。多くの工シス生は熱力学などの授業で金川先生の授業を受けたことがあるかと思いますが、そこで受けた印象通りの熱意で日々ご指導いただいています。

【研究テーマ】

金川研では多くの気泡を含んだ水の中を流れる音波に関する研究を行っています。4年生のうちは手計算での理論解析がメインになると思います。簡単に言うと、流体の質量保存式や運動量保存式をいろいろな計算手法を用いて、1つの方程式にまとめていくというものです。実験は全く行っていないですが、研究が進めば数値計算はやることになると思います。

卒研のテーマは5月初旬に、先生から複数案を提示され、5月下旬に決定しました。

【研究室生活】

金川研には週一個別打合せ以外のコアタイムは存在せず、理論研究という特徴から、大学でなく自宅でも研究ができること、先輩方や同期とチームでの研究ではなく個人での研究であることから、研究スタイルが比較的自由な研究室だと思います。私は、授業や打合せのある日以外では大学に行くことはなく、自宅で研究しています。他の金川研のメンバーも1日の大半を研究室で過ごしているという印象はありません。卒研を始めると、夜まで大学にいて、自分の時間が無くなるという噂をよく耳にしていましたが、この研究室では、自分の時間の使い方次第で、アルバイトやサークル、趣味などにも自由に時間を使うことができると思います。(もちろん、研究をしっかり進めることが前提での話です笑)

【打合せ(ゼミ)】

研究室配属直後は、同期と一緒に基礎的な勉強を週1の打合せで行いました。英語の文章を隔週でそれぞれが訳していくといった内容で、約2時間ほどだったと思います。この基礎的な勉強が約2か月半くらい続いた後、その後は先生との1対1での、研究の進捗状況の打ち合わせを1週間に1回行うのみで、研究室全体でのゼミはありません。

【行事】

2年前に新設された研究室ということもあり、合宿や旅行に行くなどの大型な行事はまだなく、3か月から半年に1度の先生企画での飲み会と、月1での学内での食事会があるのみです。先生は新たな企画歓迎といった感じですが、今いるメンバーはだれも仕切りたがりではないように思うので、新たな企画が生まれないまま今に至っています。 (文責:4年生A)

ツイッター

研究室の公式ツイッターを開設しました。金川が書いています。

POMA:高速超音波

気泡を含む水中を超高速で伝播する、高周波数の超音波の理論解析の成果が、出版されました(金川研・博士前期課程1年・圷亮輔の成果)。


Akutsu, R., Kanagawa, T. and Uchiyama, Y.,  “Multiple-scales analysis on high speed and high frequency pressure waves induced by liquid compressibility in bubbly liquids,” Proceedings of Meetings on Acoustics, Vol.~34, Issue 1, 045031 (2018.11.1).