学生視点の金川研紹介’25(3)

3年間在籍したM2学生に紹介文を書いてもらいました。当研究室では、OBOGを含めて、これまでで最も数値計算を主軸とした学生です(金川)。


2026年卒業予定のM2です。学部4年の1年間と修士の2年間の計3年間金川研に在籍してきた感想をつらつらと書いていきます(特に修士2年間について)。これから金川研への配属を希望する方にとって参考になれば幸いです。

〇研究について
学部4年のころは、金川先生の専門である気泡を含む液体と波に関する理論研究を学び、その路線の研究を行っていました。しかし修士に上がるタイミングで自分の興味に少し変化があり、理論研究よりもシミュレーションを用いた数値流体力学(CFD)解析をやってみたいという気持ちが強くなりました。入学時から宇宙工学にも興味があったのですが、修士1年の7月ごろ、宮城にあるJAXAの研究施設を見学する機会がありました。金川先生の同行者という形で私も参加させてもらい、そこで多くのCFDを専門とする先生方と関係を作ることができました。その後の学会参加についても、金川先生から数値解析に詳しい人たちが集まる学会を紹介してくれ、新たな学びを得られる場を提供してくれました。興味が変わった場合でも、何がしたいかをちゃんと金川先生に伝えることができれば、そのために必要な情報の提供や、それを専門とする先生との対話の機会を与えてくれるので、とてもありがたかったです。

修士1年の10月ごろから、本格的にCFD解析の勉強を始めました。私の研究対象は「極低温流体中のキャビテーションの熱力学的効果」であり、液体燃料ロケットです。キャビテーション (cavitation: 空洞化) とは、流体中の局所圧力が低下して飽和蒸気圧を下回ることで気泡が生じる物理現象です。キャビテーションは、宇宙・船舶・海洋・材料・環境・ターボ機械・エネルギーととても広い分野に関連していながら、基礎的な物理現象すらあやふやな現状です。工学的には、キャビテーションを抑制すべき場面も活用すべき場面もあります。私にとって、気液2相流という対象は学部4年のころから変わっていないのですが、支配方程式を導出するという理論研究から、支配方程式系を数値的に解くという研究へ移ることはとても難しかったです。OpenFOAMというCFD解析を行うことができる無料のソフトを用いて研究していたのですが、そのソフトの扱い方を学ぶだけでなく、研究のオリジナリティ(新規性)を考える必要があり、とにかくやることが多かったです。金川研では計算機を保有しており、それを用いて研究を行います。計算機へのアクセスやソフトの使い方については、博士の先輩に大変お世話になりました。

・九州大学への短期留学
とはいえ金川先生の専門外の研究となると気軽に相談できる人がおらず、停滞してしまうことも多かったです。そこで修士2年の5月ごろ、JAXAの施設見学の際に知り合った九州大学の津田伸一先生の研究室へ、2週間ほど留学に行かせてもらいました(留学費は研究費から全額出してくれます)。この2週間は私にとって大変刺激の多いものであり、先生方はもちろん、その研究室に所属している学生もキャビテーションに詳しく、たくさんの意見交換を行うことができました。津田先生には、モデリングからCFD解析まで本当にすべてのことを教えていただきました。所属学生のみなさんには歓迎会を開いていただいたり、ソフトボールをやったりと、温かく私を受け入れてくださいました。改めてこの場をお借りして、九州大学の流体制御研究室の皆様に感謝申し上げます。

・学会出張
修士2年の12月ごろには何とかキャビテーションのCFDに関する研究をまとめて、学会に参加することができました。開催場所が北九州市で、学会の最終日には観光もできました。なかなか北九州市に行く機会がなかったので楽しかったです。金川先生は学会参加前に発表練習を厳格に行います。論理展開の矛盾から、簡単なパワポのデザイン訂正や話し方など、細かいところまで指摘をしてくれます。研究内容については学生自身の研究であり、先生がすべてを把握しているわけではないので、致命的なミスがないか最後は自分で確認する必要があります。学生の発表が終わった後は、会場近くのお店で先生交えて打ち上げも行いました。九州はとにかくご飯がおいしかったです。

そんなこんなでもうすぐ卒業ですが、研究に関しての総合的な感想としては、金川研では本当に学生のやりたいようにやらせてくれるし、そのサポートもある程度はしてくれると思います。他の金川研のM2も各々やりたいようにやっているので、自分で興味を見つけてがんがんやりたい人にはおすすめです。しかし当然ですが、先生も専門外の分野には詳しくないので、研究に関する深い議論は行えません。自分で決めたテーマについては、先生からタスクが降ってくるわけではないので、自分で課題を見つけて研究を進めなければなりません。ただ、B4の間は大体は先生の専門に近いテーマが与えられて定期的な進捗確認があります。

〇学生居室の様子
学生居室は、学部4年のころに比べて修士の2年間は人が多く、活気にあふれた雰囲気だったと思います。先輩との研究の議論があったり、居室内でゲームをしたり、メリハリのある人たちばかりです。そのほかテニスコートを借りてテニスをしたり、麻雀をしたり、今年は研究室のみんなでスポデーのバレーボールにも参加しました。研究室内外で活発に活動を行っていて、楽しく3年間を過ごすことができました。また、金川研では月に1度学生ゼミを行います。進捗を発表したい人がいれば話してもらい議論を交わすゼミで、学生のみで行います。進捗報告は強制ではなく、ゆるくやっています。学生の方々に話してみると、自分では気づかないことやちょっとしたミスを見つけることができるので、とてもいい機会だと思っています。情報交換もできるので、今後も続いてほしいなと思います。ゼミが終わった後には、みんなでご飯を食べに行きます。

〇さいごに
おそらく学生の多くは、華々しい研究業績の数々や先生の授業を通して金川研に興味を持ってくれていると思います。しかし研究は授業とは違って、学ぶことも決まっておらず、テストのように答えがあるわけでもありません。先生もすべてを知っているわけではなく、自分で考えて進めていく必要があります。個人的に、今後の金川研ではさらに自分で考えて実行する力が求められていくと思っています。(研究はそんなものかもしれませんが)先輩方が数多くの研究業績を上げているから自分もいけるだろうと思っていると、痛い目をみるかもしれません。とはいえ、努力が実らない研究室ではないと思います。私の場合、卒業研究の成果は修士1年のときにInternational Journal of Multiphase Flowという流体の国際誌に掲載されましたし、修士研究の成果はギリギリではありますが学会発表ができたようにサポートはしてくれます。自分もそうでしたが、研究に対する興味はやっているうちに変わっていくと思うので、研究内容だけで研究室を選ぶのではなく、研究室の特性が自分と合っているかということも、所属している先輩に話を聞くなどして確認してみるといいと思います。


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