流れ・波・熱の複合的な物理現象とその応用を「数式」で開拓する
(PI: 金川哲也) 最新ニュースはこちら
2026年度メンバー (学生13名)
D3:1名(学振DC1)
D2:2名(学振DC1/国費留学生)
M2:2名
M1:4名
B4:3名
B3 (ARE/早期配属): 0名
IDE:1名
准教授:金川哲也
<大学院進学希望の学外(もしくは工学システム学類以外)の方へ>
流体力学の数学的な理論的研究に強い関心があり、数理解析能力に長けた方を募集しています。指導の質を維持するため、学生数には上限を設けています。本研究室で修士論文・博士論文研究を遂行するためには、数学および流体力学に関する相応の基礎知識・理解・能力が不可欠となります。これまでの履修状況や成績などを踏まえて、受入可否を慎重に判断しますので、まずはご一報ください。
金川の承諾が得られた場合には、構造エネルギー工学学位プログラムの入学試験において、金川を指導教員として希望したうえで、ご受験ください。ただし、当該学位プログラムへの合格と、金川研への配属は独立です。入試は、7月(推薦)・8月(一般)・1~2月(一般)の計3回行われます。博士前期(修士)の場合は、例年、金川研に配属される学生のほぼ全員が、推薦入試で合格している傾向にあります。推薦入試の受験資格として、高い学業成績が必要です。
過去の例ですと、かなり早期から(遅くとも3年生のうちに)、明確な希望をもってご相談いただくケースが殆どです。実際に、理学部数学科と地球学類からの進学例が複数件あります(全員、数値計算で卒論を書かれていましたので、理論解析の経験は必須ではありません)。
筑波大学は、新構想大学として、国立大学で伝統的な(小・大)講座制を採用していません。構造エネルギー工学学位プログラムでは、職位によらず、全教員が独立(各教員が独立研究室を運営)しています。国際的なスタンダードは、各教員が独立したPI (Principal Investigator) として研究室を運営することですが、そのような国際感覚も身につく大学であると思います(研究者を目指すか否かによらず)。一方では、指導が偏らないように、大学院生には副指導教員が2名つきます。金川研では、テーマの横断性から、流体に限らない多様な先生(例:宇宙工学、応用数学、地盤工学、材料力学、伝熱学・燃焼学、計算科学、実験流体力学・CFD、電磁流体、理論物理、生物物理、大気科学、など構エネ学位プログラム外の先生も含む)に副指導教員および学位論文の副査をお願いし、学生諸君に横断的視点を養ってもらっています。
<学振PD受入れ>
ご専門が流体の理論でなくても、流体の実験から理論への転向、固体の理論から流体への転向など、研究上のマッチングが取れれば前向きに検討します。まずはお問合せください。
研究内容
【全体像】新しい熱・流体力学を切り拓く理論の創成が究極的な目標です。
界面をもつ流れ(混相流・気泡力学など)を対象に、主として連続体力学を中心に、非平衡統計力学や分子動力学の視点を統合し、マクロからミクロまで一貫した数理モデルを構築します。
流体力学と異なる観点の柱に、「非線形波動理論(衝撃波・ソリトンなど)」があります。応用研究として、超音波医工学(集束超音波治療・結石破砕・ドラッグデリバリ・被膜気泡)、血管内における気泡力学、火山噴火と地震波、海洋資源探査といった多様な応用の数理解析へ展開します。共同研究の形で、CFDや実験との融合を行っています。
【学生の研究】混相流は、界面を有することから、連続体ではありませんし、狭義の流体力学は使えません。それでも、平均化を駆使することによって、数理的には、連続体力学的なアプローチが可能となります。一方では、そのようなアプローチにも限界があります。
そこで、本研究室で学生が取り組む研究は、現在、以下の4点に大別されます:
1.混相流の基礎方程式の構築およびその数学的適切性の検証
2.1を基にした波動伝播の解析および応用(医療・地球科学・防災・航空宇宙・海底資源探査など)
3.2を発展させる他の手法との融合研究(AI、分子動力学シミュレーション、解析力学、数値流体力学、力学系、各種応用数学)
4.混相流の数理に関する企業共同研究(2024年度から)
学類生あるいは新M1が配属された場合には、上記2を与えるケースがほとんどです(金川のライフワークはこちら)。
上記1はチャレンジングな要素があり、博士後期課程の1期生が取り組みました(その成果から学長表彰を2回受賞)。一方、学類生も取り組む場合もあります。
上記3は、現在在籍中の博士後期学生3名が取り組んでいます。
配属直後は、金川からテーマを与えて(基本は上記2)、成果をだし、論文出版までのサイクルを早期に回すことで、研究の全体像を習熟させるとともに、学振特別研究員DC申請の布石にもします。その後、M2くらいになると、知識が増えており、自身でテーマを見出すケースが多いです。本研究室の守備範囲ではなく、実現可能性が低そうであったとしても、計画や方向性に致命的な穴がなければ、意思を尊重しています。そのように始めたテーマは、結果が出るまでに相応の時間がかかっていますが、その分、成功時のインパクトが大きいです。
実験を含め、共同研究を活発に行っており、最近では学生の半数が、他大学(海外含む)の研究者または企業との共同研究に参画しています。ただ、新配属生は、まずは金川とのマンツーマンでのテーマから入っており、原則、共同研究への参画は大学院生以上です。
求める学生像と運営方針
金川個人は、紙とペンで流体(に限られない連続体)の力学現象を数学的に表現し、その結果として物理現象を予測することに関心があります。手で追える範囲までは解析的に考え、手で解けなくなるまでは数値計算には頼りたくないという思想です。出身も所属も工学の人間ですが、やっていることは理論物理に近いところがあるかもしれません。とはいえ数学者ではないので、例えばナビエ・ストークス方程式の解析解そのものに強い関心があるわけではありません。理論的な見通し抜きに、トップダウンで大規模な数値計算に進むようなスタイルも、あまり好みません。このあたりの考え方は、この15年ほどあまり変わっていません。
一方で、考え方が変わってきた部分もあります。かつては比較的狭い領域の基礎研究に強い関心がありましたが、最近は応用も面白いと感じるようになり、守備範囲を広げつつあります(そもそも、基礎と応用のあいだの境界は極めて曖昧です)。関心は一貫しているようでいて、配属される学生の影響も受けながら、少しずつ移り変わっているのだと思います。
勿論ですが、所属学生諸君の志向は必ずしも金川と一致していません。多様な人材を歓迎します。 ただし、「手計算が好き(少なくとも嫌いではない)」という点は全員に共通しており、実際、本研究室で研究を行うための最低条件でしょう。また、「研究面で細かな作業を丁寧に積み重ねることが得意」である点も共通しています。思いつきやアイデアだけで突っ走る研究室ではありません。 共通点を除けば、実験にも関心を持つ学生、応用寄りのテーマを選ぶ学生、数値計算や機械学習を組み込んでいる学生、医療応用に関心を持つ学生、卒論で理論を一通りやり切ったので(≠嫌いになったので)数値計算に軸足を移した学生など、背景や志向はかなり多様です。
研究指導・運営方針と雰囲気など
金川個人、教育現場においての「同調圧」を好まない人間です。そのため、いわゆる「一致団結」的な運営ではなく、体育会的なノリを好む研究室でもありません(もちろん「体育会系」の学生は歓迎します)。
研究室は、パーティションが設置されており、理論研究に集中できる環境です。しかし、研究室に来るか否かは全くの自由です。コロナ禍には、一度も大学に来ず、一流国際誌に複数編掲載させた学生もいました。自宅や図書館で研究を進める派の学生も多いです。ところで、開設以来、卒論を締切直前に出した学生は一人もおらず、数日前に終わらせています。決して、直前の提出を禁止はしていませんが・・・。徹夜で研究している学生もほぼいないと思いますが、自由としています。
研究は、個人プレーで(正確には金川と学生で)進めて構いません。学生間の相談は活発になされていますが、学生間の相談の輪の中に入るかどうかは自由という考え方です。
ゼミを一度も行ったことがありません。なぜなら、研究を進めたいのに、ゼミに出ることで時間がつぶれる、という本末転倒を防ぐためです。かわりに、個別の打合せ(これがゼミ相当)を頻繁に行います。金川研では、多対一ではなく、常に、すべてが、一対一です。これが、学生数に上限を設けている理由でもあります。なお、順調に進んでさえいれば、チャットでの最低限の報告でも可としています。配属当初は週一で打合せ(対面・オンライン併用)を行い、ペースを掴ませていますが、学年が上がるにつれて、自主性・自律性・独立性が身についてゆくため、手を放し始めるケースも多いです。金川研では、ゼミや報告会用の見栄えのよい資料・スライドを作って、形式的な報告を終えて満足することがゴールではありません。中身を深めること、研究を進めることがゴールです。
一方では「ゼミを行わないことで互いの研究を知る機会がない」との学生からの問題意識が提示され、学生主体の学生ゼミが開始されました。運営は学生に任せていますが、参加を必須にしないことのみをお願いしました(理由:研究を進めたいのに、学生ゼミに出ないといけない、という事態を防ぐため)。このように、学生諸君の自主的な運営を尊重していますし、今後もこのような新たな試みが増えてくるかもしれません。
行事面:金川が年に2回ほど飲み会を企画しますが、参加率は高くはなく、とはいえ少なくもないです。研究をしたいのに、あるいは気分がすぐれないのに、無理やり飲み会に行かなければならないような文化は、金川研には決してありません。また、学会出張が多いので、出張先の美味しい店に行き、打ち上げを行うことが多いです(参加任意ですが、これは大体来てくれます)。店の選定も含め、金川研創設以来、全て金川が幹事かつ7~8割を支払っています。ところで最近は、学生主体の飲み会やスポデー参加などもあるようです。あくまでも金川(教員)の視点からですが、学生室・学生同士の仲は良く、雰囲気も良いと思います(くどいようですが、同様に、行事への不参加で浮くことはありませんし、同調圧はありません)。
特徴:研究室内では、電子メールは廃止しており、やり取りはチャットベースで、効率を最優先しています。チャットに「いいね」をつけるだけで可です。slackの様々なグループチャネルで、金川から学生も、学生同士でも、活発に議論がなされています(24時間送信可。常時確認する必要はないですが、1日1回の確認をお願いしています)。学会などからのメールを転送する際、金川宛であれば無言転送で可です。もっとも、共同研究者などにメールを送る際には、礼儀も重要ですから、添削・指導したりしますが・・・。また、「今日は雨なので、打合せはオンラインに変更してください」や「話すことが少ないのでチャットで済ませます」などを歓迎します。ドタキャンは若干困りますが、面談の中止も可です。金川は、形式や礼儀はどうでもよい、中身が最重要という考えです。
金川研には、雑用が何もありません。研究室には「**係」のようなものがあるのが普通と思いますが、何もありません。コアタイムも同様です。研究室に来ることはゴールではありません。研究を進めることこそが、学生諸君のゴールです。ですから、進め方は問いません。学生諸君には、研究を行い、成果をあげること「だけ」を求めています。この意味で、決して、ラクに卒業修了できる研究室ではないし、緩い研究室でもありません(上述のとおり、研究「以外」は極めて緩い点が特徴です)。
リサーチアシスタント・短期雇用・謝金などの形で、経済援助を積極的に行っています(研究費の状況にもよりますが、ほぼ毎年行われています。また、博士進学者と上の学年を優先することが多いです)。これは、「研究に時間を割きたいが、経済的に困窮しているためバイトをせざるを得ない」ケースを防ぐためです。社会勉強のためのバイトを妨げるものではありませんし、そもそも、学生の私生活や人物などには一切介入しません。
以上のとおり、「学業面での」自主性・自律性が備わっていることを前提として、研究指導と研究室運営を行っています。ですから、自主的な学習習慣がない場合には、金川研はミスマッチの可能性が高いでしょう。学業と無関係な無駄を省き、効率を重視していますので、研究(学業)に対して、最大限集中できる環境です。これは実際に、金川研学生の研究業績が極めて活発であることの一因であると考えています。
担当科目と教育
◆ 工学システム学類 (学部):
熱力学基礎・応用熱力学・応用流体力学・応用数学A(後半:フーリエ解析)
◆ 構造エネルギー工学学位プログラム (大学院):
混相流工学(4コマ担当:キャビテーション気泡力学・レオロジー)
◆ 学位審査:博士論文(主査1名)、修士論文(主査16名)、学外Ph.D審査1件 (IIT Delhi)
熱力学教科書
◆『熱力学:工学の基礎を深く丁寧に学ぶために』(共立出版、2026年5月28日刊行)
工学システム学類2年生向け「熱力学」(3単位)で2014年度から継続的に担当している講義の資料をベースに、教科書の形でまとめました。
数式展開の「手順」だけでなく、その背後にある「動機」「考え方」「発想」をくどい位に書き込み、熱力学ポテンシャルから一般関係式に至る展開には50頁を割くなど、独自の構成を試みました。演習書ではなく、工業熱力学の教科書でもなく、工学のための基礎物理としての熱力学の理解に特化した本です。
論文リスト
博士前期(修士)修了までに、国際誌に学生の論文が採択されています。学類(学部)生でも掲載例があります。最近は、国際共著も活発に出版しています。
査読付き雑誌論文53編中、金川研学生筆頭著者が29編、金川責任著者が41編、top 10% 誌が23編、国際共著が8編です。
受賞歴
* 修士修了までに、OBOG含む全学生が受賞歴を有します。比較的新設研究室ですが、学生諸君の受賞歴は累計100件以上にのぼります。
* 顕著な受賞:日本機械学会三浦賞11名(7年連続)、筑波大学学長表彰9名(8年連続)、日本混相流学会萌芽賞(鮎貝崇広)、ファインバブル産業会研究奨励賞(川畠稜輝)、同学生奨励賞(長谷川建)、など
* 大学院博士前期対象の、JASSO第一種奨学金において、過去の貸与者の全員が、「特に優れた業績による返還免除」を受けています(全額7名、半額8名)。全額免除者が、毎年金川研から継続的に出ています。なお、貸与しない学生も勿論います。貸与者のうち、概ね、全額免除は上位1割、半額免除は上位3割以内が該当します。
* 金川研学生との共同研究成果において、金川は主宰者(PI)として以下を受賞しており、これも、金川研の研究力の一つの客観評価といえます:
文部科学大臣表彰若手科学者賞(2022)
筑波大学BEST FACUTY MEMBER (SS教員) 学長表彰(2024, 2026)
日本機械学会奨励賞(2019)、日本混相流学会奨励賞(2020)、日本音響学会粟屋潔学術奨励賞(2021)、ターボ機械協会小宮賞(2022)、日本流体力学会竜門賞(2023)
* 博士後期・前期修了生は、企業や研究所で活躍しています。
共同研究・研究プロジェクト
様々手掛けていますが、いずれも「混相流」と「波動」の観点からのマッチングです。お気軽にお声かけください。
* 科研費基盤研究B:血管内の被膜気泡のスケール横断力学の創成 (2026-29年度)
* NEDO・若サポ:気泡と衝撃波/超音波の予測・制御・活用が切り拓く分野横断型の基盤創出と革新技術開発(2021-22年度・終了済)
* 産学連携(三菱重工業株式会社):気液混相流れの過渡的圧力変動のモデリング手法 (2024年度から)
* 海外共同研究:
複雑流体中・複雑場における単一気泡運動の理論構築と力学系アプローチ (メヌフィア大学 Prof. A.K. Abu-Nab; バンハー大学 Prof. K.G. Mohamed; ロシア科学アカデミー Prof. Y. Fedorov)(2022-)
血管内の気泡力学に関する理論と実験(ゾルボンヌ大学 Prof. O. Couture & Dr. G. Chabouh)(2023-)
* 国内共同研究:
脂質膜の分子動力学シミュレーション (東北大学・馬渕拓哉先生)(2023-)
PINNによる非線形波動方程式の係数推定逆問題 (筑波大学・三目直登先生)(2023-)
脂質単分子膜の解析力学、および、赤血球と気泡の相互作用のモデリング (九州大学・武石直樹先生)(2024-)
岩盤・多孔質媒質の超音波応答の理論構築と重質油回収への展開 (筑波大学・松島亘志先生)(2025-)
極低温流体中のキャビテーションのモデリングと数値計算 (九州大学・津田伸一先生)(2025-)
拡張された熱力学の観点から混相流の平均化方程式を確立させる (苫小牧工業高等専門学校・有馬隆司先生)(2026-)
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