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月別アーカイブ: 7月 2020

雑感(金川)

  • 最近は、Twitter  にて情報を発信するようになりました。真面目なことや、くだらないことを、深く考えず好き勝手に書いています。学術的な話をかくときも、正しいかどうかに拘りすぎてはいません。ご興味があれば御覧ください。
  • 研究室を閉鎖して、あっという間に、約4カ月が過ぎました。会議も授業も学生指導などもオンラインですので、大学には基本ずっといるものの、誰かと直接接することがなくなりました。
  • 現在の状況下ですと、研究室を再開してもよさそうですが、個人的に楽観視できる状況ではないと考えており、当面閉鎖を続ける予定です。
  • 理論系で、数値計算も一部行うものの、スパコンなどを使う類ではないので、全て在宅で研究ができています。M2は進路が決まり、全員、週一で進捗を確認しています。式変形を伴う相談の場合は、やややりづらさを感じますが、大きな問題ではありません。
  • 例年、月1で飲み会をやっていましたが、これができていません。オンラインで一度試しましたが、どう話をすればよいか、困惑する学生が多かったように思います。
  • これまで、学会出張先で観光したり打ち上げをすることが、研究室内のおもな交流でしたが、これもできません。
  • 以前、ある工シス生から「金川研だけテーマや雰囲気が違う感じがする」と言われたことがあります。深くは尋ねませんでしたが、理学(基礎)寄りで、特定の応用先を見据えていない点を指した質問と受け取っています。最近、なぜ理論研究をやるのか? について考える機会があり、少し書いてみたいと思います。

  • 流体力学は、元々は物理の一分野です(この点で、同じ連続体力学ではあっても、材料力学とは異なると認識しています)。しかし、理学系の純粋物理からは、事実上ほぼ撤退し、工学の機械系や土木系などへの異動が完了しつつあると認識します。
  • 金川個人は、学生時代の所属も工学機械で、指導教員の先生方の所属も広義の機械系と認識していますが、ルーツを深く辿れば、理学寄りの面があるのかもしれません。くわしくは調べていませんが。
  • 基本的に、工学と理学の中間の価値観で進めていますが(「工学」「理学」といった言い回しは、人によって定義が違いますので、安直に使うことは憚られますが)、理学ではなく、工学部において流体力学の基礎研究を行うことは、極めてメリットが大きいと思います。共同研究などによって、新たな理論を、応用研究者に実装してもらったりという可能性を秘めるからです。
  • 国内で、流体力学の基礎理論を専門にされている先生や研究室は、複数存じていますが、純理論のみに注力する研究室は存じませんし、おそらくはほぼないものと認識します。正確には(恐らくは様々な事情から)どんどん理論研究から撤退していったとも認識します。
  • 中でも、金川研の専門の「混相流」では、実験と数値解析にほぼ二分化され、(現在)理論オンリーをやられている先生は、おそらくおられません。混相流は、まさに現実世界の流れであり、流体力学の中でも、事実上、応用分野のカラーが強いと認識します。
  • 金川個人は、元々は、数学が好き、物理を数学的に厳密に学ぶのが好き、特段の応用に興味がないといった理由で、流体力学の基礎理論を専門に選び、「自身が好きだから」理論をやっていた面があります。
  • しかし、このように、理論が絶滅しつつある現状も踏まえると、誠に僭越ながら、自身は、理論に特化し続けなければならないのではないかと、使命感?に似たものを感じ始めるようになりました。理論を誰もやらない(どんどん撤退している)からです。
  • 実際、昨年度、ある学会で発表後「最近、お金になる研究ばかりが重視されていて、基礎研究、それも理論はみかけなくなった。昔は学術的な研究をされていた先生も、今は雰囲気が変わった。基礎研究をやっているのは、金川さん以外にいないのではないか。金川さんがいなくなったらどうなるのか」と(5歳程度上の方から)コメントを頂きました。
  • ここで決して、基礎と応用、理論と実験、どちらが重要かなどを論じたいのではなく、全て重要に決まっています。バランスと分業が重要なのだと思います。1人で全てできるべき、という考え方も承知していています。しかし、筑波大の特殊性による点とも思うのですが、講座制を廃止して1研究室に複数の教員が所属しない大学においては、分業は極めて重要と考えます。このような経緯から、基礎理論に特化しています。
  • 学内と学外のいずれを見ても、やはり主流は応用研究だらけで、基礎理論の研究発表はほぼ見かけません。そのような意味でも、マイノリティであることを活かして、引き続き、このスタイルの維持が良いように考えております。
  • 性格上、(仕事に限らず)流行に飛びつくことが好きではありません。流行は流行で面白そうだとは思いますが、いざ、廃れたときが心配です。流行に反する研究は、魅力が強くない面はあるでしょうが、流体力学のように、古くとも永久に重要性が消えない工学基礎物理は、廃れることはなく、その普遍性の追求には、価値があると考えます。
  • ここ最近、人のやらないことをやるべき、と強く感じます。もちろん、研究者ですので、人と違うことをやるのは当たり前です。テーマの違いというよりも、価値観や指導方針など、もう少し違った面において、人と異なっているべきと考え始めました。
  • 金川研には、幸い、毎年、基礎理論のみを志向する学生が、定常的に配属されており、社会人博士を含め、基礎理論の志願者が増えております。
  • 客観実績として、国内の工学系研究室においては、かなり高いものと自負します。修士在学中に全員が筆頭著者で査読付き論文を書いており、学類生は卒業時に2年連続で筑波大学学長表彰(研究)を受賞しており、学生の学会表彰も相当数あります(2019年度に計6件)。最近、1期生の1人より、第1種奨学金の全額免除の朗報が届きました(1期生の貸与者はこの1名だけでした)。
  • レールは敷いていますので、本当に学生の力になっているのかなど、懸念もあります。とはいえ、多数の発表、論文を書かせることは、実践スキルとして、少なくとも、マイナスにはなっていないように見受けられます。
  • マイノリティであることからか、幸い、テーマは尽きません。ただ、単に誰も好き好んでやらない研究だから、テーマがどんどん出てくるだけかもしれません。
  • 物理学・工学として、流体力学には、実験的実証が必須ですので、理論にて博士学位取得後には、当然、実験を行うことを計画していました。実験ができることは、流体力学者として重要極まりないです。
  • しかし、このように、理論志向・基礎派の学生があまりに集う現状からは(これが全くの予想外だったのですが)、理論に一極集中することが、学内研究室としての使命であり、また学外を見てもこのような異端の研究者が(若干名)いることには、何かしらの意味があるのではないか、のようにも感じております。そう考えるとき、素人として実験に参入するよりも、強みである理論に偏重した研究者として生きていく路線もありではないかと思い始めました。
  • 理論予測を実験で実証したり、実験結果を説明できる理論をつくることは重要であり、理論と実験双方をできることが最善と考えてきました。しかし、ひねくれた考え方をしますと、この「理論と実験両方ができる」考え方自体は、誰でも考えることともいえ、独自性がないようにも考え始めました。もう少し個性的な生き方、極端な道、独自性を発揮できる生き方もあってよいのではないかと。例えば、実験だけ、理論だけ、好きなことや得意なことだけで勝負する道もあるのではないでしょうか。
  • 大学教員である以上、学生と共に研究を行うべきであり、理論希望の学生に実験を与える選択肢は浮かびません。もとより、金川研への配属を希望しないでしょう。
  • 自身が「流体力学」の観点から成長し、スキルアップするためには、実験をすべきと考えるのですが、理論希望の学生が多すぎるために、実験に着手できないという、あまり予想していなかった事態です。
  • もう少し長いスパンで考え、実験をやりたい学生が現れたら、実験に着手するかもしれません。いずれにしても、学生の希望第一で研究室を運営しようと思います。
  • 別の観点として、「理論」のみをテーマに、流体でなくても何でもやる、というスタイルも検討しております。つまり、流体力学での勝負ではなく、理論・数理での勝負です。金川研配属者のうち、流体力学に拘りがある学生は、半分もいませんが、ほぼ全員が、理論の観点に拘っています。
  • 工シス学生から「理論系は就職で不利ではないのか?」とたまに腹立たしいことを聴かれますが、そのようなことは一切ありません。卒業生は皆希望の就職先に就職しています。機械系だからか、自動車や重工関連が多いですが、技術系を志望しないケースも、インフラ関係を志望するケースも、さまざまです。(中途半端ですが、2020年7月25日記載)