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日別アーカイブ: 05/04/2020

2020年度:金川研4年目

博士後期課程学生(社会人、国立研究開発法人所属)1名と4年生2名が新メンバーに加わりました。金川研に、社会人博士が入学することはないものと想定(悲観視)しておりましたが、腰を据えた基礎理論研究をとの希望から、マッチングがとれた例と受け取っております。

昨年度からのメンバーをあわせると、D1が1名、M2が5名、M1が3名、B4が2名の計11名体制です。博士後期課程への進学希望状況を考慮すると、今後は10名前後で推移すると思われますが、1人1テーマであることなどから、中長期的には、M2以下の人数を徐々に絞るべきとは考えています。

気泡流中の非線形波動の理論解析がメインですが、数値的研究、固体力学、熱工学、医用超音波などに着手、また、テーマを探しつつあります。流体工学や機械工学への拘りは低い反面、工学応用のための確固たる基礎理論創成という目的意識は強く、この価値観に合致するテーマであれば、さほど選り好みなしに取り組む予定です。

派手な研究、実験、産学連携研究、特定の応用を見据えた研究は行いません(金川研の対象でないだけであって、当然、応用研究は重要ですし、実験を行わないだけで、実験事実は積極的に利活用しています)。物理が好きな人、数学が嫌いでない人、特定の応用ではなく工学広範の基盤となる普遍的基礎(物理の解明や基礎学理の創成)に価値観を見出せる、またはやりがいを持てる人を歓迎します。金川の上記価値観が、学生と全て合致することも必要もありませんが、配属される学生を見る限り、いずれも、数学が嫌いではなく、物理に何かしらの関心をもっており、成績が極めて優秀で、派手だけを求めず、個人ワークを苦痛に思わない点については、共通しているように感じています。

一言でいうと、数式の「導出」がテーマです。数式を「解く」ことは、現時点で、余り重視していません。数学カラーの強い研究室と勘違いされますが、やっていることは物理に他なりません。もっとも、数式をいじる作業が殆どの時間をしめますが、導出とは、物理法則を根拠にするからです。むしろ、数式を解く研究の方が、数学(応用数学、応用数理)寄りであるように個人的に感じます。


本年度は、科研費基盤研究Cの最終年度(FY2018~FY2020)、および、カシオ科学振興財団からの助成を受けており、学生の研究内容の一部は、当該研究計画と関連します。学術的興味だけに基づく基礎研究ではなく、流体工学や医工学の基盤となる基礎研究です。

昨年度の成果の一部は、査読付雑誌論文5編、査読付国際会議論文11編(内3編はIF付雑誌)に掲載され、全編ともに学生が筆頭著者を務めています。未公表の成果も、同様に学生を筆頭著者とする形で、国際一流誌複数編への投稿を準備中です。以上の成果等を受け、学生は計8件の学会表彰(論文表彰1件、学科首席相当表彰2件、講演表彰5件(いずれも対象者のうち上位1割の講演者に対する表彰))を受賞、学類生は2年連続で学長表彰を受賞しています。

あくまでも学生個人が、主体的に研究を行い、成果公表(学会発表・論文投稿)までを中心的に行う点が特長であり(テーマは金川から与えます)、結果として、学会からも高い評価を頂けていると認識します。修士在籍中に、筆頭著者として査読付論文への掲載を狙う点でも特徴的であり、実際100%の達成率を誇っています(内7割はM1時点(就活開始前)で掲載、B3でも1名掲載済)。学内は元より、国内の工学基礎理論系研究室では例外的であると自負します。

上記成果達成の一因としての金川研の運営ポリシーとして、ゼミの(原則的)廃止、束縛や無駄の排除が挙げられます。意味のある会合は実施しますが、理由のない会合や効率の悪い集まりは実施しません。例えるならば、体育会系雰囲気とは相反しており、集団生活やビシバシとした指導を好む学生さんとは相容れないでしょう。ただ、ここでの「無駄の排除」とは、あくまでも研究指導と研究室運営のスタイルを指します(研究を進める上では、計算ミスによる膨大な時間の浪費や、一見無駄に思える基礎の確認など、無駄も非効率も相当数生じ、むしろ、無駄を経てこそ真の力がつくはずです)。

その一方で、学生が一日中ずっと研究をしている印象もありません。(余程ハマる学生や、博士後期を志向する学生でない限り)理論研究を一日中行うことは、集中力やメンタルなどの観点から、容易ではありません。生活スタイルも含め、学生を信頼し、自由を与えることが、成果の効率的創出につながっているようです。逆に言えば、「放置されてもサボらない真面目な学生」を前提としているため、放置されるとサボる学生さんには不向きな環境の可能性を秘めます。もっとも、週一での進捗報告は義務付けていますが、それ以上は介入しないスタンスです。実際に、新型コロナウイルスの問題を受けても、効率重視・成果主義で研究室運営を考えるため、現時点では、学会発表の見通しが不透明であること以外、ほぼ影響を受けていません。